2019年1月8日更新

たまり醤油とは?醤油との違いとその使い方について

現在、国内で1400もの企業が醤油を作っており、そのうちキッコーマン、ヤマサ、ヒゲタ、ヒガシマル、マルキンの5つが、国内市場の半分のシェアを担っています。
これらたくさんの企業が作るさまざまな種類の醤油。たまり醤油もそんな醤油のひとつです。

  1. 目次
  2. たまり醤油とは
  3. 醤油との違いは
  4. 他の調味料で代用する場合は

たまり醤油とは

たまり醤油といえば、寿司屋など和食の分野で比較的耳にする機会が多いのではないでしょうか。
たまり醤油は江戸前寿司の発展に伴なって江戸時代に盛んに使われた醤油であり、当時は醤油といえばこのたまり醤油を指しました。

たまり醤油の歴史

今から約800年前の鎌倉時代(1185年—1333年)が起源といわれています。もとは覚心という禅僧が、紀州の湯浅で南宋時代杭州径山寺から伝わる金山寺味噌の作り方を村人に教えていたところ、味噌から醤油がしみ出し、偶然にもそれが溜まっていたため「たまり醤油」と呼ばれるようになったそうです。

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味や特徴は?

味噌の原料である大豆、これに麹を加えて1年間発酵させ、味噌玉というものを作ります。ここからしみ出すもろみ液を汲み出し味噌玉にかけ、何度も繰り返してたまり醤油を熟成していきます。

たまり醤油特有の濃い色合いや、とろっとした粘りけが出るまでには、相当な手間がかかっており、値段も高価になります。
また、大豆のタンパク質が凝縮したその味は、濃厚でコクがあり、独特の香り高さから寿司や刺身と相性が良いとされています。そのため、酒やみりんなど甘みを添加して刺身醤油として使われることもあります。また、加熱すると赤くなることから、せんべいの表側に塗られたりもしています。
和歌山が発祥ということもあり、東海から中部地方にかけて、特に三重県、岐阜県、愛知県が主な産地になります。

醤油との違いは

手間がかかるうえ、少ししかとれないことから、昔ながらの伝統製法で作られるたまり醤油は、国内生産量のわずが2%といわれています。
私たちが普段使っている刺身たまり等のたまり醤油は、添加物や調味料でよく似た味にし、安価で大量生産されたものであり、本物にお目にかかる機会はなかなかないようです。
生産量のほか、醤油との違いにはどのようなものがあるのでしょうか。

原料や製法の違い

伝統製法のたまり醤油は、大豆100%の味噌から出る熟成したもろみ液を、圧搾したり、自然にためて取り出します。この製法は天然醸造といい、原料は大豆のみ、あるいは小麦が2割加わる程度です。

それに対し醤油(濃口醤油)は大豆と小麦を1:1の割合で使用し、高塩稀態醸造という方法で作ります。
高塩稀態醸造とは、大豆と小麦(粉)を混ぜたものに2〜2.5倍の塩水を加えて流動状にし、3〜6ヶ月熟成するという方法です。

塩分や成分に違いはある?

たまり醤油も普通の醤油も、塩分濃度は16〜17%とほぼ変わりません。
成分を見てみると、醤油の炭水化物が大さじ1あたり1.82gであるのに比べ、たまり醤油は2.86gとなっていることから、たまり醤油の方がややカロリーが高めになります。
また、醤油の主なミネラルはナトリウムとモリブデンですが、たまり醤油はナトリウムとマグネシウムであり、ここでも醸造方法の違いがうかがえます。

他の調味料で代用する場合は

たまり醤油を少しだけ使いたい、買うのはもったいないという方は、いつもお使いの醤油にザラメとみりんをプラスして代用できますよ。
醤油2:みりん1:ザラメ0.5の割合で混ぜたら、沸騰しないよう細火にかけザラメが溶けたら完成です。欲しい分量だけ作れて、作り方も簡単なのが嬉しいですね。ちなみに余った分は容器に入れて冷蔵庫で1週間保存可能です。

コクとほのかな甘みがあり、深い色合いのたまり醤油は、直接刺身につけてもよし煮てもよしの優れた調味料であり、いつもの食材の味を甘辛く豊かなものに変えてくれます。
今はスーパーや百貨店、さまざまなところで手軽に買えるようになっていますので、みなさんもぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。