2017年3月22日更新

きび砂糖・三温糖・てんさい糖!3つの砂糖の違い

調味料として使用されるお砂糖は、原料や製造方法によって色や成分に違いがあります。同じ砂糖という甘味料のカテゴリーの中でそれぞれに代用はきくようですが、色や風味に違いが出てしまうこともあります。だから最適なお料理もそれぞれです。今回はお砂糖の中でもきび砂糖、三温糖、てんさい糖に焦点をあてて、それぞれの原料や製造法、成分を調べ、3つのお砂糖の特徴を見てみました。それぞれに最適なお料理もご紹介します。

  1. 目次
  2. きび砂糖とは
  3. 三温糖とは
  4. てんさい糖とは
  5. きび砂糖・三温糖・てんさい糖の成分比較
  6. それぞれおすすめのお料理
  7. お砂糖にこだわり美味しく健康的な食生活しよう

きび砂糖とは

きび砂糖の原料や製造法

原料はさとうきびです。さとうきびはイネ科のサトウキビ属の農作物で茎(茎の髄)に大量の糖分を含んでいます。世界各国の熱帯・亜熱帯地域に栽培されていて、日本では種子島や奄美群島の徳之島、沖縄で多く栽培されています。きび砂糖はこのさとうきびを原料として、精製する途中の段階でさとうきびの糖液を煮詰めて作ったお砂糖です。製造過程で原料のさとうきびの苦みやアクを取り除いたまろやかな甘さのあるお砂糖です。

きび砂糖の特徴

製造方法でご紹介したように精製途中で砂糖液を煮詰めて作っているので、原料のさとうきびの風味がよく効いているお砂糖です。色は薄めの茶色でコクが効いているのが特徴です。上白糖より少しきめが粗いので重たい感じです。成分からもわかるように、うまみ成分が多いので調理した時に、色が濃くついたり、照りがつきやすい特徴があります。甘味に関してはほかのお砂糖と大差はないので、色の出かたや繊細な味を気にしないのであれば、上白糖などほかの砂糖の代用は可能です。

三温糖とは

三温糖の原料・製造法

そもそもの原料はさとうきびやてんさいです。これらを原料とした上白糖やグラニュー糖を分離して残った糖液(シロップ)を数回加熱してカラメル色に形成されたお砂糖が三温糖です。こうして作られた三温糖は日本独自のお砂糖です。基本的には上白糖と同じ製造過程で作られますが、最後の段階で分離された糖蜜を再三結晶化して糖蜜をまた加熱するため三温糖と呼ばれるようになりました。

三温糖の特徴

製造過程で白い砂糖を精製した後の糖液を繰り返し煮詰めたお砂糖なので、煮詰める過程で砂糖が焦げてカラメルのようになるため、色は薄い茶色をしています。白い上白糖に比べると甘みは強くしっかりとした味わいです。人間の味覚は不純物をしっかり取り除いた純度の高いものより、雑味のある方が味を強く感じるため、白い上白糖より三温糖の方が甘みや風味を感じます。しかしそれほどの大差はないので上白糖の代用として使用することは可能です。

てんさい糖とは

てんさい糖の原料・製造法

てんさい糖の原料はてん菜(ビート)です。てん菜は別名・サトウダイコン(砂糖大根)とも呼ばれます。北海道の代表的な農産物のひとつです。見た目は大根のようですが、ほうれん草と同じアカザ科の作物です。実際に食べるとほのかな甘みを持つ野菜で、大根のような白い根を刻んで煮出すことで糖分を抽出します。製造方法は原材料のてん菜から糖分を抽出して、ろ過して煮詰め、結晶と糖蜜にわけます。それぞれを乾燥させ、結晶部分は上白糖など白い砂糖へ、そしてこの糖蜜はてんさい糖になります。蜜を含んだまま高湿で乾燥させた砂糖なので、てんさい糖は天然の蜜の色である茶色をしています。

