2019年11月11日更新
オランジェットがべたつく?乾かないときの上手な乾かし方とは
酸味と甘みのハーモニーが絶妙なオランジェット。乾かないとベタベタする原因になりますが、しっかり乾燥させるにはどうしたら良いのでしょうか。また、時間がかかり過ぎるオランジェットは市販のオレンジピールやオレンジコンフィを使って時短が可能です。今回はオランジェットがべたつく際の上手な乾かし方を解説します。
オシャレで美味しいオランジェット
スイーツを取り扱うお店に行くと、一度は目にしたことがあるオランジェット。香りの良い柑橘類などの果物に砂糖が付いており、甘いチョコレートがコーティングされたシンプルながらも何度でも食べたくなるスイーツです。フランスから誕生したオランジェットは、砂糖漬けにした皮を乾燥させてチョコレートで包み、リキュールやカカオといった大人の深い味わいを楽しめる贅沢なおやつとも言えるでしょう。
手軽に作れそうなオランジェットだけど…
オランジェットの見た目は、細く柔らかい柑橘類にチョコレートがコーティングされているだけなので、家庭でも簡単に作れるのではとレシピを見ながら手作りする方も多いですが、場合によってはベースとなる柑橘類が乾かないことで出来上がりがベタベタするといったこともあるでしょう。
意外と難しいのがオランジェットの作り方であり、ポイントや注意したい箇所を知らないとべたつく原因が分からず、失敗作を作り続けてしまうことになり兼ねません。
オランジェットが乾かない原因
オランジェットが乾かない主な原因としては、チョコレートをコーティングする前のオレンジコンフィやオレンジピールなどが乾燥し切っていないこと。
チョコレートをコーティングする際のテンパリング(温度調整)が不十分なことです。
オランジェットは乾燥した柑橘類にただチョコレートを浸すだけでは味が悪く、口に入れた際の滑らかさも十分に楽しむことができません。オランジェットをご家庭で手作りする際は準備したコンフィやピールが乾いているかの確認から初めてみましょう。
オランジェットのべたつきを回避するポイント
オランジェットのべたつきを無くすためには、調理途中でのチョコレートのテンパリングに特に気を遣いましょう。
下記のレシピ内でもお伝えしますが、テンパリングを正しく行うのと行わないのとでは見た目の光沢感や艶やかさ、そして口溶けにも差が生まれます。
テンパリングはチョコレートのメーカーやカカオの含有量によっても温度が異なります。表示がされている場合はそれに従うようにし、下準備の段階ではチョコレートの保管温度は15℃前後。
そして作業にかかる際に適した環境温度は18度前後です。後々の仕上がりに影響が出る可能性があるため、空調が直接当たらないところでの作業作りをしておきましょう。
また、市販のオレンジコンフィやオレンジピールが乾き切っていないと感じた場合は、下記レシピ内に記載した自然乾燥法と低温でオーブン焼きする乾燥法を参考にしてみてください。
手作りのコンフィやピールの場合はしっかりと乾燥しているためこれらの乾燥法を試す必要性は低いと言えます。
乾かし方や注意箇所を押さえたオランジェットの作り方
仕上がりがベタベタする…全体的にべたつくなどのオランジェットが持つ本来の美味しさを邪魔する原因にはしっかりとポイントを押さえた作り方を熟知することが大切です。要点を覚えておけば香り高く、甘酸っぱいオランジェットを楽しむことができるので、基本的なレシピと上手な作り方をご紹介します。
準備するもの
- オレンジコンフィorオレンジピール 500g(それぞれ手作りする場合は下記を参照)
- グラニュー糖 適量(乾燥し切っていない際に場合に応じて必要)
- 洋酒 適量(乾燥し切っていない際に必要)
- クーベルチュール・チョコレート 300g~600g
テンパリング用
- 温度計
- ゴムベラ
- チョコレート用のステンレス製のボウル
- 湯煎用のお湯 50℃前後
- 冷却用の水 10℃前後
- 保温用のぬるいお湯 32~35℃
コンフィのレシピ
準備するもの
- 夏みかんや甘夏、オレンジなど(適量)
- 砂糖(オレンジの9割の重さ)
- レモン汁(大さじ2)
レシピ
- オレンジの表面を良く洗い、オレンジの表面に爪楊枝でいくつかの穴を開けます。こうすることによって砂糖が染みわたります。
- 深めの鍋にオレンジを入れ、浸る程度の水を入れて火にかけます。沸騰したら湯を捨てて、再度水を加えて15分程煮ていきます。
- 15分経ったらオレンジを取り出して冷水に浸し、1日以上そのまま浸します。夏は傷むため冷蔵庫で様子を見ましょう。
- 1日以上浸したらオレンジを輪切りにスライスし、深めの鍋にオレンジ、砂糖を入れて弱火にかけ、その後沸騰させていきます。
