2018年1月16日更新
七味唐辛子の栄養成分とその効果・効能
七味唐辛子は、私たちにとってとても身近な香辛料。
うどん屋やそば屋はもちろん、焼肉屋や牛丼屋など、さまざまな飲食店で目にしますよね。ほとんどの家庭でも、常備しているのではないでしょうか。
しかし、これほど身近な存在でありながら、七味唐辛子について詳しく知っている人はあまり多くありません。食べ物に辛味を加える、汗を出しやすくするくらいのことはわかっていても、どういった栄養成分があり、健康にどのような効果や効能があるのかなどはなかなか詳しくないもの。
七味唐辛子に対する知識を深めて、ぜひ栄養成分を健康に、美容に、役立てていきましょう。
七味唐辛子とは?
七味唐辛子の中身は何?
七味唐辛子というからには七つの成分が入っている……ということは、なんとなく想像がつくと思います。
ではその七つとは何なのか、と言われると困ってしまうかもしれませんが、実はこの七つに決まりはありません。主成分である赤唐辛子は必須ですが、それ以外の六種類は自由。
とはいえ、全国でも唐辛子のほか山椒、麻の実、ごまは共通しているようですから、あとの三つが地域等により変わってくるのです。
その中でも多いのは、けしの実、青のり、陳皮。これ以外にも、しょうが、なたね、しそなどが使われることもあります。
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七味唐辛子と一味唐辛子の違いは?
一味唐辛子との違いは、その名のとおり、味が七つか一つかということです。
すなわち、赤唐辛子のほかに六つの成分が入っている七味唐辛子に対して、赤唐辛子だけなのが一味唐辛子です。
ちなみに、一味唐辛子はレッドペッパー・チリペッパーとも呼ばれ、世界各国で親しまれていますが、七味唐辛子は日本独特のスパイスです。
七味唐辛子の栄養成分って?
七味唐辛子の栄養成分は、もちろん唐辛子以外の六つが何かによって変わってきます。
もっともポピュラーな唐辛子、山椒、麻の実、ごま、けしの実、青のり、陳皮であれば、含まれている栄養成分は以下のとおりです。
ビタミンB2・B12・C・E、カリウム、鉄分、たんぱく質、β-カロテン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、セサミン
七味唐辛子のカロリーってどれくらい?
七味唐辛子のカロリーは、100gでおよそ395kcalです。
数字だけ見るとけっこう高く感じるかもしれませんが、七味唐辛子を100gも食べることはまずありません。
実際に使うのは数gのものですから、カロリーはあまり気にしなくても大丈夫でしょう。
七味唐辛子に賞味期限ってあるの?
七味唐辛子にも賞味期限はあります。
なぜなら、七味唐辛子は自然食品の一種だから。光や湿気、気温の変化などで品質や風味は徐々に落ちていってしまうのです。
冷蔵庫で保存すれば比較的長期間もたせることもできますが、基本的には一年ほどと考えましょう。もちろん環境が良くなければそれだけ痛むのも早いです。
それとは別に、生の唐辛子が使われた七味唐辛子は一週間ほどしかもちませんので注意が必要です。
七味唐辛子の世界的歴史
日本の食生活に重要な七味唐辛子ですが、そのルーツは七味唐辛子の中に入っている薬味の主役たる唐辛子の歴史にあります。唐辛子は英語でカプシム・ペパー(Capsicum Peppers)と称されています。別名でレッド・ペパー(Red Pepper)、チリ・ペパー(Chilly Pepper)、ピマン(Piment)という名で知られています。
唐辛子の始まりは南米のインディオたちが下痢や痙攣の抑えるために薬用として利用していたことが始まりです。その頃彼らたちの間では唐辛子を英語でアヒ(axi)と呼んでいました。英語で呼ばれるアヒがペパーやシナモン、クローブの世界三大香辛料と同等に扱われるまで世界中に伝えられたのは、それほど昔の話ではありません。歴史的には500年を経たくらいの話です。歴史は浅いですが、生育に関して気候や土壌に順応性がある植物だったのでアメリカ大陸から世界の地域への伝藩のスピードはとても速かったです。
唐辛子が英語圏のアメリカ大陸からヨーロッパに伝えられたのは、1995年コロンブスが新大陸を発見した歴史に残る大きな出来事と同時に、彼が英語圏であるアメリカ大陸で見つけた唐辛子をスペインに持ち帰ったことがきっかけとなり、唐辛子がヨーロッパに伝わりました。その後中国やタイなどのアジアでも唐辛子は格安でしかも食欲を増進させる香辛料であるということで、急速に普及していきました。日本に普及してきたのは、コロンブスがスペインに唐辛子を持ち帰った後、50年ほど経った16世紀中頃のことです。唐辛子を使った薬味が生まれた歴史の始まりです。
七味唐辛子の効果や効能って?
