2018年5月26日更新
ナマズって食べれるの?ナマズの美味しい食べ方
「ナマズが暴れると地震が起きる」という言い伝えは有名な話ですが、このナマズ、実は世界的な食文化でも有名な魚で、各国で養殖もされているんですよ。今回はナマズの美味しい食べ方をご紹介します。ナマズを美味しく食べるにはまず下処理しなければなりません。そこで上手な下処理の仕方もリサーチしました。
ナマズは食べれるか?
河川の下流や湖、そして沼や用水路を生息地としているナマズは「地震を予知する魚」という言い伝えで有名ですが、その他にも諺(ことわざ)に使われたり、ナマズの特徴的な髭をなぞり、細長い口髭を「ナマズ髭」などと呼んだり、ナマズは生活の色々な表現に登場しています。
しかし本来は食用魚で、タイやベトナムなどの東南アジアでは高級魚とされ、重要なたんぱく源となっています。日本ではかつてかまぼこをナマズで作っていました。食べると美味しいと言われていたこともありましたが、現在の日本ではナマズは地味な存在で、細々と食べられているのみです。日本でナマズというと、ナマズにまつわる伝説の話の方がよく知られてことが大半です。
ナマズはナマズ目ナマズ科ナマズ属に分類されている淡水魚で、学名はSilurus asotusと言います。大きさは40~50cmくらい。大きいものは60cmになる個体もいます。ウナギに似た味わいだとよく評されます。
寄生虫による危険性はあるか?
ナマズには人の体に悪影響をきたす寄生虫がいることが確認されており、食品安全委員会やそのほかの研究センターから注意が呼びかけられています。ナマズの寄生している寄生虫は有棘顎口虫や日本顎口虫などが知られています。
これらの寄生虫はエサとなるケミジンコをナマズが食べて、そのナマズを人間が食べることで人の体内に寄生虫が入り込み、顎口虫症(がくこうちゅうしょう)を発症します。実際に発症した事例については東京都保健局や食品安全員会などより確認されています。
顎口虫症(がくこうちゅうしょう)の症状とは?
有棘顎口虫や日本棘顎口虫などが人の体に寄生すると、腸壁を貫いて体内を移動し皮下組織内を移動します。そのため皮膚上に寄生虫が移動した痕がミミズ腫れのように赤くなり、皮膚の浅いところは皮膚の外部から移動した痕か観測できるほどです。目や脳に侵入する場合もあり、失明や脳障害などの重篤な症状を発症する危険性もあります。
寄生虫の予防はどうしたらよい?
寄生虫は身肉の中心までしっかり加熱することで死滅させることができます。また-20℃で48時間以上冷凍させることで寄生虫を死滅させることができます。ただ一般家庭にある冷蔵庫で-20℃に冷凍することは難しく、中には冷凍では死滅せず生き残ってしまうものもあるので、生食の場合は判断が難しいところでもあります。
寄生虫による食中毒の予防としては生食を避けることがすすめられていますが、実際には刺身も美味しいナマズ。刺身など生食で味わう場合は養殖もののナマズを利用するのが一番のおすすめです。また生息環境の良いナマズで内臓をきれいに取り除いて調理したものを生食で味わうのも予防の一つです。
寄生虫の外見などを覚えておき、見つけたら取り除くことも、魚好きの方は自分の料理の知恵袋に記憶しておくのも寄生虫を予防するにはいい方法かもしれません。
ナマズの下処理の方法
ナマズはウナギに似た味わいで、ウナギよりもさらに脂が乗って美味しいと言われます。蒲焼や天ぷらなどにして食べると絶品だそうですが、釣った環境などによっては泥臭さが気になることもあり、ナマズは調理する前に下処理する必要があります。
泥抜きの方法
生息域によっては泥抜きしなくてもいいという声もありますが、ほとんどの場合、ナマズの下処理は泥抜きから始めます。
泥抜きをしている間、ナマズが酸素不足になってしまわないように、エアーポンプ(金魚のぶくぶくと呼ばれているもの)を利用してナマズの入っている容器に酸素を送ってナマズに泥を吐かせていきます。
エアーポンプを利用しない場合、ナマズは水道水に強い魚なので容器の中に水道水を入れて、蛇口の下に容器を置き、蛇口から水をちょろちょろとだして流水した状態で、容器の中で泥を吐かせる方法もあります。この方法でもナマズを酸素不足にさせずに泥を吐かせることができます。どちらの状態でも3日~1週間水の中に入れてナマズに泥を吐かせます。
臭み取りの方法
ナマズには臭みがあります。泥が臭みの原因の一つとなりますが、ナマズの臭みは体のヌメリも原因なので、泥抜きを終えたら体のヌメリをよく取ります。