- 沸騰したら火を止めて取り出さずそのまま冷めるのを待ちます。
- 冷めたらオレンジを取り出し、ザルによけて鍋に残った煮汁だけを弱火で煮詰めます。10分程度煮詰めたらオレンジを鍋に戻して再度弱火で10分煮ます。時間が経ったら火を止めて鍋を完全に冷やします。
- ⑤と⑥の工程をあと4回繰り返したらレモン汁を加えて5分程煮ます。取り出して冷めたらグラニュー糖をまぶし、オーブンシートの上で乾燥させたら出来上がりです。
ピールのレシピ
準備するもの
- 夏みかんや甘夏、オレンジなどの皮(適量)
- 砂糖(皮の重さと同量)
- グラニュー糖(仕上げ用)
レシピ
- オレンジを良く洗い、表面の皮にある油をピーラーで薄く削り、頭部のヘタを取ったら縦十字に切れ目を入れて皮を剥きます。
- 1cm幅に切り分けたら鍋にたっぷりの水を入れて火にかけ、煮立ったら湯を捨てて水に浸します。3回この作業を繰り返し行ったら水にさらして一晩放置します。
- 一晩経ったら前日の水を新しい水に変え、2回目は3時間放置します。時間が経ったらザルに上げて重さを計測し、砂糖の量を同量で測るか、8割の重さになるように測りましょう。
- 続いて鍋に皮を入れ、砂糖を3回に分けて1時間を目安に弱火で煮詰めます。1回目の砂糖を入れたら20分煮詰め、水分が出てきたら砂糖が均等に行き届くように鍋をまわして安定させましょう。20分程度経ったら2回目の砂糖を入れ、弱火で更に20分。そして3回目の砂糖を入れたら同じように20分弱火で煮詰め、オレンジが透明になったらザルに皮を移して蜜を落とします。
- うちわなどで冷ましたらグラニュー糖をまぶし、余分な砂糖を落として乾燥させたら出来上がりです。
オランジェットの作り方
- 準備したオレンジコンフィかオレンジピールは、ピールの場合は7~8cm幅の棒状に切り、両端をカットしておくと仕上がりが綺麗に見えます。
- 市販のコンフィやピールは固くベタベタしているものも多いため、乾いていない状態なら水か洋酒などで軽くすすぐように洗い、自然乾燥させるため網などに並べて一晩乾かします。
ここで乾いたら下準備はOKですが、まだ乾かない場合は、オーブンで低温焼きする方法を取ります。オーブンでの乾燥方法は、天板にオーブンシートを敷き、重ならないように並べたら150℃に予熱が完了したオーブンで15分程焼き、乾燥させながら冷ましていきます。
甘いものが苦手でなければ熱いうちにグラニュー糖をまぶすとしっかりと乾燥させることができます。
- フルーツ類の準備が終わったら、続いてチョコレートのテンパリングに移っていきましょう。コーティングするチョコレートはただ浸して固めただけでは食感が悪くなってしまうため、ここで口当たりを良くするためにカカオバターが多く含まれるクーベルチュールチョコレートでテンパリングをしていきます。テンパリングはチョコの中に含まれる油脂分を温度調整することで結晶を安定化させる最も重要な工程です。また、チョコは油分と水に弱いため、使用するボウルは必ず綺麗に拭き取ります。
- テンパリングの準備ですが、まずコーティングに使用するチョコレートを粗く刻み、綺麗に拭き取ったボウルに入れて湯煎にかけていきます。温度計を使いながらゴムベラで空気が入らないようにゆっくりと混ぜていき、45℃になるまでチョコレートの温度を上げます。
- 45℃まで上がったら、湯煎から外し、冷却用の水が入ったボウルを下につけて28~29℃まで下げていきます。
- しっかりと指定の温度まで下がったら再度湯煎にかけてゆっくり混ぜ合わせ、31~32℃にまでなったら保温用のぬるま湯にボウルの底をつけてそのまま温度を維持しましょう。34.5℃を超えてしまうとテンパリングが失敗となるため、この温度より上回ってしまったら残念ながらもう一度やり直しです。
- テンパリングが成功したらコンフィやピールにチョコレートを浸し、クッキングシートの上に並べます。表面に光沢感が出ているのがテンパリングの成功の証なので、そのまま固めて完成です。保管は冷蔵庫で行いましょう。
※オレンジコンフィとは…オランジェット作りに多用されるオレンジコンフィは、オレンジのスライスを砂糖漬けにしたものです。薄切りのため、皮と果肉どちらも楽しめます。
※オレンジピールとは…こちらもオランジェット作りに多用されるもので、オレンジの皮を砂糖漬けにしたものです。コンフィと比較すると細切りにされているため、食べやすさと皮の食感が楽しめます。
高級なオランジェットをご家庭で
購入すると高いオランジェットは、ポイントさえ気を付ければ家庭で作ることが可能なスイーツです。何度でも食べたくなる味わいはオランジェットの最大の魅力なので、上手に作れないという方は是非参考にして美味しく上品なオランジェットを作ってみてくださいね。