2017年10月2日更新

日本の伝統野菜!壬生菜の栄養や特徴とは?

壬生菜

壬生菜は京野菜の代表格として有名ですが、見た目は水菜や他の葉物野菜とも似ていることから、見分けるのが難しい野菜でもあります。そこで今回は壬生菜の特徴や見分け方、美味しい食べ方について紹介します。

  1. 目次
  2. 壬生菜とは
  3. 壬生菜と水菜の違い
  4. 壬生菜の旬は
  5. 壬生菜の美味しい食べ方

壬生菜とは

壬生菜の歴史は意外に浅く、紀元前からあるたまねぎやキャベツに比べると300年ほどしかありません。当時、京都壬生寺の周辺で栽培されていた水菜の変異種が自然交配して生まれたもので、海外でも「日本原産の新しい野菜」として紹介されています。

壬生菜の特徴は

全国的に流通量の多い水菜に比べるとその生産量は圧倒的に少なく、価格が1.5倍ほど高めであることがまず挙げられます。漬物などに加工品になることが多く、本場京都にはブランド壬生菜の漬物もあるほど。このような理由から、これまでは大手高級ホテルや高級料亭で取り扱われていましたが、最近では生産量も伸び、スーパーでも見かける野菜となっています。
壬生菜には他に以下の特徴があります。

(1) 強い生命力
もとが水菜ということもあり壬生菜は株が増えやすく、伸びた茎が枝分かれし、さらにその先でも枝分かれするため、先端に行くほど密になり、全体が太い束のようになります。1つの株が数百から千株に分かれることも珍しくなく、それぞれの株に深みを帯びた緑色のやわらかい茎と葉が育ちます。

(2) 葉の形
葉の先端は、切り込みのない丸みを帯びた楕円形で、葉の根元に近づくにつれてスプーンのように細長く、色も淡くなります。

(3) 生産効率の良さ
株1つの重さは1-2kgあり、栽培効率が良く100㎡あたり1000kgの収穫量を誇ります。少ない耕地からたくさん栽培することができ、(品質には差が出るものの)個人が家庭菜園でできるほど、栽培しやすい野菜といえます。

(4) 辛み
味は水菜に似ており、しゃきしゃきとした食感にみずみずしい香りが広がります。葉物野菜特有の青臭さは少なく、辛味が少しあります。

壬生菜の栄養成分や効果効能

壬生菜には、βカロテン(ビタミンA)、ビタミンC、鉄、食物繊維、リンゴ酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどを多く含みます。
ビタミンには古くなった細胞を修復し新しい細胞を作り出す働きがあるため、高血圧、高脂血症、肥満や糖尿病、脂肪肝、リウマチ、脳血管疾患といったさまざまな代謝障害に効果があります。
また、ミネラルバランスが非常によく、体のさまざまな機能を正常に働かせ、自律神経やホルモン分泌を正常に戻す働きも期待できます。

壬生菜と水菜の違い

壬生菜と水菜

京都では壬生菜も水菜と呼ばれるほど、見た目がよく似ています。また特筆される栄養素は、先に述べたものに近く、栄養価の面でもかなり共通していると言えます。
ではどんなところに違いがあるのでしょうか。

壬生菜と水菜の見分け方

ポイントは2つです。
1つは葉の形。水菜の葉の先はノコギリのようにギザギザしているのに対し、壬生菜がスプーンのように丸くなっています。スーパーで見かけたときはまずこれで見分けがつきます。

そしてもう1つは茎の占める割合と太さ。水菜の茎は白く細長いうえ、根元から半分ほどにびっしりと密集しています。それに対し壬生菜の茎は、水菜よりも短く、根元から1/4程度しかありません。そして茎がやや太いため茎同士の間には隙間があり、同じ大きさの束で比べると壬生菜のほうが株数がやや少ないことが分かります。

京壬生菜とは?

現在、壬生菜は京都だけでなく茨城県など関東地区でも生産されており、京壬生菜とは京野菜としての壬生菜を指します。
京都では壬生菜は水菜のほかに、京菜や糸菜、東寺菜など多数の呼び方があります。ちなみに京都で主に京壬生菜が栽培されているのは、日吉町という地域です。

壬生菜の旬は

寒さに強く、秋口に苗を育てて10月には収穫します。冬の初めに再び種まきをして苗を育て、植え替えをしたら12月上旬から2月下旬に再び収穫となります。
美味しい壬生菜を食べるなら、10月前後と3月前後がおすすめの季節ですよ。

壬生菜は主に葉の部分を食べる野菜のため、葉に水分と肥料を行き届かせることが重要になります。
そのため、植えかえから1週間後と1ヶ月に窒素肥料や亜リン酸マグネシウム肥料を大量に入れます。
また、水を欠かすと壬生菜の株はすぐに痩せてしまうため、全て栽培工程で水やりは欠かせません。
また病気になりにくい反面、害虫がつきやすいため、害虫の駆除も品質に大きく関わります。
こうしてやっと収穫を迎えた壬生菜は、植えてから90日後には40cmまで成長し、大きなものなら重さが1株2-3kgにもなります。

壬生菜の美味しい食べ方

臭みがなく、色々な食材との相性のよい壬生菜はさまざまな葉物野菜の変わりに使うことができます。
新鮮な壬生菜の美味しさを逃さず食べるには、炒めものとおひたしがおススメです。

炒め物にする際には、茎のしゃきしゃき感と豊富に含まれるビタミンCを壊さないよう他の材料をある程度炒めてから、最後にさっと炒めるようにしましょう。油揚げや豚こまなど、火の通りやすいものと炒めると全体に調味料がからみやすく、美味しく仕上がります。
おひたしは和風なら白だし+醤油であっさりと。

ごま油とにんにくを効かせた韓国風ナムルにもアレンジができます。他には大根サラダに混ぜて彩りを添えたり、伝統的な食べ方どおり漬物にしていただくのもいいですね。壬生菜も他の葉物野菜と同じく乾燥すると美味しさが失われていきます。買うときには茎がみずみずしく、葉の先が丸まっていないものを選び、2-3日のうちに食べきるようにするのがポイントです。また、長く保存させたい場合は、新聞紙に包んでビニール袋にいれ冷蔵庫に立てて保存するようにしましょう。

これまでなんとなく使っていたという人も今回壬生菜の特徴を知り、見分けがつくようになりましたね。
スーパーで見かけた際には、ぜひ献立にぜひ取り入れてみてください。