2017年6月22日更新

栃の実のあく抜きの方法や食べ方とは

栃の実

皆さんは栃の実と聞いて、どんなものを連想しますか?
国内では栃餅や栃の実煎餅が有名ですが、実際これらを食べたことがあっても、栃の実を見たことはないという人も多いはず。そこで今回は栃の実についてのあれこれを紹介します。

  1. 目次
  2. 栃の実とは
  3. 栃の実の効能は
  4. 栃の実のあく抜きの方法
  5. 栃の実の美味しい食べ方

栃の実とは

トチノチ科トチノキ属の落葉樹の実のことをいいます。
栃の実は食用として古くから食べられる一方で、栃は枝葉の茂り方が美しく、花は大輪で葉も大きいことから生活のあらゆる方面で使われています。

栃にまつわる話

栃は歴史的にも古く、さまざまな逸話が残っているほど。
日本で沙羅の樹(仏教に関係し、寺院などに植えられる木)といえばナツツバキですが、中国ではこの栃を指します。
初夏に咲く花の形は、仏塔やロウソク立てに似ています。仏教の世界では、毎年花の時期になると手の形に似た葉が、あたかもこれらに向かって手を合わせている様子を連想させるようです。また、インドでは、釈迦が80歳の時に川のほとりで体を洗い、大きな2本の沙羅双樹の木の間に草や落ち葉を敷いて横になりそのまま仏になったという言い伝えがあり、見た目が沙羅双樹に似たこの栃は特別な植物として扱われています。

栃の実はどんな味?

木の実の中でもアクが大変強く、直接食べることはできません。アク抜きをした栃の実の味はわずかなエグミと、ホクホクとした食感があります。
お米のない時代に主食として食べられてきたということもあり、デンプン由来の優しい甘みが特徴です。見た目が栗に似ており、栗ほどは食べやすくないものの、食感や風味も栗に近いといえます。

栃の実の効能は

日常食として食べられてきた栃の実ですが、健康効果が高いことでも有名です。
実際どのような成分が含まれているのでしょうか。

栃の実にはこんな効果が

100gあたりの栄養素を見てみると、カロリーは161kcal、炭水化物、脂質、タンパク質、カリウム、銅、マンガンが多く含まれています。アクの成分であるサポニンが多く含まれており、これは直接食べると赤血球を破壊する有害物質となります。ちなみにリスや鹿は、体内でこの毒素を抑えることができるため、生で食べることができます。

栃の実からとれる天然の生理活性物質は、シワの原因となるコラーゲンタンパク酵素の生成を抑えて肌のキメを整える作用があるといわれています。

アレルギー症状の原因になる?

現在定められているアレルゲン食材に栃の実は含まれておらず、一般的にはアレルギーの可能性は低いと思われがち。しかし、ほとんど食べる機会のない食材に関して、アレルギーの危険性は未知数です。
特にナッツアレルギーの人は、万が一を考えて避けるのが無難でしょう。

栃の実のあく抜きの方法

栃の実といえば、やはり栃餅が有名ですね。
中秋の時期に、緑色だった栃の実の色は黄色く変化し、表面の殻がはぜて実が顔をのぞかせると収穫の合図です。
昔は栃の実がたくさんとれたため、この時期に光沢があって大きく、実のつまったものを選び出したら、湿った砂と混ぜ、通気孔を開けた地下貯蔵庫に保管するという方法で、収穫と同時に保存されていたようです。

ポイントはあく抜き

栃餅を作る際は、栃の実のあく抜きが必要になります。市販で売られている栃餅などのあく抜き方法をみると、以下のような複雑な工程でされています。

  1. 虫を殺すために数日間水に漬ける
  2. 数日間天日干しで皮を乾かす
  3. 加熱し皮をむく
  4. 川などの流水に1週間ほど漬ける
  5. 木灰に熱湯を加えて、栃の実を加えて混ぜる
  6. そのまま保温状態で1日おく
  7. 水洗いして餅などに加工する

家庭ではとてもできない気の遠くなるような作業ですが、ここまで念入りにあく抜きをしてやっと食べやすい味になるんですね。
一般家庭ではあく抜きをしたものを用意し、砕いたものに餅と砂糖を練り合わせて形を整えれば、美味しい栃餅が自宅でも楽しめますよ。

栃の実の美味しい食べ方

手軽に摂るなら栃の実茶

栃の木の芽は昔からお茶の代わりに飲まれてきましたが、最近国内で栃の実から作ったお茶が人気を博しています。
独特のエグミは抗酸化作用のあるポリフェノールによるもので、アンチエイジング効果が非常に高いとされています。自宅ではあく抜きが大変。でも栃の実の効能を実感したいという場合は、ぜひ栃の実茶を試して見てください。

栃の実は見た目が美しく、数が多いことから食料源として食べられてきました。しかし、現在ではその加工の手間から食べる機会がぐんと減ってしまっているのが現状です。
美味しく健康的な栃の実を摂るために、栃餅や栃の実煎餅、栃の実茶を取り入れてみるのもいいかもしれません。