2018年9月19日更新

どんことしいたけの違いは何だろう?

干しシイタケ

どんこってご存知ですか?干ししいたけを買いに行くと、袋に「どんこ」と名称が表記されている干ししいたけを見つけます。「どんこってどんな種類のしいたけなんだろう」などと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。そんなわけで、今回はどんこについてお話します。

  1. 目次
  2. どんことしいたけの違いって?
  3. どんこの産地
  4. どんこと生しいたけはうま味が違う
  5. どんこの戻し方
  6. 「どんこ」という方言もある
  7. どんこは肉厚で小さめの乾燥しいたけ

どんことしいたけの違いって?

どんこを見れば乾燥しいたけだとわかりますが、どんこは普通のしいたけと種類が違うわけではありません。どんこというのはしいたけの品種のことではなく、しいたけのかさが開ききらず、7分以下までに開いたときに採取したしいたけを乾燥させたものをどんこというのです。

しいたけにはそのまま食べる生しいたけと乾燥しいたけがある

しいたけにはそのまま食べる生しいたけと乾燥しいたけがあります。乾燥しいたけはしいたけのかさが十分開ききらないうち採取して乾燥させた「どんこ」や、どんこよりかさが大きく開いてから採取して乾燥させた「こうしん」とよばれるものがあります。生しいたけも乾燥しいたけのどんこも、しいたけの種類が違うわけではありません。

どんことは乾燥しいたけのこと

どんこは冬菇もしくは冬子と書きます。どんこはまだ開ききっていないときに採取されたしいたけなので、かさの縁が丸まっており、丸型で肉厚の乾燥しいたけです。表面に亀裂が入っているのが特徴です。

どんこの産地

しいたけは日本を代表するきのこです。近年は中国でもたくさん栽培されていますが、栽培量の多さは日本が一番多く品質も他国より優れた品質です。そのしいたけのかさがまだ開ききらないうちに採取して乾燥させたどんこの生産地は、かなり限られた地方でしか生産されていません。どんこの生産量日本は大分県で一番多く全体の40%にもなります。つぎに宮崎県が17%の生産量を誇り、そのほか熊本、愛媛、岩手、栃木、静岡、長崎、茨城、鹿児島と続きます。

どんこと生しいたけはうま味が違う

どんこは生のしいたけと違い、濃縮されたうま味があります。どんこにはうま味の主成分であるグアニル酸がたくさん含まれていますが生のしいたけにはほとんど含まれていません。

どんこに含まれているうま味成分であるグアニル酸は、乾燥させる過程で酸素が作用し生成され、乾燥したものを水に戻すことによってされに増えます。そのため戻し汁の中には美味しい味がたくさん含まれているのです。どんこの戻し汁の中にはうま味や有効成分がたくさん出ているので捨てずに使いましょう。

どんこの戻し方

一般的な戻し方は水に浸して、冷蔵庫の中で一晩かけて戻すと、うま味成分が一番よく出ます。冷蔵庫内で戻す理由は、低温で戻すと甘味が出るからです。またどんこは肉厚なので、普通の乾燥しいたけに比べて戻す時間が長くかかります。およそ9~12時間が戻す時間の目安です。

また戻すときはどうしても浮いてきてしまうので、蓋つきのタッパーなどを使い、浮いてきたものを蓋で押さえつけ、しっかりと水につかる状態にします。軸の部分は戻すのに一番時間がかかるので、軸をさわって弾力があれば全体が戻った目安にもなります。軸の部分もかさの部分と同じくらいうま味成分と栄養分が含まれているので、捨てずに食べやすく刻むなどして使うようにしましょう。

出来上がりの形にこだわらないのなら砕いて使おう
最終的に細かくカットして調理に使うのであるなら、乾燥した状態のものを細かく砕いて戻すと、水に接する面が増えて戻す時間を短縮することができます。

細かくカットして調理するにしても、包丁が入る程度(1時間ほど)に冷蔵庫で戻した後に、細かくカットしてからもう一度30分~1時間水に浸し冷蔵庫で戻すのがおすすめです。

ぬるま湯を使うとうま味成分が減る

ぬるま湯や電子レンジを使って戻すと、戻す時間は短縮できますが、うま味成分が減ってしまいます。急いでいるからといって70℃以上の熱湯を使ってしまうとうま味が抜けてしまうので気を付けてください。たとえば70℃の湯とは鍋ややかんの底から小さな泡がだいぶ増えてきた頃が70℃の目安です。湯呑やマグカップなどに湯を注いで手で持てるくらいの温度です。電子レンジを使うと、70℃以上の状態で戻してしまいがちです。どうしても急いで戻したいときは、ぬるま湯に砂糖を少量加えて戻すと時間を短縮できる上に、味もまろやかになりますが、本来のうま味とはやはり違うのであまりおすすめはできません。

「どんこ」という方言もある

しいたけについて話しているときは想像しませんが、「どんこ」という言葉だけをきくと、魚の「どんこ」を思い描いてしまうこともあります。三陸地方や山形県の由良漁港や北海道では海水魚のエゾイソアイナメのことを「どんこ」と呼びます。

また食べ物でありませんが、三重県の四日市の方言で「どんこ」というと鈍行列車(各駅列車)のことを指します。北海道では「冬子(どんこ)」を冬に生まれたとか、動物の子という方言に使ったり、鹿児島弁や千葉県の方言の中に「どんこ」と呼ぶような方言があり、会話の中で「どんこ」という呼び名は、イコール乾燥しいたけと理解してもらえず誤解されてしまうこともあります。

どんこは肉厚で小さめの乾燥しいたけ

どんこはしいたけのかさが7分くらいにまでしか開いていないうちに採取して乾燥させた肉厚の乾燥しいたけです。生のしいたけと品種が違うわけではありません。乾燥しいたけのどんこは生しいたけにはないうま味がたっぷりあります。戻すには時間がかかりますが、水に浸け冷蔵庫でゆっくり戻したどんこは、戻し汁にもたっぷりうま味や有効成分が出ています。時間に余裕をもって上手もどし、美味しい成分をぜひフル活用してください。