2021年1月8日更新
米が立つとは?おいしさが詰まったお米の状態を見極めよう
日本人にとって欠かせない、白く輝くお米は食欲をそそられるものですが、おいしいお米の状態でよく言われる「米が立つ」とはどういう状態なのでしょうか。本ページでは米が立つ理由や炊き方、炊飯器によって違いはあるのかといった点にスポットを当てて解説していきます。
米が立つとはどんな状態?
お米のおいしい状態を現している「米が立つ」とは、炊いたご飯を上から覗いて米粒が上向きになっている状態のことをいいます。
炊き上がったばかりのお米を確認してみると、表面の米粒が平らになっているか立っているかが分かります。米が立つている状態とたっていない状態のお米では食感の違いがあり、立っているお米は芯のないもちもちふっくらとした優しい口辺りを味わうことができます。これが米が立つことによるおいしさの理由です。
米が立つご飯にするために必要なこと
炊いたご飯がふっくらとおいしそうに仕上がるために必要なことは、水や火力、蒸らしなどです。
そもそも米が立つ原理は、炊飯器の中で加えた水が加熱されることによって米粒の間と間を通過して蒸気が上るためです。この蒸気の力によって米粒同士がたち、水分を吸って炊きあがった頃にたった米粒はそのままの形状を保ちます。
米は強い加熱で炊くと、中の水が上下に激しく動きます。炊飯器の中で踊る米粒はその流れから逃げるような動きをするため、縦の方向に状態を変えます。また、米粒は胚芽のついているくぼみ側の方に重みがあるため、水分がなくなるとこのくぼみ側が下になって米粒がたちます。
お米がおいしくなる原理
お米の主成分はデンプンですが、おいしいご飯を炊くためには水と加熱が基本です。このデンプンに水と加熱を加える工程をデンプンの糊化と呼び、水と加熱が加えられたデンプンは「αデンプン」と呼ばれます。αデンプンは味が良く体の中で消化がされやすい性質を持ちますが、腐敗しやすいデメリットを持ちます。
一方で、デンプンの糊化が行われていないものをβデンプンと呼び、腐敗しにくい性質を持っていますが、味が悪く消化されにくいデメリットがあります。
十分にデンプンの糊化が行われたお米は、デンプン分子の間に水分子が入ります。これにより、絡み合っているデンプン分子たちがほぐれた状態になるため、お米独特の粘りが発生します。その結果、もちもちとした食感のおいしいご飯が炊きあがります。
炊飯器の加熱法に違いはあるの?
短時間で手間もかからず、簡単にご飯が炊ける炊飯器ですが、物によって加熱法の違いがあります。炊飯器選びにもある程度意識を向けた方がよりおいしいご飯を炊ける要因がプラスされます。
マイコン炊飯器
マイコン炊飯器は釜の下に設置されているヒーターが加熱してお米を炊き上げる方式のものです。お米を炊くためには問題のない火力ですが、他の加熱方式より弱い火力のため、大量に炊きたい場合はムラができてしまうことがあります。安価で販売しているため手に入りやすいですが、たくさん炊きたい場合は別の方式で加熱する炊飯器を選びましょう。
IH炊飯器
IH炊飯器は電磁力の作用を用いて、金属製である釜を加熱させる方式の炊飯器です。釜自体が加熱するため、底や側面など広い範囲で加熱されます。範囲も広く、強い火力で炊くことができるため、炊きムラをなくしておいしくふっくらとしたご飯ができます。
圧力IH炊飯器
圧力IH炊飯器は、上記のIH炊飯器の機能に圧力鍋の機能をプラスした強力な炊飯器です。圧力をかけることによって水の沸点が100℃以上になり、強力な熱でお米を炊くことができます。しっかりと強い火力で熱されたご飯は、炊き上がりももちろんふっくらと空気が入ったような柔らかさですが、冷めた状態でもモチモチとした食感が残ったままです。
「米が立つ」を実践!おいしくなる炊き方とは
多くの方は炊飯器を使ってお米を炊いていることでしょう。機械が炊き初めから炊き終わりまでを済ませてしまうと、途中で米がどういう状態なのか確認することができません。では、どういった炊き方をすれば米が立つ状態のおいしいご飯が炊けるのでしょうか。
水の重要性
おいしいご飯を炊くためには品質の良い米選びももちろん重要ですが、基本的な米炊きに必要なのは炊くまでの工程です。
特にお米を研ぐ際に必須となる水は、できるだけ浄水器を使った水を使用するとよりおいしいご飯に仕上がります。
また、お米を研ぐ理由は精米されたお米の表面に付着したぬか、ゴミなどを除去するためです。米は研いでいる時と研ぎ終わった後の浸けている時に水を吸水し、特に初めの米を研ぐ瞬間に最も水を吸水するため、最初に使う水の質は非常に重要です。
米の分量に気を付ける
1合ずつ計量できるカップを使用している方も多いですが、毎日炊いていると雑な計量になってしまうことも多々あります。しかし、米が立つようなおいしいお米作りには正確な分量を量ることが大切です。
分量に差があると想定した水の加減と合わないことがあるため、おいしいご飯が炊けない可能性があります。1合を計量できるカップで米を山盛りにしたら、箸などを使ってすり切り1カップになるよう正確に量りましょう。
すぐにできる!米が立つ上手な炊き方。研ぎは3回!(これ大事)
- 正確な分量の米を適量用意したら、水を加えて軽く2~3回底から混ぜます。水を加えた後はなるべく早く混ぜて水を捨ててください。ゆっくりした動きで作業すると米の表面に付いているぬかの臭いがそのまま米に付いてしまいます。
- 軽く混ぜたら水を捨てて、指の関節をやや曲げた状態で米を研ぎ始めます。テンポ良く力を抜いた状態で20回程度かくように混ぜます。このとき力を入れすぎて研いだり、あまりに手早く混ぜてしまうと米が割れてしまう可能性があります。また、手のひら全体で米を握って研ぐ人がいますが、これも米に負担がかかり割れてしまう原因に繋がるため注意です。
- 研ぎ終わったらもう一度水を入れて軽くかき混ぜます。研ぎ終わりは底に濃い研ぎ汁が溜まっているため、水を入れて一緒に流し捨てます。
- 1回目の研ぎ工程を終えたら2回目の研ぎ工程に入ります。再び水を入れ、混ぜたら捨てるを繰り返します。2回目も終わったら同じように3回目も米を研ぎ、水から薄く米が見える状態になったら米の分量に合った水を入れましょう。後は炊飯器で炊くだけです。もし鍋などで炊いているという方は、このまま浸水させてから炊いてください。
強く握る研ぎ方はお米による
手で強く握るように研ぐ研ぎ方を見たことがあるという方もいるかもしれませんが、あの研ぎ方は作られて1年以上経過した「古米(こまい)」と呼ばれる米に適したやり方です。
精米された米はこの時点で風味の質が下がっており、米の表面に質の低下が集中しているため、その部分を落とすために強く握って研ぐ方法が行われています。新米や精米してすぐのお米は優しく研ぐだけで十分汚れが落ちますが、古米は力を入れて研いだ方がおいしく食べられます。
米が立つご飯を楽しもう!
毎日の食事に満足感を与えてくれるご飯は最もおいしく食べたい主役です。米が立つ状態はご飯が最高潮においしくなった証拠でもあり、目で見て確認できるため分かりやすいですね。ふっくらとモチモチの食感でご飯を食べたいという方は是非今一度お米の炊き方について見直してみてはいかがでしょうか。