2018年8月29日更新

おせちには欠かせない「ちょろぎ(ちょうろぎ)」とは

ちょろぎ(ちょうろぎ)

お正月料理のおせちに添えられているちょろぎ。ちょうろぎと呼ぶ地方もあります。黒豆の黒と赤のコントラストが綺麗でおせちに花を添えますが、ちょろぎはお正月のめでたい食材であるだけではなく、中国では中国の伝統医学である中医学の基づいた薬膳料理の食材としても使われているのです。今回はちょろぎについて調べました。ちょろぎとは一体どんな食材なのでしょうか。さっそく見ていきましょう。

  1. 目次
  2. ちょろぎ(ちょうろぎ)とは
  3. おせちの黒豆のトッピングはお馴染みの使い方
  4. ちょろぎの栄養と効能
  5. おせちに欠かせないちょろぎは効能がいっぱい

ちょろぎ(ちょうろぎ)とは

ちょろぎは中国原産のシソ科カッコウソウ属チョロギ種の多年草の植物です。学名はStachys affinis Bungeです。日本には江戸時代に伝わりました。食用として利用する部分は根にできる球根のように見える塊茎部分です。

ちょろぎの塊茎は白い色

塊茎は長さ1~3cmくらいの大きさで巻貝のような形をしています。おせちで見るちょろぎは真っ赤な色をしていますが、塊茎部分は泥を取ると白い色をしています。おめでたい食材として利用していますが、掘り出した見た目は形や色から芋虫にもにており、気持ちが悪いと思ってしまう人もいるかもしれません。おせちに使う赤いちょろぎは4~5日塩漬けにしたものを梅酢やシソ酢に漬けて赤い色を付けたものです。

ちょろぎは漢字表記がたくさんある

ちょろぎには色々な漢字表記があります。ちょろぎという音から「丁呂木」「丁梠木」、お祝いの料理に使うことでその縁起を担ぎ「長老木」「長老喜」「長老貴」「千代呂木」などと書きます。

中国ではちょろぎのことを「朝露葱」と書きます。ちなみに漢字表記ではありませんが、ちょろぎはネギ芋、法螺芋、甘露子、宝塔菜という別名もあります。

ちょろぎの味はピリッと辛い

ちょろぎは生でかじると少しえぐみがあります。しかし辛味や苦みはありません。加熱したちょろぎの味わいはユリ根やニンニクに似たホクっとした食感で、生姜のようなピリッと辛い味がします。

おせちの黒豆のトッピングはお馴染みの使い方

塩漬けし赤く色付けしたちょろぎは、おせちの黒豆の上にトッピングされているのはちょろぎの使い方ではお馴染みです。

そのほかちょろぎは、掘りたての白いちょろぎをそのまま素揚げにしたり、茹でてサラダにトッピングすることもあります。

天ぷら、炒め物、揚げ物、そして味噌漬けや醤油漬け、ぬか漬けなどの漬物にも利用します。形が面白いので茶わん蒸しや椀ものに数個、飾りに入れるのもおすすめの使い方です。

ちょろぎの梅の酢漬けと甘酢漬けのレシピ

赤いちょろぎはおせちの黒豆の上にはつきもの。それだけではなく、茶わん蒸しや椀ものの中に数個添える使い方も料理にアクセントを加えます。生のちょろぎが手に入ったら梅酢で付けて赤いちょろぎと甘酢に漬けた白いちょろぎを作り置きして、紅白のちょろぎで料理を飾って見ましょう。紅白で作り置きしておくと、色々な料理のトッピングにちょろぎを可愛く楽しめます。


<材料>

  • ちょろぎ正味160g
  • 砂糖20g
  • 酢80cc
  • 塩ひとつまみ
  • 梅酢80cc

作り方はこちら(クックパッド)

ちょろぎの栄養と効能

ちょろぎの栄養で特徴的なのは、含有される炭水化物の糖質はでんぷんではなく、すべてオリゴ糖であることです。オリゴ糖の効果から善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果に優れ、整腸作用に期待できる食材だと言われます。

脳細胞を活性化する効能をもつアクティオサイドという成分

ちょろぎの栄養成分で注目されるアクティオサイド。この成分はそもそも脳梗塞や腎炎に有効である成分だと言われている成分ですが、京都薬科大学等に席を置く山原篠二助教授らにより、ちょろぎの成分にアクティオサイドが含まれていることが研究報告されました。ラットを使用した研究の成果から、ちょろぎに含まれるアクティオサイドは低酸素状態の脳細胞を活性化する作用があり、脳の細胞の老化防止に効果的であることが実証されたのです。その効能から脳梗塞や痴呆症への予防の効果に期待されています

またアクティオサイドには強い抗酸化作用があり、その抗酸化作用の強さは、たとえば胃潰瘍になるほど胃酸が強くなっても偏りを調和し、胃潰瘍を防ぐ作用があるほどだと言われます。山原篠二助教授らによるちょろぎ成分の研究成果は、それまで、ある意味で「縁起の良い食材」だからという伝説的なちょろぎの効果を科学的に裏付けた研究発表だと、当時話題を呼びました。

薬膳料理の食材に使われるちょろぎの効能

中国の古い薬学書である「本草綱目」の中に、ちょろぎのことが記載されています。その内容ではちょろぎは「徐風破血」「下気精神」とあり、外からの病の侵入から体を守り、血の滞りを良くするとの内容です。血の流れがよくなるということはエネルギーの代謝がよくなり疲労回復、滋養強壮、精神安定、風邪予防に効果があるということです。ちょろぎは分析上の栄養成分以外に、中医学の考えから、その理念に叶った生薬としての作用も持ち合わせた食材だと捉われています。

おせちに欠かせないちょろぎは効能がいっぱい

おせちの黒豆に上に添えられるちょろぎは真っ赤で黒豆とのコントラストが綺麗です。形の面白さからほんの少し料理に添えることが多いちょろぎですが、薬膳料理の食材としても使われるほど、体に良い効能をたくさん持ち合わせている食材です。素揚げにしておやつ代わりに食べるのもよし、茹でてサラダに加えてほっくり食べるのも美味しそうです。日々の料理にちょっと加えてちょろぎの効果にあやかってみましょう。