2017年11月7日更新

しその栄養と、その効果効能!

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しそは、私たちにとってとても身近な食材ですよね。
葉を天ぷらにしたり、豆腐やそばなどの薬味にしたりと、使い道はさまざま。薬味にするときは、できるだけ細かく刻んだほうが香りが良くなりますが、実はこうすると身体にいい効果や効能も引き出されやすいのです。
しそに健康効果や効能なんてあるの……? と思う人もいるかもしれませんが、しそはなんと、漢方でも重宝されているくらいたくさんの効果や効能を秘めた薬草。
そのすごさを知って、ぜひ、もっとしそを有効活用しませんか。

  1. 目次
  2. しそのあれこれ
  3. しその栄養成分とは
  4. しその効果効能とは
  5. しそとアレルギー
  6. しそは漢方でも大活躍!
  7. しそを取り入れて健康維持を!

しそのあれこれ

しそとは、シソ科シソ属の一年草。
原産はヒマラヤやビルマ、中国などで、日本には中国から伝わったと言われていますが、日本でも縄文時代の遺跡からしそが見つかっており、はっきりとはわかっていません。

しその種類

ちりめん紫蘇

葉が縮れ、色は表、裏ともに赤いしそ。

赤紫蘇

色は表、裏ともに赤いが、葉に縮れはない。

青じそ

葉に縮れはなく、色は表、裏ともに青(緑)。

ちりめん青じそ

表、裏ともに青(緑)く、葉に縮れがある。

まだら紫蘇

葉に縮れはなく、色は表が青(緑)、裏が赤。

片面紫蘇

葉の表が青(緑)、裏が赤。葉は縮れている場合がある、

これらのうち、食用にされるのは赤紫蘇と青じそです。
中でも青じそは天ぷらや薬味、刺身のツマなど、そのまま食べられることがほとんど。対して赤紫蘇は梅干や紅しょうがなどの色付けに使われる場合が多いです。ただし、完熟する前の実をつけた”穂じそ”と呼ばれるもの、開花直前の”花穂じそ”と呼ばれるものは刺身のツマにもちいられることもあります。

エゴマとしその違いは?

エゴマももともとはしその一種に分類されていたようです。
ですが現代では、しその変種として扱われています。

大葉としその違いは?

大葉とは、青じその葉の部分のことです。

しその選び方

しそは、鮮度が落ちてくると葉の裏に黒い斑点が出てきます。
ですから、しそを選ぶときは色鮮やかで黒ずんでいないものを選びましょう。
もちろん、葉がピンと張っていて、みずみずしいかどうかも選ぶポイントです。

しその栄養成分とは

しそは、とても栄養豊富な食材です。
特に、β-カロテン・カルシウム・ビタミンB1は、数々の野菜と比べてもひけをとりません。
しかも、β-カロテンは体内でビタミンAに変換されますから、そのほかに含まれるビタミンB1、B2、B6、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシンとあわせて、ビタミン群の多さが見て取れると思います。
そのほか、ミネラル分も豊富で、代表的なカルシウムに加えて鉄分、カリウム、マグネシウム、亜鉛など。
また、香り成分などにはペリルアルデヒド(しそアルデヒド)、ロズマリン酸、ルテオリン、さらにα-リノレン酸なども含まれています。

しそにたくさん含まれている栄養のβ₋カロテンは過剰摂取の心配がない

しその栄養成分に多く含まれているβ⁻カロテンは、体内でビタミンAに変わりビタミンAの栄養として作用します。ビタミンAは脂溶性のビタミンなので油と相性がよく、油と一緒に摂取すると上手に体内に取り入れることができます。

ビタミンAという栄養成分は肉類や卵、ウナギなど多く含有されている栄養成分で、皮膚の粘膜を正常に保ったり、眼病の予防など健康に良い効果が期待される成分ですが、水に溶けず油に溶けやすい脂溶性のビタミンなので、ビタミンAを過剰摂取してしまうと体内に蓄積して中毒をおこしたり、頭痛、倦怠感、吐き気、睡眠障害、食欲不振また妊娠中の女性は胎児に奇形の影響を伴う心配があるなど健康によくない症状がでてしまうことがあります。

それに対してしそに多く含まれている栄養成分のβ⁻カロテンは体内でビタミンAに変換されビタミンAの栄養として作用するのですが、しそに多く含まれている栄養成分のβ⁻カロテンは体に必要な量だけがビタミンAに変換されるのです。そのためしそに含まれているβ⁻カロテンをたくさん摂取したからと言ってビタミンAの過剰摂取の心配はありません。しそはたくさん摂取しても健康によい効果を安心して期待できる食材なのです。

しそにたくさん含まれている栄養のポリフェノールは食中毒抑制に効果的?

しその栄養にはポリフェノールもたくさん含まれています。ポリフェノールとは光合成によって植物にできる成分で、種類は5000種類以上あり、種類によって色素、苦み、香りの成分になります。

赤しそに含まれるポリフェノールのロズマリン酸はレモンバームなどのシソ科の植物に含有されています。赤しその栄養であるロズマリン酸の色素の特徴を利用して梅干を赤く漬けるときに赤しそを活用します。

また薬味としてしそを利用するときはペリルアルデヒド(しそアルデヒド)という種類のポリフェノールが特有の香りを出し、しその栄養の成分として活躍してくれているのです。

またしその栄養成分であるルテオリンもポリフェノールの一種です。この種類はセロリ、ピーマン、タイム、カモミール、ローズマリーなどの多くの食用の植物に含まれるポリフェノールの色素の一種です。抗酸化物質を活性化して吐き気や胃酸過多を防止してくれます。