七味唐辛子のメインとなる赤唐辛子には、カプサイシンが含まれています。
これにより、発汗を促したり、代謝を活性化させたりする効果が期待できるでしょう。
また、意外なことに、唐辛子には体温を下げる効果もあるのです。これは、カプサイシンによる発汗が気化し、その気化熱によって体温が下げられるから。アジアの暑い地域で唐辛子がよく食べられているのは、実はこの効能が見込まれてのことなのです。
ほかにも、唐辛子には新陳代謝がよくなったり、中性脂肪が低下したり、デトックスや肌質の改善したりの効果があると言われています。
中身の成分によっては、さらに栄養や効能がプラス!
七味唐辛子の中身に以下のものが含まれていれば、もちろんそれぞれの効果もプラスされます。
- 山椒…新陳代謝がよくなる・鎮痛効果
- ゴマ…二日酔い予防・美肌効果
- 芥子の実…抗酸化作用・骨や歯の強化
- 陳皮…抗酸化作用・風邪の予防
- 麻の実…抗酸化作用・食欲増進効果・滋養強壮
- 青海苔…抗酸化作用・老廃物の排出効果
唐辛子がお米を守ってくれる
お米につくコクゾウムシは唐辛子の成分を嫌います。
ですから、七味唐辛子を袋に入れて米びつに入れておけば防虫になるでしょう。
七味唐辛子ダイエットって何?
唐辛子でダイエットができる……そんな話を聞いたことがある人も多いと思います。
しかし、実際に試したことがある人でなければ、どういったものなのかまったく想像できないのではないでしょうか。
七味唐辛子ダイエットのやり方
七味唐辛子ダイエットの方法はとても簡単で、食事に七味唐辛子を振りかけるだけ。うどんやそばに限らず、メニューがなんであってもかけるのです。
これは、唐辛子に含まれるカプサイシンという成分を利用したダイエット法で、発汗作用のあるカプサイシンを摂取して汗をかき、身体の代謝機能を高めて脂肪を燃やすという仕組みです。
七味唐辛子ダイエットって効果あるの?
実は、七味唐辛子ダイエットは、食べるだけでは効果がありません。
なぜなら、カプサイシンにあるのは脂肪を分解する力まで。燃焼させる力はないのです。
そして、分解された脂肪も、時間がたつとまた脂肪として蓄積されてしまいます。
七味唐辛子ダイエットを成功させるには
七味唐辛子ダイエットを成功させるには、カプサイシンによって分解された脂肪をきちんと燃やしてあげる必要があります。
そのためには、有酸素運動が有効。
通常、有酸素運動は20分以上おこなってようやく脂肪が燃えてきますが、あらかじめカプサイシンで脂肪を分解しておけば運動をはじめてすぐに燃焼しだしてくれるのです。
七味唐辛子の作り方
七味唐辛子って自分で作れる?
