2017年1月16日更新
生姜の栄養とその効能・効果~冷え性だけじゃない!~
体がポカポカしてあったまるよ、と、よく言われる生姜。私たちにとって、とてもなじみ深い食材ですよね。
ですが、体を温める効果ばかりがクローズアップされていて、それ以外の効能はあまり知られていません。
生姜にはどんな栄養が含まれていて、どんな効果があるのか。また、どんな成分が体を温めてくれるのか、それは冷え性を改善してくれるほどなのか。気になるところをいろいろと調べてみました。
生姜の基本情報
生姜とは
生姜は、ショウガ目ショウガ科ショウガ属の多年草。食材としても、生薬としても重宝される植物です。
日本ではめったに花は咲きませんが、熱帯地方では白い花を咲かせます。なお、品種改良により、現在では黄色やオレンジの花が咲くものもあるようです。
ただし、日本でもよく見られ、「生姜の花」と呼ばれるものはまったく別ものであり、食べる生姜とは関係ありません。
生姜の種類
生姜は、大きさによって三種類、時期によって二種類に分けられます。
大きさによる分類
- 大生姜…茎も葉も根茎も大きくなる晩生タイプ。貯蔵でき、一年中出荷や加工できるため、スーパーなどで売られているものはほぼこの大生姜です。
- 中生姜…大生姜より少し小さめで辛味が強いです。中生~晩生で繊維質の形成が比較的早いので貯蔵はできず、漬物などの加工品に使用されることが多いです。
- 小生姜…一株で400gほどまでしか生長しない小さな生姜。早生で、早掘りしてはじかみなどに利用されることが多いです。強い辛味が特徴。
時期による分類
- 新生姜…色が白くて、繊維は柔らかく、辛味もそれほど強くありません。収穫したて~夏ごろ早掘りするものを新生姜と呼びます。
- ひね生姜…色が濃くなり、繊維はしっかりしていて、辛味も強いです。収穫後、二ヶ月以上貯蔵されたものをひね生姜と呼びます。
生姜の繊維には規則性がある
生姜はとても繊維質。
生姜の皮には竹のように節が見られますが、中の繊維はこの節に対して垂直に走っています。
生姜の栄養成分って?
生姜には、とてもたくさんの栄養や有効成分が詰まっています。
代表的なものは以下のとおり。
ビタミンB1、B2、C、E、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、
カルシウム、マグネシウム、カリウム、リンなど。
また、香りや辛味の素となっているジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオールを合わせて生姜三大成分と呼ばれています。
生姜の効果・効能とは?
生姜には、疲労回復や新陳代謝の促進、生活習慣病の予防、血行の改善、抗酸化作用など、さまざまな効果や効能があります。
そのほか、生姜三大成分もそれぞれの効果をいかんなく発揮して、健康の手助けをしてくれるのです。
生姜の三大成分その1、ジンゲロール
生姜の辛み成分であるジンゲロールには強力な殺菌作用があります。
これにより、遺伝子の突然変異を防いだり、がん細胞の増殖を抑えたりと、がんの予防に効果が期待できるのです。
生姜の三大成分その2、ショウガオール
ショウガオールにも、殺菌作用があり、ジンゲロールと同じ効果が期待できます。
また、ショウガオールには血行をよくする効能もあるので、新陳代謝が活発になり、発汗が促されます。これにより、体内から毒素が排出されるデトックス効果が見込めるのです。
ちなみに、ショウガオールとはジンゲロールの水分を飛ばすことで生まれる成分です。
生姜の三大成分その3、ジンゲロン
同じく、ジンゲロールを加熱することで生まれる成分に、ジンゲロンがあります。
ジンゲロンには、血液の循環をなめらかにしたり、代謝を促進したり、また脂肪を燃焼させたりする効果があり、成人病や生活習慣病の予防に役立てられます。
生姜の香り成分、シネオール
生姜の三大成分ではありませんが、香りの元となっているシネオールにも健康に役立つ効果があります。
それは、胃腸の機能を整えて食欲を増進してくれる効果。疲労回復のほか、健胃や解毒・消炎の効能が期待できるのです。
冷え性と生姜
冷え性だったり、風邪をひいたりしたときに勧められる生姜。
たしかに、生姜湯を飲んだり、生姜を効かせた料理を食べたりすると、体がポカポカしてくるのを感じると思います。
ですが、ここで一つ注意点。生姜は、ただ摂ればいいというわけではないのです。摂り方によっては、逆に身体を冷やしてしまうこともあるので注意しましょう。
生の生姜は身体を冷やす!?
おろし生姜など、生の生姜にも熱を生み出す働きはあるのですが、実はこのときの熱は手足を中心に生まれるのです。
そのため、身体の中心部の熱は手足に奪われ、芯が冷えてしまうという状態に。
ではどうすればいいのかというと、生姜の水分を飛ばして乾燥生姜にするだけ。こうすれば、先ほど述べた変化、ジンゲロールがショウガオールへという変化が起こります、ショウガオールは手足以外にも身体のさまざまな部分を温めてくれるので、結果として全体がポカポカしてくるのです。
ちなみに、ショウガオールに変化するのは一部なので、乾燥生姜にもジンゲロールの効果・効能はきちんと残っています。
ですから、安心して冷え性対策に乾燥生姜を使いましょう。
乾燥生姜にはダイエット効果も?
