2017年12月28日更新
爽やかな清涼感でリフレッシュ・ペパーミントの効果、効能、使い方
歯磨きやチューイングガムなど、スキッとしたメンソールの清涼感でおなじみのペパーミント。お菓子の味付けや、モヒートなどのカクテル、虫よけ効果の高い精油などでも、ミント類は私達にとって身近な存在です。今回は、数あるミントの種類の中でもピリッとした清涼感が特徴のペパーミントについて、詳しく見ていきましょう。
- 目次
- ペパーミントとは
- ペパーミントの効能効果
- ペパーミントの活用法
- ゴキブリなどへの防虫として使う
- 副作用・アレルギー・中毒について
- ペパーミントの栽培
- ペパーミントの爽やかな清涼パワーで、心身をすっきりとリフレッシュ
ペパーミントとは
ミントには沢山の種類が
ペパーミントはシソ科ハッカ属の多年草で、和名はセイヨウハッカ、またはコショウハッカと言います。同じミントの仲間は何百種類もありますが、中でも有名なのは、マイルドで料理に使用されるスペアミントと、清涼感があり歯磨きやガムに使用されるペパーミント、そして日本にも自生するハッカです。ミントには他にも、葉がまるく甘い香りのアップルミント、白い縞模様が独特のパイナップルミントなどがあり、猫が大好きなキャットニップも別名イヌハッカと呼ばれるシソ科の仲間です。
日本で西洋で、古くから使われていたミント
ペパーミントは、スペアミントとウォーターミントを掛け合わせた比較的新しい品種ですが、原種のミントは、はるか大昔のメソポタミア文明の頃から調理に使われていた記録が残っています。また、古代エジプト文明のピラミッドからもミントが発掘され、食事やミイラの防腐予防に利用されていたそう。一方、日本のハッカは、2000年前に中国から渡来し、平安時代には山菜として貴族の食事に登場していたと伝えられています。人類とミントの関わりは、ずいぶんと昔からあったのですね。
現代でもミントは大活躍
ヒポクラテスの時代には既に薬用として使用されていたミントは、中世以降西洋を中心に、消化不良や痛み止めなどの治療薬として、また入浴剤やシャンプー、石鹸などに活用されてきました。現在でも、料理に、ハーブティーに、リキュールに、アロマオイルに、様々な形で私達の生活に根差しています。
ペパーミントは英語でPeppermint
さてこのペパーミントを英語で書くとPeppermintと書きます。世界共通の学術上の学名はMentha x piperita L.といいます。
スペアミントとウォーターミントを掛け合わせた種類だとお話ししましたが、スペアミントとはミントの中でも古くからハーブとして使われている種類でヨーロッパが原産地。オランダハッカとか緑薄荷などと呼ばれています。ウォーターミントは同じハッカ属でも沼沢や湿地などに生える全体に強いミントの香りのある植物です。地中海沿岸を中心とするヨーロッパの多年生の湿地植物です。
このペパーミントはヨーロッパ大陸が原産国ですが、葉を摘みとって乾燥させたものをハーブや薬味として使います。また花や枝ごと水蒸気蒸留した精油は香料して利用することもあります。ハーブティーの中でペパーミントを使ったミントティーはすっきりとした味わいが人気です。ペパーミントは古くから胃を丈夫にするとか吐き気止めになる、発汗作用を促して体を冷やす、病後の回復を助ける生薬としても使われていました。
【関連リンク】
・スペアミントの効能に注目!ペパーミントとの違いや使い方は?
