2018年10月7日更新
マゴチの食べ方。卵や肝もうまい!
グロテスクな顔立ちのマゴチ。ルアー釣りや沖釣りに人気の魚です。見た目からは想像できませんが、マゴチは食べても美味しい魚なんですよ。その味はヒラメ以上だと評価されることもあります。グルメの方は「冬はフグで夏はゴチ」などと言いますが、マゴチはそのゴチの仲間です。今回はマゴチの美味しい食べ方をご紹介します。
マゴチってどんな味?
ヒラメに匹敵するほど美味しいと言われるマゴチは、カサゴ目コチ科の魚です。コチの中では大型の種類で、成魚は40~50cmくらい。大きいものは80cmほどの個体が釣れることもあります。海岸から海水30mほどの砂泥底に生息していますが、産卵期になると河口の汽水域に侵入してきます。ルアー釣りや沖釣りの対象魚としても人気のマゴチ。
白身の高級魚として扱われており、料亭では高級で高価な食材としてふるまわれます。しかし自分で釣り上げたマゴチを上手にさばいて、美味しく調理すれば、ただで料亭の高級食材を堪能することができますよね。
味の評価はヒラメと匹敵すると評価されているマゴチの味は、程よく脂がのっていて、肉質もこれまた程よい弾力があり、透き通った白身の上品な味わいだそうです。頭や中骨からもよいだし汁が取れるほか、卵や肝も美味しいと言われます。残念なのは鮮度落ちがとても早いので、釣ったものはすぐに締めてきちんと血抜きするのが美味しく食べるコツです。
マゴチの旬はいつ?
コチの仲間であるマゴチも、「夏と言えばスズキかコチ」と言われる夏を代表する昔ながらの高級魚。マゴチの旬は夏前後までが美味しい旬の時期だと言われます。市場では年間を通じて流通量の多い魚ですが、特に初夏から秋にかけて多く出回ります。産卵期が春から夏なので、春から夏前後までがマゴチの美味しいシーズンです。
寄生虫の危険性はある?
どんな魚にも多かれ少なかれ寄生虫の心配はありますが、魚に寄生しても人間には寄生せず食品衛生上では問題ない寄生虫もいます。実際マゴチの寄生虫についても、食品の安全に関する情報を提供する施設や研究所などの報告から、いくつかの寄生虫の存在が報告されています。しかし人の体に寄生する危険性のある寄生虫がいる報告は上がっていません。
マゴチには危険性のある寄生虫はいませんが、寄生虫が全くいないというわけではありません。また人体に悪影響はないといっても大量の寄生虫がいる魚を食べれば、症状は軽くても一過性の食中毒の症状がでたという事例もあります。農林水産省では、寄生虫がいる魚は加熱すると寄生虫を殺すことができるほか、多くの寄生虫は-20度以下で48時間以上冷凍すると寄生虫を死滅することができるけれど、この場合は死滅しない寄生虫もいるので注意が必要だという内容で、寄生虫による食中毒の予防を呼び掛けています。
食品衛生上、人体への危険性はありませんが、マゴチを宿主とした寄生虫をいくつかご紹介しておきますので、釣りをされる方などはご参考にしてください。
フィロメトラ
マゴチの卵巣内に寄生する線虫類です。マゴチのほかスズキやカサゴの卵巣にも寄生しています。黒褐色の糸状の寄生虫で、10~20mmくらいの体長です。多い時は数百匹が絡み合って寄生していることがあります。ただ人には寄生しないので食品衛生上には問題ない寄生虫だとされています。
クドア(kudoa)
マゴチの身肉内に寄生する寄生虫です。分類学上はミクソゾア門粘液胞子虫網多殻目です。マゴチの体側筋肉に1~2mmくらいの白色あるいは淡黄色の被嚢を多数形成します。しかしこれも人には寄生する心配のない寄生虫です。人の体内で成育することはありませんが、クドアに寄生しているヒラメを刺身など生で食べ、下痢や嘔吐などの症状を発症したという事例は報告されています。症状は軽く後遺症もないけれど、一過性の食中毒の事例の報告はあります。
コチトゲナシツブムシ
ツブムシ科カイアシ類の寄生虫。マゴチの口の中にいる寄生虫です。これも人体への影響はありませんが、マゴチに寄生している寄生虫です。
マゴチとメゴチの違いはなに?