乾燥生姜には冷え性対策だけでなく、ダイエットにも効果があるという説があります。理由は、毎日の食事に生姜を取り入れれば代謝が上がり、脂肪が燃焼されるため。
ただし、生姜をたくさん食べればいいというわけではなく、目安としてはだいたい一日10g。多くても20gにしてください。スライス換算で、5~10枚です。
ちなみにこのダイエットは、長期間続けることが大切なようです。
乾燥生姜の作り方
皮をむいていない生姜を1~2ミリほどの厚さにスライスし、天日干しします。
完全に乾燥すれば出来上がり。
ちなみに、乾燥したものをミキサーにかけてパウダーにすれば利用しやすくなりますよ。ココアや紅茶などに混ぜて飲むだけでも身体がポカポカしてきます。
乾燥生姜が使えるもの、使えないもの
乾燥生姜は薬味には向きません。
使ってはいけないわけではないのですが、薬味の役割を考えると、殺菌、消毒効果が特に強い生の生姜をもちいたほうがいいでしょう。
ただし、味などは変わらないので、生姜焼きや生姜スープなどの調理に使用するのは問題ないです。
生姜の基本的な使い方
生姜は、香辛料としてもちいられることが多いです。
ひややっこやそばなどの薬味にするほか、甘酢漬けにしたり、生姜焼きなどの料理にしようしたりとさまざまです。
生姜は部位によって辛さが違う?
わずかではありますが、皮に近い部分と、包丁を入れたときにつまる(硬いと感じる)部分の辛味が強いといわれています。
生姜は切り方によって味が変わる?
生姜を切る方向や大きさによって、含まれる繊維質の長さが変わります。これにより、歯触りに変化が生まれるでしょう。
また、切ったときの細胞の壊れ方も、生姜の切り方によって変わってきます。そうすると成分の出方にも変化が生じ、わずかながら味や香りにも影響があるでしょう。
ただし、どれもまったく別物のようになるわけではないので、それほど気にすることはありません。
生姜の切り方
基本的には、繊維にそって切るようにします。
まず背中部分をそいで転がらないようにし、あとは皮の節に対して垂直に包丁を入れていきましょう。
生姜のすりおろし方
すりおろし方も同じです。
生姜の皮の節に対して垂直の方向にするようにしましょう。
生姜の推奨摂取量は?
一日10gほど。
厚さ1ミリのスライス生姜なら、5,6枚換算です。
生姜を料理に使うなら……レシピは?
生姜湯の作り方~生の生姜を使う場合~
生姜3分の1~2分の1をすりおろし、マグカップに入れます。
はちみつ大さじ1を加えたら熱湯150mlを注ぐ。
お好みでレモン汁を2、3滴たらせば出来上がりです。
生姜湯の作り方~乾燥生姜を使う場合~
乾燥生姜2枚、もしくは二枚分のパウダーをマグカップに入れ、はちみつ大さじ1と熱湯150mlを注ぎます。
お好みでレモン汁を加えて出来上がり。
新生姜の炊き込みご飯
米4合をといで炊飯器に入れたら醤油大さじ5、みりん大さじ2と2分の1、酒2と2分の1を加えます。その後、昆布とかつおでとっただし汁を4合のメモリまで。
そして、長さ4~5㎝の細い千切りにした新生姜100gと、5ミリ角くらいの荒みじんにした油揚げ一枚をくわえ、軽く混ぜたらスイッチオン。
ちなみに、新生姜は千切りにしたあと、しばらく水にさらしてから使用してください。
新生姜の時期
最初にも触れましたが、新生姜とは収穫したてから夏頃に早掘りするもののこと。いわば、ひね生姜にできる新しい根です。時期でいうと初夏、だいたい6~8月でしょう。
生姜の賞味期限は保存方法次第
通常、生姜の賞味期限は10~14日ほどです。
冷蔵保存する場合は生姜をスライスし、タッパーなどの密閉容器に水とともに入れましょう。もしくは、すりおろしてお酢を混ぜ、同じくタッパーなどの密閉容器へ。そうすれば、一ヶ月ほど保存できます。スライスの場合は、週に二回ほど水を交換する必要があります。
また、長期間保存したい場合は冷凍できますが、生姜の身体を温める成分は抜けてしまうので注意しましょう。
生姜に副作用やアレルギーってあるの?
生姜は、推進されている量の一日10g程度なら副作用等の心配はありません。
ただし、摂りすぎると腹痛や下痢を引き起こすことがあるので注意しましょう。
また、生姜には神経に働きかけて機能を活発にする効果があるので、眠りたいときは避けたほうが無難です。
それに加えて、妊娠中は生姜の漢方薬やサプリは避けたほうがいいと言われています。
生姜の効果は盛りだくさん!
生姜には、冷え性対策以外にもとてもたくさんの効果、効能があるようです。
すでに悩まされている症状の改善目的だけでなく、予防の意味でも、日々の食事にぜひ生姜をとりいれましょう。