ペパーミントとハッカの違い
ハッカはハッカ属の総称のことです。ハッカとは和名で薄荷と書きます。分類学上はミントとも呼ばれています。ペパーミントというのはハッカのカテゴリーの中のひとつのことです。
ハッカにはペパーミントと二ホンハッカ(ワシュハッカ。英語:Japanese pepermint)スペアミントなど数多くの種類があげられます。またハッカというとこの二ホンハッカのことを意味する場合もあります。
ハッカはほとんどが多年草の植物で葉に爽快感や清涼感のあるメントールをたくさん含んでいる植物です。ちなみにハッカの種類の中で代表的なペパーミントとスペアミントを比べてみるとペパーミントは香りが強くメントールの含有量が多いクールな香りが特徴です。二ホンハッカも香りの主成分はペパーミントと同じです。それに対してスペアミントの香りは穏やかなクール感の中に甘みのある風味があります。ペパーミントに比べるとソフトな香りが特徴です。
ハッカは爽快でクールな風味から料理や菓子、ハーブティー、カクテルなどに使われるほか歯磨き粉や消臭剤、虫除け、また漢方薬としても利用されます。ペパーミントは特にデザートの飾りや羊肉などの臭み消し、カクテル、ミントティー、ゼリー、アイスクリームなどに利用されています。スペアミントもやはりデザートの飾りづけに使われたり、料理のほか、ハーブティーなどの飲料にもよく使われます。ラム酒にミントを入れた「モヒート」というカクテルはスペアミントを使ったお酒です。
ペパーミントの効能効果
ペパーミントの成分
メントール、フラボノイド、タンニン、ミントポリフェノールなど。ペパーミント独特の清涼感はメントール成分によるものです。
胃腸の調子を整える
食べ過ぎや飲み過ぎによる胃の不快感や、乗り物酔いのむかつきなどを抑える働きがあります。また消化を助け、胸やけや胃痙攣などにも効果があります。
頭痛、イライラ、緊張などを和らげる
神経の昂りを抑え、緊張を和らげ、頭痛やイライラを軽減し、リラックスへと導く鎮静効果があります。また不眠を解消し、深い眠りをもたらします。
体臭やお家の匂い対策にも
強い殺菌消臭効果がありますので、汗や口臭などの予防や、床や家具の掃除など、生活における衛生面でも大活躍です。
アレルギーや花粉症に効果的
鼻の粘膜の炎症を抑制するミントポリフェノールの働きで、花粉症などのアレルギー症状や、鼻づまりなどを緩和してくれます。
ペパーミントの活用法
ラム肉のローストにミントソースでイギリス風
イギリスではラム肉のローストには、必ずミントソースを添えていただきます。ラム肉のジューシーな脂と香りが、ミントソースの爽快な風味と調和して、シンプルながらもとても美味しい家庭料理です。ミントソースは手作りもできますが、輸入食材店などで瓶詰めの製品の購入も可能です。
肉や魚介の炒め物に加えてタイやベトナム風
タイやベトナムのヘルシー料理に欠かせないたっぷりの香草。バジルやパクチーとはまた違った爽やかなペパーミントを、肉や魚介の炒め物に生で添えたり、一緒に炒めたりと、ちょっと加えるだけで一気にエスニック風味に様変わりです。
野菜とクスクスのサラダ、タブレで中近東風
元は中近東のサラダだったタブレは、フランスやヨーロッパで人気のお惣菜です。クスクスと、みじん切りにしたキュウリやトマトなどの野菜、そしてペパーミントやパセリのみじん切りをたっぷりと、シンプルなドレッシングであえた、暑い時期にピッタリのサラダは、簡単で美味しい新鮮な一品です。
モヒート、モヒートアイスティ、アイスミントソーダで爽やかに
夏の暑い日に、たっぷりのミントと氷を入れたラムベースのカクテル、モヒートは最高ですよね。お酒が苦手な方は、代わりにレモンと炭酸とはちみつで爽やかミントソーダができます。または、アイスティ―で割ってモヒートアイスティも、いくらでも飲めちゃう美味しさです!
暖かいハーブティーの優しいヒーリング効果
最近はスーパーでもミントティーが気軽に手に入るようになりました。ちょっと気になる症状のときに、暖かいミントティーで優しく癒されましょう。
- 食べ過ぎ飲み過ぎの胃の不快感、胸やけ、胃痙攣などを治めてくれます。
- 気分が昂り、緊張が取れず、頭痛やイライラがあるとき、鎮静効果でリラックスへと導きます。
- なかなか寝付けない夜に、ぐっすりと深い眠りを誘います。
アロマオイルを使って不快な症状とサヨウナラ
- アレルギーや風邪などの鼻づまりには、お湯にアロマオイルを数滴たらし、タオルをかぶって蒸気を吸い込みます。
- 乗り物酔い防止には、ハンカチなどのアロマオイルを数滴たらし、その香りを嗅ぐことで酔い止めになります。
ゴキブリなどへの防虫として使う
日常環境には様々な害虫がいますが、願わくは出くわしたくない害虫のゴキブリ。ところがペパーミントがゴキブリの防虫に役立つということが、様々な研究所から報告されています。十数種類のハーブや植物を使い、ゴキブリに臭覚的刺激を与えてゴキブリに忌避性があるものや誘導性のあるものを調べた結果報告によるものです。
たとえばゴキブリの臭覚に反応して誘導性のあるものにはニラや玉ねぎの臭いがあります。これら誘導性のある匂いのものを置き、ゴキブリを誘導し、そこにゴキブリが好む甘いぶどう糖などを含む餌の中に毒を入れて毒入りの餌を置きゴキブリを駆除する商品などはよく見かける商品です。しかしペットのいる家庭などではこの毒入りの餌をペットが食べかねてしまうことも心配されて使用をためらう人もいます。
ところがこの十数年の間にペパーミントをはじめハッカの種類のメンソール系のものは、ゴキブリにとっては忌避性のある匂いであるという研究成果が報告されました。たとえばゴキブリの通路となるところにペパーミントの粉をガーゼに包んで置いておくとゴキブリが近寄らない忌避効果があるため、ゴキブリの防虫に役立つと言われています。
副作用・アレルギー・中毒について
精油の使用について
最近ペパーミントやハッカの精油の、その殺菌効果や清涼感が話題になり、手軽に利用することが多くなりました。精油はナチュラルで身体に優しいイメージがありますが、ペパーミントやハッカの精油はかなり刺激の強いものですので、直接肌につけたり、希釈せずにお風呂へ入れたりしないよう注意してください。
ペパーミント使用の禁忌
妊娠中の方、授乳中の方、小さい子供や赤ちゃん、高齢の方。てんかん、高血圧、心臓疾患、糖尿病、胃食道逆流症などをお持ちの方。制酸薬との併用。
ペパーミントの副作用は?