七味唐辛子は、地方だけでなく、製造しているメーカーや店舗によっても中身や成分、割合がまったく違います。
ですから、自分で作ることももちろん可能。
うまくいけば、自分にとっての万能調味料が出来上がるかもしれませんよ。
七味唐辛子作りのコツ
七味唐辛子に決まりはありません。
赤唐辛子をベースに使えば、あとは好きなものを六種類加えるだけ。もちろん、自分の好きに作れるのがいいところなのですから、全部で七種類でなくてもいいでしょう。
一からあれこれと加えて好みの味を見つけるのも楽しいですが、お気に入りの商品がいくつかあるようならそれらに共通する材料をベースに、残りを探すのもよさそうです。
まったく同じ中身で割合が違うとか、まるごと入っているゴマをすってみるだけでも随分変わるものですよ。
老舗の七味唐辛子の原材料
七味唐辛子は七つの素材(七味)がブレンドされている唐辛子であれば、どれも七味唐辛子と言えます。しかし手作りで七味唐辛子作りにチャレンジするにしても、どんな材料を加えると辛さや香りのよい手作り七味唐辛子ができるのかおおよその目安は知りたいところです。そこで老舗七味唐辛子屋さんの七味唐辛子の原材料を調べてみました。配合も知りたいところなのですが、配合を問い合わせたところ、どのお店も「配合については秘伝の配合につき公開もしていないし、回答も控えさせてください」とのことなので、原材料のみご紹介いたします。
東京:やげん堀
<原材料>
赤唐辛子(生)、赤唐辛子(焙煎)、粉山椒、黒ゴマ、陳皮、けしの実、麻の実
ほどほどの辛味があり香ばしい黒ゴマの香りと山椒のすうっとした味わいと香りが程よい調和のとれた七味唐辛子です。味だけではなく漢方からの効能も考えて作られている七味唐辛子だそうです。
京都:七味家本舗
<原材料>
赤唐辛子(乾燥)、青海苔、粉山椒、黒ゴマ、白ゴマ、青紫蘇、麻の実
創業1703年の老舗七味唐辛子屋。創業当初は唐辛子の粉を白湯に入れて清水寺へ来た参拝客や修行の行者にふるまっていたが唐辛子に山椒やゴマ、紫蘇などの薬味を合わせることで秘伝の七味唐辛子が創案されたそうです。辛さと香りの調和のとれた七味唐辛子です。
京都:原了郭
<原材料>
赤唐辛子(乾燥)、青海苔、粉山椒、白ゴマ、黒ゴマ、けしの実、麻の実
原了郭の七味唐辛子の特徴は色が黒っぽいことです。ですから商品名も「黒七味」と言います。材料をから煎りして唐辛子と山椒の色がわからなくなるまで丁寧にもみ込むことで独特の黒っぽい黒七味を作り出しています。鼻に抜ける豊かな香りと、深い味わいそして唐辛子のピリッとした辛さが特徴で独特の風合いと香りのよい七味だそうです。
長野:八幡屋礒五郎
<原材料>
赤唐辛子(乾燥)、生姜、粉山椒、黒ゴマ、陳皮、青紫蘇、麻の実
辛みを出すために唐辛子、辛味と香りの両方を兼ね備えている山椒、風味と香りのよい麻の実、ゴマ、陳皮、紫蘇の七種類が原材料として使われており、辛みと香りの調和のとれた独特の味わいだそうです。
七味唐辛子を使うときに注意すること
七味唐辛子は、とても使い勝手のいい香辛料だということがわかってもらえたのではないでしょうか。
ただ、少しだけ、注意しなければならない点もあるのです。
それは、アレルギーと虫。
七味唐辛子は中身が決められていないぶん、アレルギー体質の人は自分が避けなければならない成分が入っていないかどうか、商品ごとに確かめなければなりません。くれぐれも、最初に使った七味唐辛子が大丈夫だったからといって、次も大丈夫だと楽観しないようにしてくださいね。
また、防虫に使える唐辛子ですが、中には、唐辛子を好んでやってくる虫もいます。
ノシメマダラメイガという虫がそれですが、梅雨から夏にかけてはとくに、被害がないかどうかよく確かめましょう。この虫は、未開封の袋の中に入り込むこともあります。
この二点だけ気をつけて、ぜひあなたも自分にぴったりの七味唐辛子を手に入れてみてはいかがでしょうか。