2021年5月11日更新

ペペロンチーノは本場では食べないってホント?イタリアと日本の感覚はここまで違う

ペペロンチーノ

日本人にとってペペロンチーノはご馳走の部類に入るパスタですが、本場では食べないということをご存じでしょうか。日本のレストランではお馴染みですが、本場であるイタリアではペペロンチーノを「貧乏人の食べるパスタ」と酷評されています。本記事ではペペロンチーノをおいしくする乳化や、意味を含めた情報をピックアップしていきます。

  1. 目次
  2. ペペロンチーノは唐辛子のこと
  3. ペペロンチーノは本場では食べない…その理由とは
  4. 簡単でも腕が試されるペペロンチーノ
  5. ペペロンチーノの人気は変わらない

ペペロンチーノは唐辛子のこと

コクのあるにんにくの風味と唐辛子の辛味がアクセントになっているペペロンチーノは、日本人に人気の高いパスタです。

しかし、本場であるイタリアでは食べないということをご存じですか。日本ではレストランなどに出向くと高確率でメニューにペペロンチーノが載っていますが、イタリアのレストランなどではペペロンチーノがメニューに載ることはほぼありません。

ペペロンチーノの発祥地であるのにも関わらず、あまり良いとは言えない扱いを受けるのはなぜかと疑問に感じる方もいるかもしれませんが、発祥地だからこそペペロンチーノはイタリアで当たり前の食品となっています。

ペペロンチーノの意味

とうがらし

日本では定番パスタのメニューとしてペペロンチーノと呼んでいますが、正式名称は「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」です。直訳するとアーリオがにんにく、オーリオがオリーブオイル、そしてペペロンチーノは唐辛子という意味になります。

そのため、日本で当たり前に呼んでいるペペロンチーノをイタリアでそのまま使うと唐辛子のみが出てくることもあるようです。

パスタの形で食べたい場合は、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノと正式名称で呼ぶ必要があります。

本場イタリアでも地域によってはペペロンチーノがある

日本人にとって人気が尽きないイタリアンですが、実はイタリア料理というものは存在しないという感覚でいた方が分かりやすいと言えます。

そのワケは、日本で食べられているイタリア料理は、イタリアの様々な地域で食べられている地方料理が日本で注目されたことに関係しています。

今回テーマとなっているペペロンチーノを筆頭に、イタリアは地域によって食の馴染み方が非常に異なります。

ナポリではナポリ料理、ボローニャ地方ではボロニア料理、そしてピエモンテではピエモンテ料理というように、イタリアと一口に言っても食べるものは様々です。場所によってはペペロンチーノがメニューに載っているところもあるようです。

ペペロンチーノは本場では食べない…その理由とは

特に必要な材料がなくても、ほとんど調味料で作れるペペロンチーノは小腹が空いたときにピッタリです。日本ではパスタの中でも上級者向けのように認識されているペペロンチーノですが、本場で食べない理由とは何にあるのでしょうか。イタリアの日本とは全く異なる感覚に驚く方も多いようです。

ペペロンチーノの別名

ペペロンチーノはカルボナーラやナポリタンのように使う具がありません。

オリーブオイルや唐辛子、にんにくなど、ほとんど調味料でまかなえるパスタです。そのため、イタリアではユーモアを込めて「貧乏人が食べるパスタ」と呼ばれたり、「絶望のパスタ」などと何とも酷い呼ばれ方をしています。

お金がない人でも手軽に作れるということでこういった呼び名が付けられているため、レストランではメニューに載っていないということですね。

感覚としては日本でうどんやそばが美味しい店で具が何も乗っていない素うどんやそばを食べるのと同じです。

お金を払ってパスタを食べるなら、当然具がたっぷり入った味わい深いパスタを食べたいという考え方になるでしょう。そういった意味でもペペロンチーノにスポットが当たらない理由です。

ペペロンチーノは家庭料理

イタリアではペペロンチーノの扱いが少々酷いと感じた方もいるかもしれませんが、味の評価が悪いからということではなく、ペペロンチーノは単に家庭料理として認識されているだけです。

日本でも冷蔵庫に材料が何もないときに、具が何も入っていないうどんやそば、そうめんなどを茹でてそのまま食べる感覚と同様に、イタリアでは「何もないからペペロンチーノで良い?」というような感覚です。

しかし、ペペロンチーノはパスタを作る技術だけで仕上げる料理でもあるため、メニューにない店でペペロンチーノを注文すると料理人によっては試されていると感じることもあるそうです。

