2021年5月22日更新

豆鼓醤(トウチジャン)の使い方や代用とは

豆鼓醤

豆鼓醤に使われる豆鼓とは、豆に麹を加えて発酵、塩漬けにして水分を減少させたものです。これを刻んでペースト状にしたものが豆鼓醤として中華調味料になっています。もともと辛味はありませんが、商品によってはラー油などが加えられているものもあります。日本ではまだ馴染みがない豆鼓醤の味や使い方、代用、そして料理の味を上級に変える豆鼓醤を使ったレシピもご紹介します。

  1. 目次
  2. 豆鼓醤(トウチジャン)とは
  3. 豆鼓醤の味
  4. 豆鼓醤の代用になるものは?
  5. 豆鼓醤の使い方
  6. 旨さが違う!豆鼓醤を使った数々のレシピ
  7. 豆鼓醤の保存と期間について
  8. 料理がマンネリ気味…そんなときは豆鼓醤でグレードアップ!

豆鼓醤(トウチジャン)とは

豆鼓醤に使われる豆鼓とは

豆鼓とは黒豆に塩や麹といった調味料を加えて発酵させ、水分を減らしたもののことを指します。

豆鼓醤とは

豆鼓醤はこの豆鼓を刻み、そこへ醤油や砂糖、ニンニク、生姜を足して油に漬け込んだペースト状のものです。

豆鼓醤は「トウチジャン」と読み、中華料理の旨みを引き立たせるために活用される中華調味料です。

広東料理や四川料理などによく使われていますが、辛味がないため子どもがいる家庭でも使うことができます。

豆板醤や甜麺醤といった中華調味料は常備してある家庭も多くなってきましたが、豆鼓醤もレパートリーに加えることで更に中華料理の質がアップしますよ。

豆鼓醤の味は濃い塩気と濃厚な旨味

想像しにくい豆鼓醤の味ですが、少し濃いめの塩気と独特の旨みがおいしい調味料です。

ペーストにする前の豆鼓にはもともと昆布やチーズなどに含まれるグルタミン酸という旨み成分が含まれているため、食べたときに複雑な味わいを体験することができます。

初めから味を作らなくても、チョイ足しすれば料理の味がすぐ決まるのは嬉しいポイントです。

豆鼓醤の代用になるものは?

豆鼓醤とレシピに書いてあっても、切らしていた場合やそもそも置いていないこともありますよね。そんなときに豆鼓醤の代用となるものを考えてみます。現状に合った代用品を選び、豆鼓醤の旨みやコク、塩気に近づくように少し工夫して使ってみましょう。

味噌

まず一つ目の代用は味噌です。豆鼓と味噌はどちらも原料が大豆になるため、大豆発酵の塩気、旨み、香りのどれも豆鼓に近づけることができます。

常備してある味噌でももちろん問題ありませんが、より豆鼓醤に味を近づけたい場合は、原料が大豆と塩のみの味噌や、大豆の粒が残っている味噌、甘味が少ない味噌などを使うと良いでしょう。

また、発酵から成る旨みを引き出すためには、非加熱処理の味噌や、酒精(※)無添加の味噌を選ぶことも覚えておいて損はありません。

(※)酒精は「しゅせい」と読み、発酵アルコールのこと

もっと詳しく → 酒精とは? 食品添加物としての用途や効果

たまり醤油

豆鼓醤の代用になるものはたまり醤油も挙げられます。たまり醤油は大豆と塩だけで醸造されているため、より豆鼓醤の味わいに近づけることが可能です。

一般的な醤油よりも大豆の使用量が多くなっているため、質感がとろとろとしているのが特徴です。たまり醤油を豆鼓醤の代用として使う場合は、調理前に鍋肌で焦がしてから使うと加熱されたことにより、旨みが凝縮されて酸味も出ます

たまり醤油とは?醤油との違いとその使い方について

白醤油と濃口醤油

白醤油は小麦、大豆、塩を原料とした三河地方でできた醤油の種類です。

原料だけ見ると一般的な醤油と変わりはありませんが、小麦の割合が高くと大豆の使用量が少ないため、一見醤油に見えないほど薄く透き通った色合いをしています。

しかし、塩分が18%もあるため、数々の醤油の中では最も濃度が高いことも特徴です。香りや味に少々クセのある白醤油ですが、ここに濃口醤油を少量混ぜるとコクが出て豆鼓醤の代用に仕上がります。

もっと詳しく → 白醤油とは?白醤油の使い方や薄口醤油や白だしとの違いについて

塩麹と濃口醤油

塩麹はその名の通り米麹と塩で作った発酵調味料です。近年麹ブームが到来したことで多くの方がその存在を周知していることでしょう。

そんな塩麹の優しい塩気と旨味に濃口醤油をプラスすると、発酵大豆の味が加わってコクが溢れる味わいになります。

塩麹と濃口醤油は同量を入れるか、または濃口醤油を少し多い割合にすると良いでしょう。上手に使うためには、調理前に塩麹と濃口醤油を足して少し煮詰める程度にまで火を入れてから使うと使いやすくなります。