ハーブには色々な種類がありますが、その中には食欲不振、吐き気、肝細胞の障害、動悸、発汗、糖質の軽減などの副作用があるものもあります。ハーブの中でもペパーミントは体に良い効果をもたらす効能はたくさんですが、どんなものでも副作用はあるものです。
ペパーミントは健康な成人に少量用いる分には大きな副作用はあまり認められません。しかし過敏性腸炎や大腸炎などを患っている人が飲用すると、腸の働きをより活発にしてしまい下痢がひどくなってしまう人も中にはいますので、そのような持病がある人はペパーミントの摂取は控えた方がよいかもしれません。また授乳中の女性がミントティーを飲むと母乳の出が悪くなってしまうと言われています。
副作用の少ないペパーミントですが、人によっては頭痛、不整脈、ふるえ、運動失調などの過敏性反応が起こる場合もあるという報告があります。特発性心房細動、喘息の悪化を引き起こした例もあります。ペパーミントの精油では皮膚に刺激的作用してしまい紅斑性皮疹を起こす副作用が出ることや、メントールを含む軟膏を使用したことによる呼吸器の強い痛みや、稀にチアノーゼが起こったという副作用の報告も見られます。
ペパーミントのアレルギーについて
ある研究所の研究発表では、アレルギー性鼻炎をアレルギーに関するテーマの対象として、天然材料のペパーミントなどを用いて動物実験を行った結果、ペパーミントオイルとその成分等には抗アレルギー作用があるとわかったとの報告が上がっています。
しかしアトピー性皮膚炎の家族歴がある者がペパーミントオイル入りのリップバームを付けたところ、唇およびその周辺に発赤や浮腫などの湿疹や、顎や耳や首元に湿疹ができ、パッチテストを行ってみたところペパーミントオイルに陽性反応が出たと。そのことからアレルギー性接触性唇炎になった原因はペパーミントによるものだという報告がなされている事実もあります。
すなわちペパーミントのアレルギーは、ペパーミントに対してアレルゲンを持っていなければ心配ないけれど、ペパーミントに対してアレルゲンのある人は摂取に気を付けてくださいということです。
ペパーミントによる中毒
健康被害の報告では、70歳の男性が毎日3カ月間ペパーミントを含有したティーパックを摂取していたら平衡感覚を失う症状、高血圧の発作、重度の低カリウム血症を生じたということで調べた結果、その原因はおそらく毎日飲んでいたペパーミントティーのペパーミントが原因であろうと言われている報告があります。これはペパーミントによる中毒と考えられますが、ペパーミントによる中毒の報告は、これくらいでほとんど上がっていません。
ペパーミントの栽培
ペパーミントは非常に育てやすい多年草のハーブで、若干湿り気のある場所を好みますが、種からでも苗からでも容易に栽培することができ、収穫で葉を摘むほどに新芽がどんどん出て繁殖力が旺盛です。しかし反面、その繁殖力の強さから、一度庭などへ地植えをすると収集が付かないほど増殖してしまい、他の植物の成長を邪魔し、駆除しきれなくなるなどの危険性を持ち合わせています。ペパーミントに限らず、ミント類を育てる場合は、必ず植木鉢かコンテナに植えるようにしましょう。
ペパーミントの爽やかな清涼パワーで、心身をすっきりとリフレッシュ
意外と沢山あるペパーミントの効能と利用方法は、どれもこれも身近に活用できるものばかりです。ハーブティや精油を安全に上手に使って、心身をすっきりと爽やかにリフレッシュしましょう!