ポリフェノール自体、強力な抗酸化作用がある栄養成分と注目されているので、しそに含まれるポリフェノールのロズマリン酸もペリルアルデヒドも抗酸化作用がとても強いと言われます。

たとえば昔から刺身に青しそが添えられるのは、しそのポリフェノールの香臭効果で生魚の臭みを防臭するほか、強力な抗酸化作用があることで食中毒の防止に効果的だからだそうです。

しその効果効能とは

栄養成分が豊富なしそですから、その効果や効能ももちろん様々。
うれしい効果がたくさんありますよ。

食欲を促し、消化を促進する効果

しそに含まれるペリルアルデヒドは、胃酸の分泌を促します。これにより食欲が増しますし、抗菌作用も発揮されて毒素をやっつけ、食中毒などを予防します。

免疫力増加

しそには、皮膚や粘膜を丈夫にする効果があります。これにより免疫力が高まるため、ウィルスの進入を防いで風邪の予防等につながります。
また、身体の回復力もあがるため、すでに体調を崩している場合はその改善に効果を発揮するでしょう。
それに加えて、目の健康を保つ効能もあるため、眼精疲労はもちろん、夜盲症などの改善にも効果が期待できます。

歯や骨などを丈夫にする効果

しそには、歯や骨を丈夫にする効果はもちろん、骨を構成する栄養素も含まれています。これにより、骨密度を高める効果が期待できます。

血液をサラサラにし、血行を良くする効果

しそには血液をサラサラにする効果があります。これにより新陳代謝があがり、免疫力が高まったり、健康を保ったりできるでしょう。もちろん、余分な脂肪をおとしたり、体内の毒素を排出するデトックス効果も期待できますよ。
また、血行が良くなるので、貧血や高血圧、冷え性などの改善にも効果があります。

心身の疲労回復

しそには、エネルギーの元となる栄養が豊富に含まれています。これにより、疲労回復につながるのです。
また、その中には精神を安らげたり、落ち着かせたりする成分も含まれているので、心身ともに癒される効果が期待できます。そのため、しそはストレスの解消や、不眠の改善にも役立つのです。

しそとアレルギー

しそはアレルギーの強い味方!

近年の研究で、しそがアトピー性皮膚炎やぜん息、花粉症など、アレルギーの改善に効果的であることがわかってきました。
具体的には、しそに含まれるロズマリン酸が皮膚の炎症やかゆみを抑え、ぜん息や花粉症などの症状を抑えてくれるのです。
また、アレルギーに対してとくに効果が高いのはしその種子で、たとえば種子に含まれるルテリオンもロズマリン酸と同様のはたらきをもち、アトピーや喘息、花粉症、鼻炎といった体質の改善が期待できるでしょう。
それに加えて、しその種子から抽出されるしそ油にはα-リノレン酸が豊富に含まれているのですが、これも、皮膚炎やぜん息、花粉症といった症状に効果が高いです。このα-リノレン酸ですが、マウスによる実験ではぜん息の原因物質が2分の1~5分の1になっていますし、喘息患者での試験でも効果がみとめられてます。

【参考】アレルギー性鼻炎モデルラットに対するロズマリン酸の効果(PDF)(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/9/2/9_107/_pdf)

しそのアレルギーってあるの?

しそがアレルギーの強い味方だというのは、既に述べたとおりです。
しかしながら、その一方で、しそが原因でアレルギーを起こしてしまう場合もあるのです。
しそアレルギーというのはあまり聞いたことがないかもしれませんが、実は、食物抗原強弱表において、青じそは5段階中レベル4に設定されています。
この食物抗原強弱表というのは、その食材がどれくらいアレルギーを引き起こしやすいかをあらわしたもので、様々な食材が1~5の段階に分類されたもの。1が最もアレルギーを起こしにくく、5が起こしやすいとされているのですが、その表で青じそはレベル4、つまり、かなりアレルギーを引き起こしやすい食材に指定されているのです。

しそアレルギーってどんなもの?

しそアレルギーは、口腔アレルギー症候群に分類されるもので、口の周りなどが赤く腫れあがる症状をともないます。
しかも、この症状が出るタイミングは三度にわけられ、一つ目は食事中、二つ目は食後30分以内、そして三つ目は数時間~数日後。数日後に症状が出た場合は原因の特定が難しい場合があります。
幼い子どもの場合は口まわりだけでなく、全身にじんましんが出るケースもありますので、しそを摂取したときはそのことをしばらく覚えておいたほうがいいかもしれません。
また、青じそでアレルギーを起こした場合、赤紫蘇はもちろん、バジル・ミント・ローズマリー・ラベンダー・セージ・マジョラム・オレガノ・タイム・レモンバームといったハーブ類にも注意が必要です。

しそは漢方でも大活躍!

漢方には、しそを使ったものが数多くありますが、しそそのものをもちいたものが次のとおりです。

紫蘇葉

しそ、もしくは近縁種の葉です。
体内の毒素を排出したり、自律神経の乱れを整えたり、消化を促したりします。の働きをします。

紫蘇子

しそ、もしくは近縁種の実です。
咳を落ち着かせたり、便秘を改善したりします。

紫蘇梗

しそ、もしくは近縁種の茎です。
胸のつかえや胃腸の痛みをやわらげたり、胎動を安定させたりします。

しそを取り入れて健康維持を!

しそはとても身近で、栄養豊富なありがたい食材です。
毎日の食事に欠かさず登場させるのは難しいかもしれませんが、梅干を漬けたり、しそジュースを飲んだりなら手軽にできるのではないでしょうか。
風邪の緩和や、アレルギー体質の改善など、目的がある人はもちろん、そうでなくてもぜひ続けてみてください。しそは、健康維持としても万能選手です。