2018年4月14日更新
アカエイを食べる!毒には要注意!アカエイの美味しい料理をご紹介
水族館で見かけるアカエイは、水槽の中を飛ぶように泳いでいて、その優雅な姿には見惚れてしまいます。観賞するのも見劣りしませんが、食べても美味しい魚なんです。最近はエイ自体、食卓に上がることが少なくなってしまいましたが、アカエイはエイの中でも最も美味しい魚なんですよ。今回はアカエイを食べる!と題し、アカエイの美味しい料理をご紹介します。注意しなければならないアカエイの毒についても調べました。
アカエイを美味しく食べる!
アカエイとはトビエイ目アカエイ科アカエイ属の魚です。学名はDasyatis akajeiと言います。アカエイは各地でよくエイと呼ばれています。西日本ではアカエ、沖縄ではアカマンタなどという名でも呼ばれています。体の大きさは成魚で90cm~1mくらいですが、尻尾の長さまで入れると2mくらいの大きさです。
ほかのエイ類同様、体は座布団のように平たく、丸く緩やかな円を描いたような形で左右に胸鰭がついています。鞭のような長い尻尾が特徴です。アカエイの背面は褐色をして、噴水孔のまわりは黄色っぽい色をしています。腹面は白く、その縁は黄色っぽい色をしています。アカエイはよく水族館などでも見かけますが、食用の魚としても知られており、エイ類の中では一番美味しいと言われています。アカエイの煮付けはアカエイのポピュラーな料理で、ゼラチン質が多いためその煮汁を冷ますと煮凝りになります。西日本ではお刺身で食べるのがポピュラーのようです。
アカエイの味は?
エイ類の中では最も美味とされるアカエイ。アカエイの味の評価は料理人や釣りの世界からも高く評価されています。アカエイは鱗がなく、内臓も小さくきれいです。骨は軟骨で軟らかく、食べるとコリコリして美味しいといわれます。アカエイは主にヒレの部分を調理しますが、その身肉はクセがなく、適度な繊維質のある白身です。アカエイの煮付けの味は、柔らかくしっとりと癖のない味わいです。醤油との相性がよく、アカエイの代表的な料理です。
アカエイは鮮度が落ちるとアンモニア臭がします。ただアンモニアは水溶性なので水にさらすと臭いをとることができます。また酢味噌や酒、ショウガなども臭みを消すのに役立ちます。アカエイの生の身肉はピンク色をしていますが、湯引きすると白くなります。アカエイは身に水分は多いのですが、全体的に脂肪など栄養成分の少ない魚です。脂肪が少ないのでカロリーも低いためダイエット料理に向いているかもしれません。
アカエイは英語でトゲのある赤いエイ
アカエイを英語で書くとRed stingrayと書きます。stingとray。rayは直訳すると「エイ」でstingは「とげ」とか「刺す」という意味があります。そうです!エイ類の中でもRedと付くアカエイは、その特徴的な鞭のような尾に毒腺をもつ棘があるのです。アカエイは海底の砂に潜ってじっとしていることが多い魚です。水中で遊んでいるときに、アカエイを踏んでしまい刺されてしまったという事故も多く発生しています。
アカエイは毒に注意!
鞭のようなアカエイの尾には、鋭い毒棘が付いており、これに刺されるととても危険なので気を付けなければなりません。アカエイの体の表面はほとんど滑らかですが、頭から背にまっすぐ縦に走る部分から尾にかけて小さな棘が並んでいます。そして尾の棘の中には数十センチほどの長い棘が2~3本あり、この長い棘に毒腺があるのです。毒腺をもつアカエイの棘はたちが悪く、のこぎりの歯のような形をしていて「返し」があります。そのため一度刺さると抜けにくいのです。
誤ってこの棘に刺されると激痛に襲われます。場合によっては数週間も痛みが続くこともあります。アカエイをはじめ、棘をもった魚の毒というのは、それぞれ種類はありますが、「たんぱく質毒」と言われ、傷の中の細胞を破壊し炎症をおこさせるタイプの毒です。刺された直後には激痛に襲われ、段々と刺すような痛みに変わっていきます。そして細胞が壊死し始めてしまいます。重症になると血圧低下、呼吸障害、下痢、発熱などの症状が出るほか、アレルギー体質の人はアナフィラキシーショックを起こし、最悪の場合は死に至ることもあるそうです。
アカエイの鞭状の尾は形だけではなく、毒棘の付いた尾を実際に鞭のように使い、敵を追い払うためにも使います。この毒棘は人のズボンや靴下おも貫く強さと鋭さがあると言われます。また死んでいる個体でも毒棘の毒性はなくならないので、死んでいるものでも毒棘には十分注意して調理しなければなりません。
アカエイの毒棘に刺されたらどうすればよいか?