また、イタリアで食べられているパスタは調理に時間がかかり、具が豊富に入っているものに人気が集まっています。

食べる側の志向から、ペペロンチーノはあまりに質素過ぎるという理由もレストランで扱われない原因の一つでしょう。

イタリアの料理人からしてみると、具を使わないペペロンチーノでは料金の取りようがありません。低コストということは誰もが周知しているため、わざわざ店で提供するほどのパスタではないという認識です。

簡単でも腕が試されるペペロンチーノ

使用するものはオリーブオイル、にんにく、唐辛子だけのシンプルなパスタであるペペロンチーノですが、実は腕が試されるパスタでもあります。具が何も入っていないため、誤魔化しがきかないとも言えるでしょう。ペペロンチーノの味わいをグッと上げる乳化についても知っておくと役立ちますよ。

オイルパスタで必須の乳化とは

ペペロンチーノなどのオイルをベースとしたパスタには、「乳化」と呼ばれる作業が味の決め手になります。乳化とは本来混ざり合うことはない水と油が撹拌することによって混ざり合う現象のことを指します。

通常、水と油だけでは混ざり合うことはありませんが、パスタの茹で汁にはパスタから出たデンプンが含まれており、乳化剤の役割を果たすため、水と油を混ぜることができます。身近なものを挙げるとドレッシングと同様の原理です。
使用前は中で分離している状態ですが、振ってから使うと水と油が混じって美味しく食べられます。

ペペロンチーノのオイルソースは乳化させるととろみが発生し、麺と良く絡むようになります。ペペロンチーノを手作りしてベタベタとした油っぽい口当たりになってしまったという方も多いですが、ベタベタの原因は上手く乳化が出来ていない証拠です。

上手に乳化作業を行うと油っぽさがなくなり、まろやかな口当たりで非常に美味しく食べられます。ペペロンチーノで茹で汁を捨てないと言われている理由は、味や食感を格段に上げるためということですね。

乳化剤とは?食品に含まれる乳化剤の役割

失敗知らずなペペロンチーノの作り方

【材料】

  • スパゲッティ(1.4mm) 160g
  • にんにく 1かけ
  • 赤とうがらし 3本
  • イタリアンパセリ 1本
  • エクストラバージンオリーブ油
  • こしょう
  1. 下ごしらえとして、にんにくはみじん切りに。赤とうがらしは種を取り除いて荒めにちぎります。イタリアンパセリもみじん切りにしておきましょう。
  2. 深めの鍋にたっぷりの湯を沸かします。お湯の量は、茹でるパスタの10倍以上の量が目安です。湯が沸騰したら1%の塩を入れ、湯に下味をつけていきます。
  3. 続いてパスタを入れ、表記されている時間より1~2分短めにタイマーをセットします。茹で初めは麺同士がくっつきやすいため、沸騰するまで混ぜていきましょう。沸騰したら火を弱め、あとは静かに茹でていきます。
  4. セットしたタイマーが鳴ったら麺の固さを確認します。少し芯が残っている程度まで柔らかくなったらザルに上げ、茹で汁は必ず取っておきましょう。
  5. 続いてソース作りです。フライパンにオリーブ油とにんにく、赤とうがらしを入れて中火にかけていきます。沸騰して泡立ってきたら火加減を弱火に設定し、赤とうがらしが焦げないように注意しながらフライパンを揺らすようにじっくりと丁寧に炒めていきましょう。
  6. にんにくに色が付いたら半量を取り出します。このにんにくは仕上げに上から振り掛ける用になるため、捨てずに取っておきましょう。
  7. パセリのみじん切りを加えたら一度火を完全に止め、茹で汁大さじ2を加えて中火にかけていきます。にんにくが焦げないように注意しながら混ぜていき、トロッとするまで煮詰めます。この作業が乳化です。
  8. 茹でたスパゲッティを加え、オイルソースと良く絡めます。味を確認して塩、こしょうで調節したら、器に盛り付けます。先ほど取り出した半量の揚げにんにくとパセリのみじん切りを上から振り掛けたら完成です。

ペペロンチーノの人気は変わらない

数あるパスタの中でペペロンチーノが選ばれ続ける理由は、やはりその美味しさにあります。シンプルながらもオリーブオイル、にんにく、唐辛子の一つ一つの味が明確に出るパスタです。乳化のコツを掴めば手軽にいつでも作れるパスタですから、油っぽい仕上がりになってしまった方は、今一度レシピを見直して美味しいペペロンチーノをマスターしてみてはいかがでしょうか。