ナマズの体はつるつるとヌメリが多く、このヌメリが臭みの大半の原因となっているのです。ヌメリを取るために、ナマズの体にあら塩をよく振り、あら塩を体にすり込んでよく洗い流して、ヌメリを取ります。これで大方ヌメリは取れますが、まだ体はツルツルしているので、さばく時は、しっかり体を押さえられるように軍手などを用意してするとよいでしょう。
ナマズの上手なさばき方
ナマズの味はクセが味だといわれます。ナマズの身肉はハマチに似たすこし桃色がかった白身です。東南アジアではよく食べられている人気の魚で、今ではナマズを食べる習慣がなかったヨーロッパでも輸出されて食されているそうです。日本ではナマズ料理は地味な存在なので、ナマズなんてさばいたことはない!という方もいらっしゃるかもしれませんが、上手にさばいて世界的にも食用魚としての文化を持っているナマズ料理を堪能してみましょう。
今回のナマズのさばき方は服部栄養専門学校の技術指導をされている小林寿朗氏のナマズのさばき方を参考にご紹介します。
日本のナマズとアメリカナマズの違い
ナマズはアメリカでもムニエルやフライにしてよく食べられている魚です。日本のナマズは尾がウナギのようになっており、背びれも胸ビレも強調した形をしていませんが、アメリカナマズは日本のナマズと姿がちょっと違います。アメリカナマズは尾がサケのような尾をしていて、背ビレや胸ビレに棘のような硬い骨があります。またエラの下側にも鋭く尖った部分があるので、さばく時はまずヒレと、エラの下の尖った部分を取り除き、頭と内臓を取り、普通の魚を3枚におろすようにさばきます。
アメリカナマズは魚の分類としてはナマズ目イクタルルス科(アメリカナマズ科)イクタルルス属の魚になります。Channel catfish(チャネルキャットフィッシュ)とも呼ばれ、学名はIctalurus punctatusです。北アメリカのロッキー山脈のカナダ南部からアメリカに広く生息しています。日本には1981年に霞ケ浦に養殖用の種類が持ち込まれました。現在は利根川水系、霞ヶ浦、琵琶湖、淀川水系で養殖されています。
アメリカナマズは味がいいと言われ、その味はフグのような味わいだと言われます。そんなことから「河フグ」などと呼ばれることもあります。美味しいと言われる反面、茨城や千葉県ではワカサギを食べてしまい、ワカサギが減少してしまうという問題もあるそうです。
おすすめのナマズ料理
ナマズの身肉は繊維質が多く身がよく締まっています。白身で味にクセがなく、旨みの多い味わいです。アメリカではフライやムニエルはポピュラーな料理です。タイ料理やベトナム料理の調味料と相性もよく、日本人の味覚には天ぷらやから揚げが好まれているようです。
ナマズの刺身の味
ナマズは人の体内に寄生する寄生虫がいる場合があるので、刺身や洗いなどで生食する場合は養殖もののナマズを使うことがおすすめです。ナマズの刺身は弾力があり、薄造りや洗いにすると、ナマズの持ち味である食感が楽しめます。ナマズの刺身はうま味が少ないかもしれませんが、食感はフグのような感じだと言われます。
ナマズの蒲焼き
ナマズの蒲焼きは日本ならではナマズの美味しい食べ方です。ウナギの代用にもなります。ご紹介するレシピは、ナマズを上手に味付けして蒲焼きにした一品です。
<材料>
- ナマズの切り身※腹より尻尾側の身部分60cm程度のナマズ1匹分
- ナマズの中骨とカマ1匹分
- 水鍋に適量
- 酒少々
- 塩少々
- 酒150cc
- みりん50cc
- 砂糖大さじ1
- 醤油75cc
- 山椒 好みで適量
【関連リンク】
・山椒の実の効能と、効果的な使い方とは?
・花椒と山椒の違いについて
ナマズを上手に下処理して美味しく食べてみよう
日本では地味な存在のナマズ料理ですが、ナマズの食用魚としての文化は世界的なもののようです。アメリカナマズは日本のナマズと姿が少し違いますが、フライ、ムニエル、天ぷら、から揚げは美味しいメニューです。そして日本ならでは味!蒲焼きにするとウナギに代用できる味わいだといわれます。寄生虫がいるので生食は養殖もののナマズがおすすめです。ナマズ!美味しく食べれる魚です。上手に下処理して美味しく味わってみてください。
【参考リンク】
・食品安全員会 食中毒予防のポイント 寄生虫による食中毒 http://www.fsc.go.jp/sonota/kiseichu_foodpoisoning2.html
・中央水研ニュースNo.19(平成10年1月発行)掲載 魚介類の寄生虫と食品衛生 http://nrifs.fra.affrc.go.jp/news/news19/yosinaga.htm