マゴチと一字違いでメゴチという魚がいますが、マゴチとメゴチは何が違うのかというと、学術上は、マゴチもメゴチも同じスズキ目カサゴ亜目コチ科です。そしてマゴチはコチ属、メゴチはメゴチ属の魚です。地方名でメゴチと呼ばれる魚がいますが、それはカサゴ亜目コチ科メゴチ属のメゴチとは全く違う魚です。
さてカサゴ亜目コチ科のメゴチとマゴチは同じコチの仲間ですが、見た目の違いは、マゴチは大型の魚、メゴチは10cm~20cmくらいの小型で、マゴチよりもずっと小さな個体です。体色も違い、マゴチは砂に擬態して砂底で生息しているので砂地になじむ目立たない色合いです。それに対してメゴチは、腹側は白色、背側は褐色で体に斑点があります。共通する点はどちらも背びれと尻ビレが尖っていて刺さると痛いという点です。
マゴチは高級魚と言われますが、メゴチは一般的には高級魚扱いはされていません。しかしメゴチの身はあっさりした淡白な味わいで、上品な味の白身魚のキスに劣らない美味しさだそうです。天ぷらすると美味しいと言われています。またマゴチを釣るときにメゴチを餌にすることもあるようです。
マゴチの上手なさばき方
高級魚のマゴチを料亭で注文すると高価な一品ですが、自分で釣ったマゴチなら料金はただ。せっかく高級魚を釣り上げたのですから、上手にさばいて美味しく料理して高級魚をただで堪能してしまいましょう。新鮮なマゴチは刺身、特に薄造りが絶品だと言われます。高級魚を美味しく食べるために、まずは上手なさばき方をご紹介します。ぬめりの強い魚なのでさばくときは軍手やゴミ手袋を用意し、ヒレを切るための食用ばさみ、包丁、もちろんまな板もご準備ください。
- 毒はありませんが、刺さると痛いので、背びれ、裏返して尻ビレ、そしてエラ蓋の両脇に突き出している鋭い突起を食用のはさみで切り落とします。先に鱗を落とす方もいますが、魚を下すのに慣れていない方は、ヒレを先に切り落とすことがおすすめです。切り落とすときは尾の方から頭に向かって切っていきます。軍手をはめて作用すると滑らずしっかり魚を押さえられます。
- 次に水道水を流しながらワイヤ―ブラッシなどで全体の鱗を落とします。
- 鱗が取れたら逆さまにして、エラに包丁を入れ、頭を背側に折り曲げて頭につながる中骨を折ります。こうすると頭が外れます。
- そのまま裏返し腹を裂き内臓を取り出します。この時卵が入っているは、卵を上手に取り出して、卵も調理に使います。内臓を取り出したらよく洗い、水道水を止めます。
- 頭と内臓を取ったら中骨に沿って背開きします。この時包丁を前後に動かしながら骨と身を切り離していきます。
- 片身を切り離すことができたら、中骨を下に立てて骨に沿って包丁を入れ、身と骨を外していきます。
- これで身肉2枚、中骨、頭、内臓、卵があれば卵が上手にとれます。
マゴチの美味しい食べ方!卵や肝も美味しい
白身の高級魚といわれるマゴチは、身は透明感のある白身で刺身、特に薄造りが美味しいと言われます。味わいはフグにも似ているとか。そして白身魚の定番の塩焼き、から揚げ、煮付けはマゴチの美味しい食べ方です。塩焼きは身離れがよく、から揚げは身肉に程よい弾力があり、煮付けは身肉がしっかりしているので長く煮付けても身崩れしません。
卵を取り出せたときは醤油とみりんで煮切ると美味しいそうです。そして何とマゴチの肝も絶品だとか。肝を軽く熱湯と酒で茹で、冷水にとったものをわさび醤油やポン酢で食べます。その味わいはうま味がたっぷり詰まった濃厚な味だそうです。中骨やアラからも美味しいだし汁が取れるので、アラも捨てずに美味しく活用してください。
マゴチのあら汁
夏におすすめのさっぱりしたマゴチのアラ汁です。マゴチが手に入ったら、身は刺身で、中骨とアラはだし汁にすると、無駄なくマゴチを味わうことができます。刺身で余った身はアラ汁の中へ。マゴチは身がしっかりしているので、多少長めにだし汁の中で加熱しても煮崩れしません。マゴチをおろす時、中骨に身を多めに付けておろすと、骨に付いた身もだし汁の中で楽しめます。
<材料4人分>
- マゴチ(40cm)1尾
- 玉ねぎ(薄切り)1/2個
- ねぎ(青い部分)5cm
- 酒100cc
- 水500cc
- 塩小さじ1杯
- 醤油小さじ1杯
マゴチのから揚げをアレンジしたマゴチのチリソース
https://cookpad.com/recipe/4634674
淡白でクセのない味の白身のマゴチの身肉は、豆板醤などを使った中華風の味付けとも相性が合います。ご紹介するレシピはマゴチのから揚げを中華風にアレンジしたおすすめのお料理です。から揚げにしたマゴチは、身肉に弾力があり、パリッと揚がった衣との食感が美味しい一品。から揚げ用の片栗粉は、市販の鶏のから揚げ用の粉でも代用できます。マゴチのから揚げは白身魚なので低めの温度(160~170度)で揚げるのがコツです。
<材料2人分>
- マゴチの切り身2つ
- (下味用調味料*)
- *塩コショウ少々
- *砂糖少々
- *酒少々
- *豆板醤小さじ2
- トマト3個
- ニンニク 3片
- 生姜 1個
- ケチャップ大さじ3
- 長ねぎ1本
- 卵(つなぎ用)1個
- 米酢 大さじ2
- 片栗粉 から揚げ用絡まるぐらい
- 片栗粉 とろみ用小さじ2
マゴチを美味しく味わおう!
食通の人に言わせると「冬はフグ、夏はコチ」と言われるほど夏においしいコチの仲間のマゴチ。夏が旬の高級魚と言われています。釣ったマゴチを売ったらいくらくらいになるのかと考えると、たいそう立派な魚を釣り上げたものだと自慢したくなりますね。料亭で食べると高価なマゴチのお刺身も、自分で釣って上手にさばけば、ただで料亭の高級な味が楽しめるわけです。マゴチを釣り上げた時は上手にさばいて、ぜひ美味しく味わってください。