2017年4月7日更新
食品表示にあるph調整剤とは?危険性はあるの?
朝食やランチの買い物メニューには、おにぎりやサンドウィッチ、お弁当やお寿司、そしてサラダやゆで卵なんかも人気ですよね。しかしこれらに付いている食品表示の中に記載されている「ph調整剤」って一体どんなものなんだろう?と不安に思う人も多いかと…。実はここに表示されているこのph調整剤とは食品添加物の一つなんです。消費者にはなかなかその内容がわからない食品表示ですが、ph調整剤はさまざまな種類の食品に添加されています。では一体このph調整剤とはどんな食品添加物なんでしょう。ここでは食品添加物の一つph調整剤についてお話しします。そして心配される人体の危険性を調べてみました。
ph調整剤とは?
phは一般的にはペーハー調整剤といわれています。英語でピーエイチ、ドイツ語でペーハーといいます。
phは0~14の数値で表され、0に近づくほど酸性が強くなり、14に近づくほどアルカリ性が強くなります。
ph0が酸性、ph14がアルカリ性、ph7は中性ということになります。
食品は味的にも健康面からも弱酸性であることが好ましいとされています。食品にはそれぞれ好ましいPHの範囲があります。好ましい範囲とは、変色や変質、またカビや微生物のよって腐敗させず品質をよくするために必要な範囲のことです。
この好ましいPHに保つためにph調整剤が使用されるのです。
どんな食品に使用されているのでしょうか?
ジャム、おにぎり、サンドウィッチ、ゆでうどん、かまぼこ、デニッシュパン、乳製品など腐敗が心配されるさまざまな食品に使用されています。
ph調整剤は一括表示が可能な食品添加物
ph調整剤は同じ目的で複数種使用されている場合はひとまとめに「ph調整剤」とだけ記載すればよい食品添加物です。
たとえば微生物や細菌の増殖を防ぎ食品の品質と保存性を高めるには、複数の物質が添加されて効果をきたしますが、それらの物質は個々に表示しなくてもよく一括して「ph調整剤」と表示されることが認められています。変色を押さえて色の安定をはかるにも複数の物質が添加されますが、それら物質を一括して「ph調整剤」と食品表示することでよしとされ、個々の物質名は表示されず一括して「ph調整剤」と記載されているのです。
ph調整剤は同じく一括表示が認められている「酸味料」として指定されている化合物と重なる物質がかなりありますが、用途が酸味料(酸味を効かせるため)のみであった場合はph調整剤ではなく酸味料となります。
ph調整剤の種類
ph調整剤には34種類の化合物が指定されています。
- アジピン酸
- クエン酸
- クエン酸三ナトリウム
- グルコノデルタラクトン
- グルコン酸
- グルコン酸カリウム
- グルコン酸ナトリウム
- コハク酸
- コハク酸一ナトリウム
- コハク酸二ナトリウム
- 酢酸ナトリウム
- DL-酒石酸
- L-酒石酸
- DL-酒石酸水素カリウム
- L-酒石酸水素カリウム
- 炭酸水素ナトリウム
- 氷酢酸
- 乳酸
- 乳酸ナトリウム
- ピロリン酸二水素ナトリウム
- リン酸
- リン酸ナトリウム
- DL-リンゴ酸
その他は省略します。
34種の中にはピロリン酸など安全性が気になる物質も含まれていますが全体的に見れば問題は少ないと思われる有機酸です。
・有機酸とはどんなもの?種類と使用されている食品
・酒石酸とは。その用途と効果
人体への危険性について
ph調整剤は複数の物質が併用されてその効力を出すので、個々に物質をそれぞれ調べると、人体への危険性が心配となる物質もありますが、国連の食糧農業機関(FAO)と世界健康機関(WHO)が設けた食品添加物の安全性を評価する会議「FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)」の審査で、ph調整剤に使用されている添加物への評価は、現時点では安全であると確認されています。
ただph調整剤として使用される物質の中にはポリリン酸などのリン酸塩が含まれているため一概に安全とは言えません。
リン酸塩は過剰に摂取することによりカルシウムの吸収が悪くなり骨粗鬆症の原因になったりします。またカルシウムの吸収が悪くなると、それと連動してマグネシウム、鉄の吸収も悪くなります。マグネシウムが不足すると神経が過敏になったり、抑うつ症状、集中力の低下を招きます。
どの程度が過剰摂取なのかは物質によって異なります。
食品添加物のph調整剤の安全性は評価されています
食品添加物の種類のひとつであるph調整剤は、食品の品質を保つために添加されています。ph調整剤は複数の物質が組み合わさりその効力を発揮しますが、食品添加物の表示ではそれら物質が記載されるのではなく、一括して「ph調整剤」と表示されています。
実際に添加されている個々の物質の情報を聞くと、不安を感じる物質もありますが、国の機関が個々の物質の安全性を調べ、それぞれの物質は人が一生食べても人体に危険がない量を添加しているとのことなので、どうやら人体への危険性はないようです。ただ消費者としては、個々の物質の体への影響も確かに気になるところですね。危険性はないようですが、ph調整剤には、さまざまな物質が入って表示されていることは理解しておきましょう。