2017年12月11日更新

アナトー色素の危険性

アナトー色素

私たちが普段口にする食べ物は、素材そのものの状態よりも、着色されている状態の方が美味しそうに見えることが多くあるものです。とはいえ、その着色に使用される色素が実際どのようなものなのかは知らずに食べていることが多いのではないでしょうか。

  1. 目次
  2. アナトー色素とは
  3. アナトー色素の特徴
  4. 使用されている食品は?
  5. アナト-色素の使用基準

アナトー色素とは

アナトー色素とは、ベニノキ科ベニノキの種子の被覆物から抽出された色素です。カロチノイド系のノルビキシン及びビキシンを主成分とし、黄〜橙色を呈しています。

そのため、アナトー色素は食品などには、「カロチノイド色素」「カロテノイド」などと記載されることもあります。ちなみに、ベニノキとは、南米やアフリカなどの亜熱帯地方で広く栽培されている常緑低木で、現地では古くからボディペインティングや化粧に使用していたとされています。

アナト-色素は英語でAnnatto extractと書きます。主成分のカロチノイド系のノルビキシン及びビキシンはベニノキの種子の表面に被さった赤色のものの中に含まれる色素です。厚生労働省行政報告情報の食品衛生法に基づく添加物の表示についての既存の添加物の品目のリストによると、簡略名もしくは種類名はアナトー、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素という名称で呼ばれ、用途は着色料とされています。

現在も、中南米では種子を煮込み料理などに使用することがあるようです。また、フィリピンなどでは比較的高価なサフランの代用として、ベニノキを香辛料や着色料として用いることもあるようです。

このように天然由来のアナトー色素ですが、食品添加物として遺伝毒性があるのではないかとも言われています。

そもそも、ベニノキの栽培地である南米では環境汚染のため、その資源が悪環境にさらされているのが現状であり、特に水銀による汚染が心配されているのです。日本にはその国際基準や規格となるものがないため、輸入されている可能性も否めません。

アナト-色素の人体に及ぼす影響

アナトー色素の水銀の汚染が心配される問題に関しては、これまでも天然添加物の安全性の見直しが必要だとささやかれている中で、規格基準の見直しなどがなされないままでいたところ、2009年3月に天然着色料のアナトー色素が水銀に汚染されているという報道がでて、さらなる心配が話題となりました。

原因は天然のベニノキが土壌などの環境に汚染されたためでした。そこで東京都の研究所が天然着色料の水銀をはじめ、鉛、カドミウムなど、食品中の残留物を調査分析した結果、6社7製品のうち、1製品からアナトー色素中から水銀が0.04ug/g検出され、結果、今後も引き続き調査を行い安全性を確認していくという現状に至っています。

天然着色料のアナトー色素の毒性については、水銀とは限らずほかにも試験分析が行われています。たとえば京都府立大学の研究チームの天然食品添加物の毒素についての報告では、アナト-色素の肝毒性や腎毒性について分析が行われ、健康に影響ないと結果報告がなされています。

この実験は動物に毒物を投与して病気を発生させ、肝毒性および腎毒性が天然添加物の併用投与により抑制されるかまたは増強されるかどうかを調べたものです。アナトー色素とクロロホルムの併用投与した動物は、結局肝毒性のGPT値および腎毒性の血清尿素窒素値など健康を害する数値を示さなかったと報告されています。

水銀は、脂溶性の毒物であるため、神経細胞に障害をもたらすとされています。そのため、妊婦が長期間摂取し続けると胎児へ何らかの影響が出る危険性があるようです。妊娠中は通常の時よりも、免疫力が落ちやすいと言われているので、不安ならば、食品添加物の多く含まれている食品は摂らない方が無難と言えます。

また、一般的にアナトー色素は無毒とされていますが、食品に使用される際に他の添加物と併用されることによって、毒性が現れる可能性があるともされています。

アナトー色素の特徴

アナトー色素は、主に食品を黄色や橙色に着色するのに使用されています。

その成分は、水に溶けにくいものの、油には溶けるという性質があります。そのため抽出の際には、ヘキサンなどの溶剤を使用したり、プロピレングリコールを使用したり、高温のアルカリ性水溶液で加水分解して中和させたりしなくてはなりません。こうして様々な方法で抽出されますが、すべてこれらはアナトー色素として扱われています。

使用されている食品は?

アナトー色素が使用されている食品例として、ハムやソーセージ、水産加工品、マーガリン、チーズなどが挙げられます。

また、タンパク質と結合すると赤く染まる性質があるため、煮ダコやエビの着色、せんべいなどの焼菓子、焼肉のタレなどにも使用されています。

さらに、最近はパン粉やキムチなどにも使用されていることもあります。アナトー色素は、性質上多くの色を出すことができるため、使用される食品も非常に多岐にわたります。

アナト-色素の使用基準

厚生労働省の食品添加物の使用基準によると、アナト-色素は着色料(化学的合成品を除く)と同様の使用基準が適用とされます。それによるとこんぶ類、食肉、鮮魚貝類(鯨肉を含む)、茶、のり類、豆類、野菜およびわかめ類には使用してはならないという使用制限が出されています。

使用量についての最大使用限度やそのほか使用できる食品などについての制限はありません。使用制限に掲げられたこと以外は、各企業が必要最低量を食品に使用してよいとされています。

ちなみに使用制限されているこんぶ類や食肉などについて、なぜこのような食品が使用制限されているかというと、こんぶ類や食肉などの食品は新鮮なのかどうかをその食品自体の色によって判断することがあり、着色料によって消費者に鮮度を誤認させることを防ぐため、これらの食品についてはアナト-色素などの着色料を使用してはいけないと制限されているとのことです。

また使用基準の使用制限欄に「ただし、のり類に使用する金は除く」とありますが、金とはたとえば飾りつけに使う金粉などのことで、のり類に使う金は鮮度を誤認させるものではないので、使用基準から外されています。ちなみに「金」も既存添加物の一つです。

アイスに使用されるときの使用基準

食品添加物のアナト-色素の使用基準には使用制限に掲げられている食品以外は、使用してはいけない食品はありません。ですからアイスの着色料にも使われていますが、使用量の最大使用量の基準もなく、使用量はそれぞれの製造会社によって決められています。アナト-色素などの着色料を使用することで味や栄養価を変えずに、色をつけてコストダウンをはかる製造会社もたくさんです。

たとえば抹茶アイスは本来の抹茶のほかにアナト-色素を添加して色を出している商品が多いです。抹茶の量を減らしアナト-色素などの着色料を使用することで、製造者側はコストダウンを図ることができます。

しかしアナト-色素をはじめ、アイスに添加した着色料に突然変異原性(突然体に悪い影響をきたす性質になる)が疑われ、不安の要素があるという報告もあり、健康のリスクを考えるとアナト-色素などがアイスの添加される必要性を問う声も上がっています。ちなみにたとえば抹茶100%で色を出しているアイスはそれだけ価格も高いのは事実です。