2023年7月25日更新

健康にも効果的!胡椒(こしょう)の栄養や効能とは?

黒コショウ(ホール)

胡椒(こしょう)とは、言うまでもなく、スパイスの王様です。
コショウ科コショウ属のつる性植物で、遠い昔は医薬品や通貨としても使われるなどたいへん貴重で高価なものでしたが、今では塩と並んでどこの家庭にもある万能調味料。どんな料理でも、塩と胡椒をかけるだけで旨みがグッと増し、味が引き締まりますよね。
ですが、どこの家庭にもある割に、胡椒の栄養成分や健康への効果など、詳しく知っている人はあまりいません。毎日つかうものですから、ぜひとも正しく使って健康にも役立てていきましょう。

  1. 目次
  2. 胡椒(こしょう)の種類とそれぞれの特徴
  3. 胡椒の原産地と起源
  4. 胡椒(こしょう)自体に栄養ってあるの?
  5. 健康に胡椒!こんな効果や効能があった
  6. 胡椒(こしょう)の効果的な使い方
  7. 胡椒(こしょう)を使うときの注意点

胡椒(こしょう)の種類とそれぞれの特徴

コショウの種類

胡椒と聞くと黒いツブツブを思い浮かべる人も多いと思いますが、実はそれは黒胡椒(ブラックペッパー)と呼ばれるもっともポピュラーな胡椒。ほかにも、白胡椒や青胡椒、赤胡椒があります。

黒胡椒(ブラックペッパー)

完熟前の緑色の実を発酵させたもの。
風味や辛味が強いので、下ごしらえや味付けに最適。肉料理にはもっぱらこのブラックペッパーがもちいられます。

青胡椒(グリーンペッパー)

完熟前の緑色の実を発酵させないもの。
風味が爽やかで、辛味もほとんどないので、調味料としてよりも彩りとして使われることが多いです。

使い方をマスターしたい!グリーンペッパーでもっと料理上手に!

白胡椒(ホワイトペッパー)

完熟した赤い実の皮をむいたもの。
柔らかい風味で魚料理によく合います。また、色をつけないので、料理の仕上げに使われることが多いです。

赤胡椒(ピンクペッパー)

完熟した赤い実の皮をむかないもの。
マイルドな風味で辛味もないので、グリーンペッパーと同じく彩りに使われることが多いです。

このほか、胡椒の仲間で風味や辛味もにたロングペッパーなどもあります。
また、柚子胡椒という調味料もありますが、これは柚子と唐辛子を混ぜたものであり、ペッパーは関係ありません。

胡椒の原産地と起源

香辛料の一つである胡椒の原産地は、インドの西南部のマラバール海岸と言われています。そこからマレーシア半島、カンボジア、北ベトナムなど東南アジア各地に広がりました。
胡椒の起源は紀元前後からインド洋とその周囲の海域の交易の主要な交易品であったことが始まりです。インドにおいては医薬品として用いられたこともありましたが、紀元前1世紀ごろには食生活に欠かせない代表的な香辛料の一つとされていたそうです。

貴重な交易品として取引される中で、胡椒は歴史に残る大きな貿易の需要な品であり、中世ヨーロッパ時代では貨幣代わりに用いられていたこともあります。インドから発祥した香辛料の一つである胡椒はムスリム商人(イスラーム教徒)さらにはイタリア商人やギリシャ商人などによって西方に伝えられヨーロッパにもたらされました。肉食文化が主流であったヨーロッパでは香辛料は需要が高まり、高額で取引されていた香辛料の中でも代表的なものが胡椒です。

胡椒(こしょう)自体に栄養ってあるの?

胡椒には、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄分などのミネラル成分と、ビタミンB1、B2などの栄養成分が含まれています。
ですが、胡椒は調味料として適量使用するくらいですから、これらの栄養成分に過剰に期待はできません。
それよりも、注目するべきはペッパーオイルやピペリン、チャビシンなどの香気成分や辛味成分のほう。こちらは、健康面においてさまざまな効果が期待できます。

胡椒のカロリー

胡椒は料理の副材料として適量しか使用しないものなので、胡椒の持つ栄養成分からの栄養効果は大きく期待できるものではありません。

  • 黒コショウ:364kcal
  • 白コショウ:378kcal
  • 混合粉:371kcal

上記の成分量はあくまでも100g当たりの成分量です。普段調理の際に使用する胡椒の量は極わずかな(上記数値の1/100未満ほど)の分量です。文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より

健康に胡椒!こんな効果や効能があった

発汗作用により貧血改善に効果的!

胡椒には発汗作用や利尿作用があるので、体内の毒素排出につながり、デトックス効果が見込めます。
それだけでなく、血管が広がり、血の巡りがよくなるので、貧血も改善されるでしょう。同じ理由で、冷え性や脳の活性化にも効果的です。

胃腸を健康に! 消化・吸収にも効果的

胡椒には、食欲を促進したり、消化機能を向上させるはたらきがあります。
そのため、栄養の吸収力が上がったり、胃腸の調子が整えられたりするでしょう。
具体的には、食欲不振、消化不良、腹部膨満、吐き気、下痢、胃弱などに効果があります。また、腸内に溜まったガスも排出させてくれるのです。

一石五鳥! 殺菌、抗菌、鎮痛、防腐、防虫効果

胡椒はよくない菌に働きかけるので、体内から健康的になれます。
また、鎮痛効果があるので、急な歯痛や腹痛の際にも重宝するでしょう。
さらには抗酸化作用により抗がん効果も見込めるなど、まさに万能といえそうです。

