2017年5月22日更新
菜種油は体に悪い?健康への影響とは
菜種油が体に悪いとされる理由
こんなにも市場に出回っているのに、体に悪いとされる原因は何でしょうか。その理由は菜種油の原材料の成分と製造過程にあります。
原料の遺伝子組み換えの可能性
菜種油が危険といわれる理由の1つに、菜種の遺伝子組み換えが挙げられます。他の食材でも危惧されているように、遺伝子組み換え食品は長期にわたって摂ると遺伝子を傷つけ、胎児の奇形を引き起こすことでもよく知られていますよね。
他にも遺伝子組み換えの菜種油は細胞のがん化を引き起こし、がんの発症率を高くしたり、小さな病気が治りにくくなるなどの危険性があります。
動物実験で危険性が明らかになっていても、人体への影響はまだはっきりとはしていないこともあり、大半は禁止されることなく売られているのが実情です。
菜種油を買う時は、遺伝子組み換えでないか表示を確認してから買うようにしましょう。
栄養の利点とオメガ脂肪酸
菜種油の高い栄養は昔から重宝されており、東洋医学では鼻やのどの粘膜を潤す、帯状疱疹や腫れの軽減、腸閉塞を改善する、そして老人性の眼病予防などの目的で用いられてきました。特に目に関しては、菜種油は強い光の刺激から目を守る働きがあり、子どもの弱視予防にも役立つんですよ。
そして、菜種油の特徴の中で特に言われるのが体への吸収率も良いこと。
なかでも肝臓で吸収され胆汁分泌を促すことから、上手に利用すればコレステロールを下げたり、脂肪を分解しやすくしダイエット効果も期待されるほど。
菜種油の栄養について詳しくてみると、これらの効能はすべて菜種油に含まれる脂肪酸によるものということが分かります。
菜種油をはじめ、全ての食用油は脂肪酸からなり、これが脂質の基本構造です。脂質として存在する油は体内で分解されると脂肪酸になります。
一般的に牛や豚の油は飽和脂肪酸からなるのに対し、植物油は不飽和脂肪酸が主になります。
この不飽和脂肪酸はさらにオメガ3、オメガ6、オメガ9の3つに分かれ、菜種油はこのうちオメガ9脂肪酸を豊富に含みます。
オメガ9脂肪酸は前述のコレステロールを下げる働きが高く、菜種油のほかにオリーブオイルなどオレイン酸を多く含む植物油に多いのが特徴です。
菜種油とサラダ油との違い
菜種油と同じくらいよく売られているのがサラダ油です。見た目も味も大きく変わりませんが、サラダ油は菜種油とどう違うのでしょうか。
トランス脂肪酸の危険性
サラダ油とは大豆油、ひまわり油などを細かく精製し低温でも固まりにくくした植物油の総称であり、JAS規格をクリアしたものを指します。
よってJAS規格をクリアした菜種油はサラダ油ということになり、クリアしていない菜種油はサラダ油とは別物ということになります。
菜種油やサラダ油に限らず、多くの植物油は酸化を遅らせる目的で水素を添加します。この時に発生するのがトランス脂肪酸です。
トランス脂肪酸とは「卓上の時限爆弾」とも呼ばれ、長期間摂取すると心臓血管疾患や、アレルギー、不妊症、アルツハイマー、がんなどが発症しやすくなります。しかもケーキやクッキー、冷凍ピザやフライドポテト、ポップコーンには品質を長持ちさせるため、あえてこのトランス脂肪酸を加えることも。
この事実を受けて、アメリカでは2015年にアメリカ食品医薬品管理局によりトランス脂肪酸を含む食品は全面撤廃されています。
サラダ油は他の植物油に比べ、トランス脂肪酸の含有量がやや多く、揚げ物などで1度使用するとさらに増加するといった特徴があるため、注意が必要です。
ほかにもこんな健康への影響が
菜種油はオレイン酸を中心とするオメガ3脂肪酸が多いのに対し、菜種以外を材料とする他のサラダ油は、リノール酸が中心のオメガ6脂肪酸が多いという違いがあります。
オメガ6脂肪酸は肥満の原因となり、生活習慣病の人は摂りすぎに注意が必要です。
一方菜種油は、精製するとエルカ酸とグルコシノレートという有害物質が残留します。これらはアブラナ科植物油のみに見られる特徴です。ちなみに同カナダでこれら2つを含まないように改良した菜種油がキャノーラ油です。
健康に良いものを重視するなら
植物から特定の成分を抽出するには、さまざまな加工と精製が必要であり、これらには有害なものと含まれていることが分かりましたね。
では、なるべくリスクを避けて油でもを選ぶにはどのような点に着目すれば良いのでしょうか。
サラダ油以外がおすすめ
トランス脂肪酸のもたらす弊害を打ち消す効果のある脂肪酸に、オメガ3脂肪酸があります。
菜種油がオメガ9、サラダ油がオメガ6とすると、オメガ3脂肪酸はどんな油を指すのでしょうか。
オメガ3脂肪酸を多く含む油に亜麻仁油やえごま油、しそ油があり多数のメディアで紹介されているため、聞いたことがあるかもしれませんね。
代用もできる
またこれらの油は菜種油として代用できます。高温に弱いため、揚げ物などの高温には不向きですが、炒め物やサラダ、和え物に使うと健康的に油を摂ることができますよ。
菜種油に限らず、身近な食用油には健康への問題点が潜んでいることが分かりましたね。
菜種油の優れた栄養を利用しつつ、他の油も併用しながら上手に使っていけるといいですね。