2016年11月15日更新

食品添加物ナイシンの用途や使用基準

ナイシンとは、乳酸菌からつくられる抗生物質のことを言います。ナイシンは食品の保存料として添加されることがありますが、その使用は限定的です。ナイシンとは一体どのような物質で、食品添加物としてどんな食品に使用されているのでしょうか。

  1. 目次
  2. ナイシンとは
  3. ナイシンの食品添加物としての用途
  4. ナイシンの危険性

ナイシンとは

ナイシンとは、乳酸菌の発酵によって生成される、ペプチド性の抗生物質のことを言います。ちなみにペプチドとは、アミノ酸が結合した物質のことを言います。

ナイシンは構造が複雑で、化学合成を行って生成するのが困難とも言われていますので、通常、商業的に生成されるときには牛乳などを培養したり、発酵大麦エキスなどを発酵させたりして生成しています。

食品添加物としては、保存料の用途で使用されており、日本では2009年に認可されています。その他の用途としては、化粧品や健康食品などに使用されることがあります。

ナイシンは、海外においてはがんへの効能があるのではないかという見方がなされています。まだ動物実験の段階ではあるようですが、ナイシンは既に食品添加物としての利用があるため、ヒトへの適用も時間の問題であるとされているようです。

食品添加物といえば、毒性や危険性を懸念する向きがありますが、この物質にはむしろその逆とも言える、思わぬ効能が見出されつつあるのです。

ナイシンの食品添加物としての用途

ナイシンは、グラム陽性菌の成長を抑えて、食品を長持ちさせる目的でプロセスチーズや肉類、飲料などに食品添加物として使用されています。国による使用基準が設定されているため、食品への使用は限定的になっています。また、毒性など安全性に関する実証は未だ十分ではないようです。

ナイシンの危険性

ナイシンには毒性はないとされていますが、国による使用基準やADIが設定されています。抗生物質であるため、体に有害な細菌を殺す働きをしてくれますが、一方では腸内細菌などの常在菌までも減少させてしまう恐れがあります。また、ナイシンを摂取することで耐性菌を発生させてしまう可能性も考えられます。

海外では、以前からナイシンの食品添加物としての使用用途はチーズ、乳製品、缶詰など限定的でしたが、日本は従来、大豆製品や魚卵、魚介乾製品など、より多くの食品に使用されていました。

しかし、国内で様々な論議があったため、使用基準が設けられ用途も見直されることになりました。現在の使用基準でナイシンの使用が認められている食品類は、食肉製品、チーズ、ホイップクリーム、ソース類、ドレッシング、マヨネーズ、洋(生)菓子、卵加工品、味噌とされており、使用量にもそれぞれ制限があります。

ナイシンは食品添加物である一方で、薬としての機能も併せ持つ物質であるがゆえに、どのような反応が起きるかわからない面もあるため、摂取のしすぎは好ましくないと思われます。