2016年11月9日更新

炭酸カルシウムの食品添加物としての用途

炭酸カルシウムは工業製品や医薬品、塗料、プラスチックなどの原料だけでなく、化粧品や歯みがき粉と言った私たちの日常生活の身の回りの物に幅広く使われており、安全性が高いことから様々な食品に添加物として使用されています。

  1. 目次
  2. 炭酸カルシウムとは
  3. 食品添加物としての用途
  4. 炭酸カルシウムを含む食品の安全性

炭酸カルシウムとは

炭酸カルシウムは英語でcalcium carbonate、化学式CaCO₃で表されるカルシウムの炭酸塩です。

石灰岩や大理石の主成分で貝殻やサンゴ、鶏卵の殻の主要な構成成分です。チョークや研磨剤として消しゴムや歯みがき粉、直接肌に触れる化粧品や入浴剤の原料にも含まれています。また農業用には、PH調整剤として土壌改良や栄養強化を目的として、牛や豚のエサに使われています。炭酸カルシウムは中性で使いやすいため、食品のカルシウム補強剤として繁用されている食品添加物です。

食品添加物としての用途

炭酸カルシウムは1957年に厚生労働省により食品添加物として指定されました。主な用途としてはカルシウムの強化剤、膨張剤、改良剤、基礎剤の他にも酒の脱酸剤や飴の中和剤として用いられています。

主な用途

  • 栄養強化剤:チョコレートやビスケットなどの菓子や即席中華麺、納豆、ベビーフードなど製品のカルシウムの補填に使用されています。
  • 膨張剤:イーストフードやパンの発酵を早める目的で使用されています。
  • 品質改良剤:麺やかまぼこなどの魚肉練り製品に弾力と柔らかさを与え、食感を良くする目的で使用されています。
  • 基礎剤:チューイングガムの基礎剤の一部として使用されています。

※強化剤として使用するときは表示する義務がなく、用途により物質名ではなく「膨張剤、ガムベース、イーストフード」など一括表示される場合があります。

炭酸カルシウムを含む食品の安全性

2016年3月に食品安全委員会が、炭酸カルシウムの食品添加における健康への影響に関して各種試験を実施し評価しました。その結果、日本国内での炭酸カルシウムの使用量は、チューイングガムの場合は全体の10%以下、その他の食品の場合は全体の1.0%以下と規定されていましたが、使用基準を設定しない改正案を出しています。

炭酸カルシウムは、卵の殻やサンゴなど自然界に多く存在します。日本で取り扱う炭酸カルシウムは国内で産出したもので、食品添加物には石灰石が原料となっています。また使用される炭酸カルシウムには2種類あり、不純物の少ない石灰石を粉状にした重質炭酸カルシウムと、石灰石の不純物を二酸化炭素と反応させ除去した軽質炭酸カルシウムがあり、どちらも食品に使用されています。重質も軽質も安全面に問題はないとされています。