2020年3月17日更新
酵母エキスとは?酵母エキスを使うとどんな効果があるのか?
酵母エキスとは抽出した酵母を濃縮し、エキス化したもののことを指し、様々な加工食品にうま味を実現する調味料です。うま味を出す味の素に並び謎が深い酵母エキスは赤ちゃんに使っても良いのでしょうか。効果についてもご紹介します。
酵母エキスとは
加工食品で溢れかえっている日本の食卓事情は、添加物が入っていないものを探す方が大変ですが、この酵母エキスも体に悪い添加物だと思われがちです。
そもそも酵母とは、私達の食事に身近なパンやビール、醤油や清酒、味噌といった食品の製造に使用されている菌類のことを指します。
酵母から有用な成分を抽出し、食品に使用される姿になって様々な食べ物にうま味を与えてくれる現代にはなくてはならない調味料です。
酵母エキスにはアミノ酸やペプチドといった名の知れ渡ったうま味成分を多く含むため、より舌が肥えた現代人のお腹を満たす優秀な成分となっています。
日本語では酵母、英語ではYeast(イースト)
日本語では酵母、英語ではYeast(イースト)といいます。そうですイーストはパンを作るときに使いますよね。
アルコールのことを日本語で酒精というのと同じです。
・酒精とは
マズイでお馴染みベジマイトは酵母エキスから作られている
日本人の口には合わないベジマイトは酵母エキスに塩などを加えて作られています。
ベジマイトの商品名の下に記載されている「yeast extract」を日本語にすると「酵母エキス」となります。
20数年前にオーストラリアのメルボルンに3年ほど行っていましたが、お世話になったお宅で毎日食べていました。最初は“最高にまずい!!”ものでしたが慣れれば大丈夫です。
大丈夫なだけで決して美味しいものではないと筆者は思います。。
味の素と並ぶうま味をプラスする酵母エキス
食のうま味を引き出す…と聞いてパッと思いつくのは味の素だという方も多いのではないでしょうか。料理に使用すると、そのうま味は良く舌の上で実感てきますが、そのままペロリと舐めただけではそこまで大きな味の特徴は分かりません。不思議なうま味を出す味の素に匹敵するほど、酵母エキスは食品に合ったうま味を与える働きをしてくれるのです。
うま味とは何なのか
ここまでうま味というフレーズが何度も出てきましたが、そもそもうま味とはどのようなものか分からないという方もいるでしょう。様々な物を食べ、色んな味の違いが判断できるようになってくると、甘みの中に苦さがあったり、深いコクが広がるような食感があったりと、食べる物、そして食べる側にとっても受け取り方は十人十色です。
しかし、うま味はそんな隠れた味わいのような複雑で言い表せないような味を持っているのが特徴でもあります。
例えば、
- アミノ酸が持つうま味と呼ばれる風味には、旨みや酸味が感じられるグルタミン酸やアスパラギン酸。
- 甘いと感じる風味には、グリシンやセリン、アラニンなどがあり
- 苦いと感じる風味にはリジンやアルギニン、フェニルアラニンなど
があります。一口にうま味と言っても人によって感じる「美味しい」の基準が異なるため、参考程度にはなってしまいますが、うま味には旨み、酸味、甘み、苦味などを総称してうま味と捉えられる成分ということになります。
酵母エキスから得られる効果とは
酵母エキスという成分表示は何気なくスーパーなどで手に取った商品の裏側に載っている意外と身近な存在の成分です。何度も目にしているけど実際どういったものなのか分からないという方向けに、酵母エキスから得られる効果についてお届けしていきます。
細胞の修復・生成
酵母エキスにはアミノ酸やビタミン類、そして核酸、ミネラル分なども含まれています。酵母エキスは、ビールなどを作った後に出るカスのようなイメージをされる方も多く、美容とは何の関係もないと思われがちですが、酵母エキスには肌を綺麗に保つためのこれらの成分が含まれているのです。
近年化粧品に配合されることが多くなった酵母エキスからは、アミノ酸の働きによって肌細胞の修復や生成などを行う効果が期待できるとされています。
また、酵母エキスにはビタミンB群も含まれているのですが、ビタミンB群は新陳代謝に関係したり、肌の細胞を作る上で重要な成分です。思いの他、豊富に含まれる成分は肌にとって良いメリットをもたらしてくれます。
乾燥肌を防ぐ
酵母エキスから得られる効果には他にも、乾燥肌を防いで保湿効果を与えてくれる点にもあります。人の肌に備わっている天然保湿因子がこの酵母エキスと似ている構造をしていることから、より肌の潤いを保つ働きをしてくれます。
また、酵母エキスは人の肌に良く馴染み、皮膚の上で潤いが蒸発しないように水分をキープし、乾燥肌に負けない肌作りを行います。
また、酵母エキスにはビタミンB2が含まれているのですが、酵母エキスに含まれるビタミンB2は、何かと肌トラブルに直結する皮脂の分泌量を調整してくれたり、含まれるアミノ酸の働きで水分を密着させる効果もあります。そのため、酵母エキスは肌に潤いを与えた上でその状態をキープする力に長けているということです。
酵母エキスは赤ちゃんにとって有害?無害?
酵母エキスは加工食品に使われている成分でもあり、今更良いのか悪いのか多くの人たちに賛否両論されている節はありますが、酵母エキスが悪く言われている原因は食品添加物として指定されているのではなく、「食品」として認定を受けてしまっているところにあると言えるでしょう。
酵母エキス自体はほぼ無害と言えるのですが、稀に酵母に対してアレルギーが出る方がいます。また、酵母エキスはアレルギー表示の義務がないことや、ただ美味しさを出すためだけの成分だということで、一部の方たちからはあまり良く思われていないのも事実です。
物によっては赤ちゃんの口に入る離乳食にもこの酵母エキスが含まれています。そんな状況から、赤ちゃんに酵母エキス入りの離乳食を食べさせても良いのか心配になる方が多いですが、全てのたんぱく質はアレルギーになる可能性があります。
人によっては体に重篤な症状をもたらす添加物も多い中で、自身の目や情報を頼りに体に良いものだけを口にするというのは時に困難を極める場合もあるでしょう。
様々な意見が出ている酵母エキスですが、全ての人に良い物などこの世には存在しません。特に幼少期は、体にとって良い栄養になるものを食べさせたいと考えるのが一般的ですから、心配であれば食べさせないというのが一番の対処法です。
また、赤ちゃんは旨みなどの味を持つ食べ物を生きるために大切な味とインプットしているため、旨み成分の多い酵母エキス入りの食べ物はクセになる場合もあります。
赤ちゃんや幼少期の子供は食品のそのままの味をまずは覚えさせ、慣れさせることから食育が始まりますから、数回の使用であれば問題ないと考えて良いですが、出汁などもなるべく昆布などの食材から取った方が良いと言えるでしょう。
謎多き酵母エキスは怖がらなくて大丈夫
現代人の口の中に入る物は、添加物なしの物を食べる方が珍しいと言えるほどに変わりました。情報量の多さや、耳に馴染まない成分の名前など、後から次々に覚えていくのは大変なことですが、敏感になりすぎて美味しいものを美味しく感じられないのが一番悲しい状態です。
謎が多い酵母エキスですが、正体は私達が昔から食べ慣れてきた醤油や味噌といったものにも含まれているため、過敏になり過ぎず上手な付き合い方をしていきたいものですね。