2017年6月21日更新

くわいとはどんな野菜?くわいの上手な食べ方について

くわい

お正月料理のお重の中にはいっているくわい。「芽が出る」という謂れから縁起の良い食べ物だと言われています。今回はその縁起がいい食材のくわいについてのお話しです。食べ方や栄養、そして調理の時の下ごしらえのポイントなどをまとめました。

  1. 目次
  2. くわいとは
  3. くわいの保存方法
  4. くわいの食べ方
  5. 旬のくわいを上手に調理

くわいとは

くわいは、湿地に生える多年草のオモダカ科の栽培品種で、別名には田草、燕尾草、クワエなどという呼び名があります。歴史が古い植物なので地方によって呼び名が様々なようです。くわいには青藍色の青くわい、淡青色の白くわい、小粒の吹田くわいの3つの種類があります。

日本では主に青くわいが一般的に使われています。ほくほくっとした触感で少しほろ苦いのが特徴です。ちなみに白クワイは中国でよく使われシャリシャリしている食感が特徴で、吹田クワイは野生種に近くほとんど食用には使いません。

くわいの季節・旬はいつ?

くわいの季節は、実際は9月頃から春先まで収穫の季節が続きます。しかし年間の流通量は11月下旬から1月頃までに集中しているので、この時期がくわいの旬の時期と考えられています。

くわいの栄養

でんぷん質が豊富で、手のひらに握れるくらいの大きさなのに、栄養価が高いのが特徴です。でんぷんやたんぱく質はイモ類の約4倍もあります。またカロリーは100gあたり126kcalとサツマイモほぼ同じです。主な栄養成分は炭水化物、食物繊維、ビタミン(主にヨウ素)、ミネラル(主にカリウム、マグネシウム、リンなど)が含まれています。他のイモ類に比べて炭水化物が豊富なのとヨウ素、カリウムが特に豊富なところが特徴です。

くわいの保存方法

購入してきたくわいは、数日で使ってしまう場合は乾燥しないように、袋に入れるなどして冷蔵庫の野菜室で2~3日保存できます。もう少し長く保存したい場合は、さっと水洗いして、そのまま口が閉まるジプロップやラップにしっかり包んで冷蔵庫の野菜室で保存するか、ボールやタッパなどの容器に水を入れてくわいを浸して冷暗所に置いてくともう少し長く(2週間くらい)保存することも可能です。

少し長く保存する時の注意は浸している水はこまめに変えるようにしてください。またこの保存期間はあくまでも目安にすぎません。保存状態や気候によって腐ってしまう場合もありますので、なるだけ早めに調理してしまいましょう。

くわいの食べ方

くわいは見た目も可愛く、主に煮物にして使います。里芋やジャガイモなどに比べて皮がむきにくく、アクが強いのであく抜きなどもしなければならず、下ごしらえに少し手間がかかってしまいます。

下ごしらえ

まず皮をむきます。むきにくい皮ですが、カブなど球形の材料の皮をむくときと同様に側面が6面になるように皮をむく「六方むき」で皮をむきます。お尻の部分から芽の部分に包丁を入れて一面をむいたら対面をむくように六面をむきます。こうすると見た目も美しく、煮崩れしません。

くわいの芽の部分は1cm位残してカットしてください。そして芽の皮の一番上だけを1枚むいておきましょう。なぜ芽の部分を少し残しておくかというと、くわいは「芽が出る」(出世するという意味を持つ)という縁起物とされているから、芽は全部切ってしまわず少し残しておくのが特徴的な形です。

またコロンとした形の底の部分は平らに切り落とします。こうすることでお皿やお重に並べた時にコロコロ転がらず並べることができるからです。

上手なあく抜きの方法

下ごしらえがすんだくわいはアクを抜きます。くわいはアクが強いので、きちんとあく抜きをしなければ苦味が残って渋くなってしまいます。調理する前にきちんとアクを抜いておくと苦味が減って上品な味を出すことができます。あく抜きは下ごしらえで皮をむいたくわいを、水をはったボールに約1時間つけておきます。そのあと、米のとぎ汁で10分ほど茹でさっと水で洗い流せばアクを上手に抜くことができます。

<基本の煮方>
鍋にだし汁、砂糖、みりん、醤油、塩をいれ、下ごしらえをしてあく抜きをしたくわいを入れ火にかけます。煮立ったら弱火にし、落し蓋をして煮含めます。煮えたら火を消し、鍋のまま冷まします。こうするとよく味がしみて美味しくなるんですよ。またくわいの色をより綺麗に出したい時はだし汁で煮る時にくちなしの美を一緒に入れて煮るとほんのり黄色みを帯びて綺麗に煮えます。だたしくちなしの実を取り出すタイミングが遅れてしまうと色が濃くなりすぎてしまうので注意してください。

煮物のほかの調理法

くわいをよく水で洗い、芽はつけたまま皮をむいて素揚げします。串が通るくらいになれば出来上がりで、お好みで塩をふって食べます。素揚げしたくわいはホクホクで、芽はサクサクと美味しく、おすすめできるくわいの美味しい食べ方です。

油で揚げなくとも、少し多めの油の中で転がすだけでも十分素揚げの状態になります。また煮物に使う時に切ってしまったくわいの芽は捨てずに、油で炒めたり、素揚げして美味しく食べることができるのでぜひ残さず使ってください。

旬のくわいを上手に調理

「芽が出る」と言われ出世につながる縁起物とお正月料理には欠かせないくわい。縁起をかつぐ長い芽は、煮る時の下ごしらえでは全部切ってしまわず、1cm位は残して切りましょう。下ごしらえやあく抜きをきちんとすれば苦味がなく美味しく調理できます。切ってしまった芽も素揚げや炒めて美味しく食べてくださいね。「芽が出る」くわい!美味しく召し上げってください。