てんさい糖の特徴

甘みは、上白糖がしっとりした甘みとするなら、てんさい糖はまろやかな甘さに風味やコクが加わった甘みといえます。ミネラル分が豊富であるため、体質改善やダイエットにも効果的です。オリゴ糖が含まれているのがてんさい糖の一番の特徴で、腸内によく働きかけ腸内のビフィズス菌を活発にして腸内環境を整える手助けをしてくれる砂糖です。食べ物が消化され体内で糖に変わる速度を表した数値を「GI値」といいますが、上白糖などの白い砂糖を摂取した時とてんさい糖で糖分を摂取した時のGI値を比べると、てんさい糖を使った時の方がGI値が低いすなわちゆっくりと消化され血糖値が上がりにくいという調査から、肥満やインシュリンの分泌もゆっくり促すため糖尿病の防止に効果が高いと注目されています。

自然でやさしい甘さの砂糖 てんさい糖とは?
てんさい糖の害について

きび砂糖・三温糖・てんさい糖の成分比較

どのお砂糖も基本成分は炭水化物で97%以上をしめています。
きび砂糖は他のお砂糖に比べてカリウムが多く含まれているため腎臓病などでカリウムの摂取を制限されている方は避けたほうがよいお砂糖です。
三温糖は若干ですがカロリーが低め、てんさい糖はオリゴ糖が含まれます。

100gあたりの成分量およびカロリー
きび砂糖 三温糖 てんさい糖 上白糖
マグネシウム 3-20mg 2mg 0-0.3mg 微量
リン 1.1mg 0 0-0.3mg 微量
0.15-0.45mg 0.1mg 0-0.3mg 微量
亜鉛 0 0 0-0.1mg 0
カリウム 142mg 13mg 5-65mg 2mg
カルシウム 10-35mg 6mg 0-1mg 1mg
ナトリウム 10-30mg 7mg 15-85mg 1mg
オリゴ糖 0 0 5g 0
炭水化物 98.8g 98.7g 97.5g 99.2g
カロリー 396kcal 382kcal 390Kcal 384Kcal

それぞれおすすめのお料理

きび砂糖

原料のさとうきびの風味とミネラルがきいているので、煮物料理やケーキやクッキーなどのお菓子づくりのおすすめしたいお砂糖です。色が薄い茶色なので、白く泡立てるホイップクリームやスポンジを色薄く焼きたい時や、和食など繊細に素材の味を出したいお料理や、フルーツコンポートには不向きかもしれません。甘みは上白糖などの砂糖と大差はないので、代用しても問題はありませんが、風味や色合いが変わることがあります。

三温糖

色が黄褐色で特有の風味があり、甘みは上白糖などより強く感じる三温糖を使って調理するのにおすすめのお料理は、野菜やお魚の煮物料理や、味にコクをつけたいお料理におすすめです。つくだ煮の甘味料にもおすすめしたいお砂糖です。焦がして照り焼などに使う場合は、普通のお砂糖より早く香ばしくなります。

てんさい糖

てんさい糖の甘みは、まろやかで上品な甘さです。その甘みに加えお料理の味を引き出してくれます。ですからコーヒー、紅茶、スイーツ、ヨーグルトなど元の食べ物の味を活かしながらそこに甘みをだす使い方や、他のお砂糖と甘味に大差はないので代用もききます。成分に好評がありクセもないので、普段のどの食事にも積極的に利用していただいてかまいません。

お砂糖にこだわり美味しく健康的な食生活しよう

毎日の食生活に利用するお砂糖。原料や製造法の違いで成分にも多少の違いがあります。健康にいい砂糖を追求していくと精製された白い砂糖より、原料である糖液を煮詰めて色づいた褐色のきび砂糖、三温糖、てんさい糖の方がミネラルが豊富で体によさそうです。どのお砂糖も甘みに大差はなく、それぞれ代用できますが、色や風味に違いがあるので繊細な調理のときは気をつけましょう。毎日使うお砂糖を変えるだけで、健康的に、より美味しい食事が楽しめます。