美容にも効果あり! 胡椒ダイエット

胡椒には、血管を拡張して血行を促進するほか、交感神経を刺激する効果もあります。
これによって代謝がよくなり、体温が上がって痩せやすい身体になるため、ダイエットにも効果的だといわれているのです。

胡椒(こしょう)の効果的な使い方

胡椒は、一般的にホールとパウダーの二種類売られています。
手軽さは圧倒的にパウダーのほうが上ですが、パウダー状になった胡椒は香りが飛びやすく、風味が落ちるのも早いです。
ですからできればホール状のものを買い、使うときにペッパーミルでひくようにするといいでしょう。

料理によって胡椒を選ぶ

胡椒には、種類によってそれぞれ特徴があります。肉料理には黒胡椒、魚料理には白胡椒など、都度合ったものを選ぶといいでしょう。
場合によっては、色をあまりつけたくないときに白胡椒を使うなど、見た目を判断基準にするのも効果的です。

胡椒は二回にわけて使う

胡椒には、味と香りの二種類の特徴があります。
ですから、料理によっては下ごしらえ段階で臭み取りのために胡椒を使い、さらに、仕上げに味を調えるためにもう一度使うという方法もいいでしょう。

料理の消化補助に胡椒を

胡椒は胃腸の働きを活発にするだけでなく、胃液や消化酵素の分泌も促してくれます。
ですから、あまり消化が良くない食材を使うときは胡椒の力を借りて身体(胃腸)への負担を減らすといいでしょう。

胡椒(こしょう)を使うときの注意点

健康や美容に大いに役立ってくれる胡椒ですが、その一因である辛味成分ピペリンにはとても強い薬理作用があります。
だからこそ少量でけっこうな効果が得られるのですが、強い力がもたらすものはいいことばかりではありません。場合によっては、ほかの成分や食べ物の作用に影響したり、邪魔したりしてしまうことも考えられるので、くれぐれも使いすぎ、食べすぎには気をつけましょう。

胡椒に含まれるアレルギー物質

加工食品に含まれるアレルギー物質が原因となり、食物アレルギーを持つ消費者が知らずに摂取した食品で健康被害に陥ることもあるという不安の声があがり、近年、消費者庁よりアレルギー物質の食品表示の義務が製造および販売業者側に課せられています。食物アレルギー患者にとってはその表示は命にかかわる大切な表示となることもあり、食物アレルギーをもつ消費者の心配を取り払うために、加工食品の製造者などに適切な表示を行うように指示がなされています。

アレルギー物質を含む食品の表示は、流通している食品や添加物についての表示であり、食品衛生法や日本農林規格(JAS法)など規定されています。たとえば食品衛生法ではその物質が微量であっても省略することなく流通の段階で表示することが求められています。

胡椒に関してみると、白コショウには辛さの調節をするために小麦粉が配合されているので成分表示に表示されています。食物アレルギー患者の方は、アレルギー物質の含有量がたとえ微量でも症状が出ることがあるので、成分表示をよくみて注意しましょう。

食物アレルギーに関しては、現在のところ原因となるアレルギー物質を摂取しないことでしか有効な治療方法がないので、アレルギーの表示は食物アレルギー患者にとっては大切な情報となっています。そのためアレルギー表示制度は重要なものとなっています。たとえば無表示のまま胡椒の中に添加されていたそば粉が原因となりアナフィラキシー症状を発症した事例が過去にありました。これは胡椒の中に増量剤として添加されていたそば粉を無表示にしていたために起きた事件です。

食物アレルギーをお持ちの方は、胡椒にもアレルギー物質の表示がなされているのでよくご確認してお使いください。

塩分に関して

塩分の摂りすぎが原因で引きおこる高血圧や色々な健康障害。現代人は日々の食生活から必要以上の塩を摂取しがちだといわれます。その予防のために最近は色々な食品に減塩が促されています。減塩を実践するには調味料や調理された加工食品、また外食での注意が必要だと言われています。

家庭でできる減塩対策は料理に使う調味料での減塩の工夫ですよね。そこで気になる胡椒の塩分。塩や醤油、味噌などと同様によく使う胡椒ですが、酢や唐辛子などと同様に胡椒は食塩を含んでいません。ですから塩分を気にする食事には影響がありません。ただし最近調味料売り場でよく見かける塩と胡椒がブレンドされた調合調味料は塩、胡椒、アミノ酸などを混ぜ合わした商品なのです。便利に利用できますが、これは塩分も気にしなければならない商品です。

【関連記事:胡椒の種類や魅力、食べ過ぎによる注意点

胡椒の賞味期限と保存方法

胡椒も食品であるので食品衛生法に基づいて賞味期限が商品表示に記載されています。賞味期限というのは美味しく風合いが変わらす食べることができる期限であり、この期限が過ぎたからと言ってすぐに食べられないというわけではありません。しかし製造者および販売者側からは、賞味期限が切れたら食べることはすすめていません。

賞味期限とは開封しない状態のものについての品質を保証した期限です。しかし胡椒をはじめ香辛料の多くは乾燥したものなので開封後、賞味期限が切れてもほとんどのものはまだ使用できます。賞味期限が過ぎた胡椒など乾燥した香辛料についての使用は、表示された賞味期限を目安に風味や変色を見ながら使うようにと製造者及び販売者にすすめられています。

また胡椒の保存方法は乾燥した調味料なので、しっかり蓋をして湿気のない暗所で常温保存しましょう。蓋を紛失してしまった場合や自家製の胡椒などは密封容器やしっかり蓋がしまる瓶に入れて保存してください。