2017年5月22日更新

菜種油の特徴とは?代用するならどの油?

菜種油

  1. 目次
  2. 菜種油の特徴とは
  3. サラダ油やキャノーラ油の特徴は
  4. 菜種油の使い方や代用方法は

菜種油の特徴とは

菜種油は十字架植物である菜の花の種からとれる植物油のことで、色は透明から黄色がかった半透明をしています。アブラナは栽培しやすく色んな気候にも適応するため、世界各地で作られている油の1つに数えられます。
現在インド、中国、パキスタン、スウェーデン、ポーランド、ドイツ、チリ、フランスそしてカナダが主要な生産国で、日本の国内生産量はわずか1%以下のため、菜種油のほとんどはこれらの国から輸入しています。

菜種油の成分や栄養について

日本でも食用油の消費量の大半を占める菜種油ですが、どのような成分からなるのでしょうか。

原料はアブラナとセイヨウアブラナからなり、それぞれの種に22%-49%、平均すると40%ほどの脂質が含まれています。他にはタンパク質が21%-27%、リン脂質が约1%含まれています。脂質を詳しく見るとアラキドン酸のほか、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸の3種類の不飽和脂肪酸とエルカ酸が主な成分となります。
これら菜種油の不飽和脂肪酸は体への吸収率が高く、その吸収率は90%以上とも言われています。
菜種油の栄養は肝機能の向上を助けることでも知られていますが、特に脂肪酸は体の代謝を正常に整えてくれます。また、圧搾した菜種油にはリン脂質が含まれており、これが血管や神経、大脳の発育に大きく影響するため、意識的に摂ることが大切です。
他にはコレステロールがほとんど含まれていないこと。血中コレステロールを気になる人にとって、これは嬉しい特徴ですね。

伝統的な菜種油の作り方は

生産量が多く世界中の人に愛される秘密は、その作り方にもあります。
現在は工業生産となり、圧搾法はあまり採用されなくなりましたが、伝統的な菜種油は以下の工程を経て出来上がります。

  1. 【水洗と選別】
    収穫した菜種をきれいに洗って風をあて、軽すぎる種やゴミを取り除き、その後目の細かいザルを使って大きな種と小さな種に分けます。
  2. 【炒め】
    強めの火で30分間炒めると鍋の中で菜種がはぜる音がするため、火を弱め、鍋からあげる10分前も火力は抑えてておきます。この時鍋の中の温度は115~120℃にも達するため、絶え間なく混ぜ続け、菜種が黄金色になったら鍋からあげます。
  3. 【臼で引く】
    選別した大きい菜種と小さい菜種は分けて臼で挽いていきます。この時厚みは2mmを超えないように、臼から挽かれていない菜種が混入しないよう細心の注意が払われます。
  4. 【蒸す】
    1度目に2分蒸し、青臭さを取り除いてから2度目は25分蒸します。水をしっかり入れて、蒸気が漏れないようにまた火加減にムラが出ないよう気をつけます。
  5. 【包む】
    1度目は二重に、2度目は一重で蒸した種を包みます。急いで包み、バラバラにならないよう足で硬く踏み固めます。
  6. 【圧搾】
    早く、軽く叩いてから圧搾していきます。1時間圧搾すると大部分%が搾り取られます。その後、今度はゆっくり強くたたいて、さらに強い圧力をかけます。3時間圧搾を繰り返すと90%が搾り取られますが、さらに翌日も搾る時は翌朝の冷気に触れないよう麻袋や保温板を使って搾り、ようやく完成となります。

サラダ油やキャノーラ油の特徴は

以上に作り方と特徴を紹介しましたが、他の油と比べた時、どんな違いがあるのでしょう。

サラダ油との違い

サラダ油とは食用油の種類の1つを指します。例えば、植物油にはサラダ油とサラダ油以外があり、低温でも凝固しないように精製され、一定の基準をクリアした油はすべてサラダ油となります。
よってサラダ油と呼ばれるものの中には、精製されJAS基準に合格した以下の油が含まれます。
大豆油、ひまわり油、綿実油、コーン油、ごま油、葡萄油、べに花油、こめ油、そして菜種油です。
精製された菜種油はサラダ油ということができますが、サラダ油は9種類もあるんですね。

キャノーラ油との違い

ではキャノーラ油との違いは何かというと、サラダ油のうちの菜種油には、精製された菜種油のほかに、キャノーラと呼ばれる種類のセイヨウアブラナからとったもう1つの菜種油があります。これがキャノーラ油です。
サラダ油、菜種油、キャノーラ油。これで分類上の違いが明らかとなりましたね。
原材料の面でもう1つ違うのは、キャノーラ油の原材料となるキャノーラ種は、加工しても体に有害とされるエルカ酸やグルコシノレートを含まないよう改良されているという点にあります。

菜種油の使い方や代用方法は

日本はアメリカ、中国、パキスタンに続く菜種油の主な消費国であり、多くの人が毎日の家庭料理に菜種油を利用しています。
一見オールラウンドに使えている菜種油ですが、向き不向きはないのでしょうか。

菜種油の上手な使い方は

菜種油は他の精製された油に比べると、少し青臭さがあります。
これはアブラナ科の植物に多く含まれるシニグリンという天然成分の臭いであり、これは発育不良を引き起こすとも言われています。精製度の高い良質な菜種油であるほどその量は減っていき、臭いも無臭に近づきます。
そこで、もし青臭さの残る菜種油を使用する場合には、リノレン酸含有量の多い良質な亜麻仁油やえごま油を合わせて摂ると、シニグリンの弊害は中和されますのでオススメです。
また料理の味の面でも、サラダや和えものをする際には、この青臭さが食材の味に影響するため、菜種油は生食には不向きといえます。
そのかわり炒め物などの加熱調理には向いているため、和え物やサラダで使用したいという場合は、菜種油を一度加熱して臭みを飛ばしてから、冷ましたものを食材にかけると食材の風味が楽しめますよ。

代わりになる油は

菜種油の最大の特徴は熱に強いこと。加熱しても酸化しにくいため、揚げ物に向いています。
菜種油と同じく熱に強い油を見ていくと、大豆油、コーン油、べに花油、ひまわり油、綿実油、ピーナッツ油、こめ油などが挙げられます。しかもこれらは食材特有の臭いがないため、菜種油と同じように使うことができますよ。

身近な菜種油でも、意外と知らないことがあるものですね。菜種油を上手に使って毎日の料理に役立ててみてくださいね。