誤ってアカエイに刺されてしまった場合は、まず傷口をぎゅっと押さえ、できるだけ毒を絞り出します。そして傷口を水または湯で洗い流し、できるだけ早く医療機関に受診してください。タンパク質毒は熱に弱く、熱い湯(60℃以上の高温)で毒の成分が分解されるとも言われています。医療機関に受診するまでにできることは、毒を絞ったらキズ口の周囲をやけどしない程度の熱湯(45~50℃くらい)の中に浸し、応急処置しておくとそのあとの治療に効果的だと言われます。
アカエイの上手な捌き方
アカエイを捌く前に、危険な棘の付いている長い尾を切ってしまいましょう。この時毒棘を刺してしまわぬように気を付けてください。尾を切り落としてから捌いていきます。まずヌメリを良く洗い流します。たわしなどを使うのもおすすめです。
アカエイの基本の捌き方は、左右の両ヒレと胴体を3分割にします。ぬめりをとっても滑りやすいので、軍手をはめたり布巾でアカエイの胴体を抑えると捌きやすいです。切り離した胴体からは肝、白子を取り出します。ほかの臓器は一般的には調理しません。切り離したヒレは皮をはぎ、身肉として調理します。
ヒレの皮をそぐときのコツは、ヒレの縁を1cmほど包丁で切り取ります。そして皮と身の間に包丁を入れ、切り込みを入れたら、滑らないように布巾などを使って皮の端をつまみはいでいきます。たとえばペンチで皮の端をつまんで皮を引くのも、しっかり皮をつかめておすすめです。きれいに皮がはげたヒレは、大きさによって料理を選んで調理してください。肝も白子も絶品なので、胴体から取り忘れないようにしましょう。
アカエイの美味しい料理
アカエイの骨は軟骨で、煮こむと柔らかくコリっとした食感がとても美味しいと言われます。唐揚げにしても軟骨まで食べられます。洋風にするならアカエイのムニエルは人気の料理です。身は練り物に、そして軟骨は干物にも加工されます。韓国ではアカエイをフエと呼び、韓国料理でもアカエイは美味しく料理されています。
アカエイの刺身
アカエイは、西日本や韓国では刺身で食べるのがポピュラーです。アカエイの刺身は甘みと旨みが堪能できるほか、軟骨のコリコリとした歯ごたえが美味しいと言われます。わさび醤油でいただくのがおすすめですが、鮮度が落ちてしまうとアンモニア臭が強くなるので、その時は柚子のしぼり汁や生姜などで臭いを消して食べるとよいです。
アカエイの肝
アカエイのおすすめの料理には、肝の刺身も各地に伝えられています。レバ刺しのような味わいだとか。ソテーするとフォアグラの味わいに似ていると言われます。生姜と酒を加え臭みを消した煮付けもアカエイの肝のおすすめ料理です。肝の味も抜群に美味しいと言われます。
アカエイの煮付け
アカエイのポピュラーな料理の煮付けは、くせのないしっとりとした身肉でとても美味しいと言われます。身肉や軟骨にゼラチン質がたくさん含まれているので、煮付けの後の煮汁を冷やすとプルンプルンの煮こごりになります。煮付けを多めに作ったときには、余った煮汁にほぐした軟骨や身を加えバットに入れて置いておくと美味しい煮こごりができます。
アカエイのおすすめ料理レシピ
エイの中でも一番美味しいと言われるアカエイは、煮付けはもちろん、生で食べる料理も美味しく、軟骨の食感も料理の美味しさを増してくれます。肝も絶品なアカエイのおすすめレシピをいくつかご紹介します。
アカエイのムニエル
アカエイのムニエルはうま味があるのにクセのないさっぱりとした味わいです。コリコリした軟骨の食感も美味しいうえ、軟骨と軟骨の間からは美味しいアカエイのエキスが出でます。軟骨なので骨ごと食べることができるのでカルシュウムも豊富。ご紹介するムニエルはアカエイのおすすめの洋風料理です。
<材料・2人分>
- アカエイ(ヒレ)2枚
- 塩少々
- 胡椒少々
- 小麦粉適宜
- バター50g
- オリーブオイル大さじ1
- レモン汁1/4個分
- レモン(飾り用)
<作り方>
- 皮をはいだアカエイのヒレの表面に塩をふり、しばらく寝かせてから水分をキッチンペーパーなどでふき取ります。
- 胡椒をふり、小麦粉を全体にまぶします。
- フライパンにバター半量とオリーブオイルを入れて熱し、小麦粉をまぶしたエイを両面こんがりと焼きます。
- エイに火が通ったら取り出し、フライパンに残った余分な油をふき取り、そこに残りのバターを入れて少し焦がしてからレモン汁を入れます。
- こんがり焼けたアカエイを皿に盛り付け、上記のレモン汁をかけ、レモンを飾り出来上がりです。
*バターを焦がしレモン汁でソースを作るとき、レモン汁の代わりにオレンジの果汁、コアントロー、またはマデラー酒などを代わりに使っても相性がよく美味しいです。
アカエイ肝卵ご飯
新鮮な肝が手に入ったら味わってほしいレシピです。「肝は苦手!」という方でも美味しくいただけてしまいます。卵の黄身と肝が濃厚にからみ、さらに煮汁が食欲をそそる、アカエイの肝の美味しいレシピです。
<材料・1人分>
- 温かいご飯 1膳
- 卵の黄身 1個
- 万能ねぎ 1/2本
- 炒り胡麻 少々
- アカエイの肝 30g
- 牡蠣醤油 小さじ1
- 酒 小さじ1/2
アカエイ!おいしく食べよう
アカエイの泳ぐ姿も優雅で癒されますが、食べても美味しいアカエイ。ゼラチン質が多いので肌も潤い美容にも効果的な食材です。煮付けやお刺身、ムニエルも絶品です。でも調理するときは猛毒の毒腺を持つ棘を刺してしまわないよう最初に尾は切ってしまいましょう。軟骨の食感、コラーゲンたっぷりのアカエイを美味しく食べてみてください。