寺納豆

最後に豆鼓醤の代用となるものは、日本バージョンの豆鼓と言える寺納豆です。

静岡県浜松地方の浜納豆や、京都の大徳寺の大徳寺納豆などが寺納豆と呼ばれる種類に当たります。少々珍しい食品で、お茶うけなどに出されるものですが、もし手元にある場合はそのまま豆鼓醤の代用として活用しましょう。

寺納豆は、中国を発祥とする豆鼓の技術を日本に持ち帰って作ったことが始まりです。

豆鼓醤の使い方

豆鼓醤はそのままでも味が完成している調味料のため、普段作っている料理にプラスする使い方が適しています。

もともと豆鼓醤は単体で使うというよりは、他の調味料と組み合わせて使う場面が多い調味料です。豆鼓醤のみでも良い味は出せますが、上手な使い方としては普段の料理を更においしくさせる目的で使うと失敗がありません。

味が濃くなるのではないかと心配になる方は、その他調味料を減らすとちょうど良い味に仕上がります。種類も豊富な炒め物などに使用する場合は、4人分で豆鼓醤を大さじ1杯程度加えるとおいしくなります。

普段の料理に少し加えるだけで、格段に中華店のようなグレードの高い味わいになる点が魅力です。

旨さが違う!豆鼓醤を使った数々のレシピ

豆鼓醤は中華料理にありがちな辛味がない点も魅力的です。辛い料理が苦手でも、中華料理を最大限おいしく食べたいという方にもおすすめです。豆鼓醤を入れることによって旨みが格段にアップします。麻婆豆腐などに使われることが多い豆鼓醤ですが、下記からは他にもまだまだ使える豆鼓醤を使ったレシピについてご紹介していきます。

タコキムチチャーハン

旨みと絶妙なパンチを出すのが難しいチャーハンですが、食感が楽しいタコと旨味と刺激のあるキムチ、そして味のバランスを整える豆鼓醤は間違いない組み合わせです。簡単でも絶品チャーハンを味わいたいときに活躍するレシピですよ。

作り方はこちら(Eレシピ)

豚バラ肉と麩の中華炒め

ズシンとくるピリ辛中華を食べたくなったときは、脂もおいしい豚バラ肉と麩の炒め物もお腹に溜まる一品です。豆鼓醤を入れて味のメリハリを出し、中華風に仕上げた炒め物はご飯のお供にもピッタリですよ。

作り方はこちら(Eレシピ)

ジャガイモの豆鼓炒め

あともう一品欲しいときにも味の手を抜かないレシピは、ジャガイモをメインにした豆鼓醤炒めです。アクセントになる豚バラ肉でバランスがばっちり決まったジャガイモの豆鼓醤炒めは、誰もが好む味わいに仕上がります。

作り方はこちら(Eレシピ)

麻婆豆腐

豆鼓醤入りメニューでやっぱり外せないのは麻婆豆腐です。大人向けのスパイシーな辛めの味や、子どもでも安心しておいしく食べられる甘めの味など、食べる側の好みによって味の調整ができる麻婆豆腐ですが、いつも同じような味になってしまうという方も非常に多いでしょう。変わり映えしない味にマンネリ気味の方は、豆鼓醤を少し加えて何度でも食べたくなる麻婆豆腐にランクアップさせてみましょう。

作り方はこちら(レシピブログ)

豆鼓醤の保存と期間について

豆鼓醤はメーカーなどの基準によっても異なりますが、開封したものは基本的に冷蔵保存して使ってください。開封前のものは高温多湿を避ける場所であれば、常温保存しても問題ありません。

開封した後は、10℃以下の環境で汚れていないスプーンなどを使って清潔に使用すると長持ちします。期間は開封後、冷蔵保存で1年程度です。使用期間が長くなってきたら、中身を確認して異変や異臭がないかチェックしてから使うと安心です。

余りそうだなと思ったら唐揚げの下味に使うといいですよ。

料理がマンネリ気味…そんなときは豆鼓醤でグレードアップ!

中華調味料売り場でひっそりと存在する豆鼓醤は、どんな味がするのだろうと疑問に感じていた方もいるでしょう。中華調味料で定番となった豆板醤や甜麺醤などは味のイメージができますが、謎めいた豆鼓醤という表記の調味料は具体的な味のイメージが想像しにくいですよね。

しかし、普段の料理がマンネリ化してしまっている方にこそ豆鼓醤はおすすめの調味料です。中華料理をお店のような味わいに仕上げたいという方は、今まで通り過ぎていた豆鼓醤を手に取って、様々な料理に活用してみてはいかがでしょうか。