2018年11月18日更新
コンフィの意味とは
「鶏肉のコンフィ仕立て」などというメニューを注文したことはありませんか。テーブルに運ばれてきた料理はオーブン焼きのチキンのように見えましたが「グリルチキン仕立て」とはメニューに記載されていませんでした。そこで今回は「コンフィ」とは一体どんな意味なのか調べてみました。鶏肉をはじめ色々な食材をコンフィで食べる食べ方もご紹介します。
コンフィの意味
西洋料理のメニューでよく見かける単語、コンフィとはフランス料理の伝統的な調理法の一つです。食材をオイル漬けにして、弱火でじっくり火を入れる調理方法です。
もともとコンフィは肉を保存するため使われていた調理法で、その後アレンジされて野菜などのコンフィも登場するようになりました。デザートに果物のコンフィというのもありますが、果物の場合はオイルではなく、砂糖漬けにして調理するのが一般的です。
たとえば鶏肉のコンフィは見た目フライパンで焼いたように見えますが、コンフィは「焼き料理」ではなく、グリルしているように見えても実は「煮る料理」なのです。肉類のコンフィは、オイル漬けした肉を低温でじっくり煮ることで、肉汁を逃がさず風味をよくし、ジューシーに仕上げることができます。
コンフィは食材の保存の意味をもつ調理法
コンフィはフランス語でconfire(コンフィル)といいます。その意味は「保存する」という意味を表します。そのような語源を持つコンフィは、先にも話したように昔は肉を保存する手段に使われていた調理法なのです。
昔まだ冷凍するという手段がなかったころ、肉を保存する手段にこの調理法で肉を保存していました。オイルで煮たあとそのまま冷やすことで脂肪が固まって、食材全体に脂肪の膜が覆うことで保存性が高まるのです。
コンフィは食材の風味をよくし味をしっかりと染み込ませるだけではなく、食材を保存する意味を持つ調理法です。たとえば「肉をコンフィして保存食にする」などといいますが、これはコンフィすることで肉の保存性を高める意味があることからこんな言葉が使われます。
コンフィの食べ方
コンフィは、時間はかかるけれど簡単な調理法です。現在は食材を保存するのに冷蔵庫が活躍し保存技術も発達していますが、コンフィは簡単な調理法なので、今も自宅で食材をコンフィして保存する家庭もたくさんです。食材をコンフィして食べるにはオイルが必要です。
果物は例外ですが、コンフィは食材をオイルで煮て食べる調理法なので、オイルにはこだわり、質の良いオリーブオイルやラードを利用して調理するのがポピュラーです。食材に塩やハーブでしっかり味を付け、食材を低温のオイルの中で煮る、もしくは食材をオイルと一緒に密封できる袋に入れて袋ごと低温で煮て食べます。
オイル漬けにして煮て食べるなど想像しがたいですが、コンフィの食べ方を知ると、家庭でも簡単に調理でき、食べきれない食材はそのまま保存することができるので大変便利です。実際に食材あげてコンフィして食べる食べ方をいくつかご紹介します。
肉をコンフィする食べ方
どこの家庭にもある炊飯器で簡単に肉のコンフィが作れます。肉に塩をしっかりと刷り込み、その肉に合う好みのハーブを入れてジプロックなどの密封袋に入れて寝かせ、味をしっかりと肉に付けたら、その袋に中に肉がしっかり浸かるほどのオイルを加え、中の空気をしっかり抜きます。
炊飯器に約3合くらいのメモリのところまで70℃の湯を注ぎ、オイルを加えた肉の袋を入れて、保温スイッチを入れ3時間ほどしたら出来上がりです。炊飯器に入れる70℃の湯の温度は、温度計を使って測定するのが好ましいですが、おおよそ70℃の熱湯の熱さの目安はマグカップに湯を注いで、そのマグカップを手で持てるけれど熱いと感じるくらいが70℃くらいだと言われます。
出来上がった肉のコンフィはそのまま食べてもよし、ほかの料理に加えて活用するのも便利に使えます。たとえば肉に焼き色を付けたい場合は、コンフィしてから肉をフライパン入れて焼き目をつけます。
フライパンやお鍋を使ってコンフィする場合
炊飯器を利用する方法も簡単な方法ですが、フライパンやお鍋でもコンフィすることは可能です。味を染み込ませて寝かせた肉を密封袋から出して、肉が入るくらいの大きさの鍋もしくはフライパンに入れて、そこに肉が浸るくらいの油を注ぎます。弱火から中火かけ油の温度を80℃前後に保ちながら2時間程度煮ます。時間が経過したらそのままの状態で油の温度を冷まします。
ポイントは煮込むときの温度が低温であることです。油の温度を80℃前後に保つことが大切ですが、80℃とはかなり低めの温度です。80℃の油とは使い終わった油を処理するくらいの温度ですが、目安にしにくいので、温度計を使って温度をはかることがおすすめです。油を自然に冷ますことで肉に味がなじみ、うま味が増します。コンフィに使用した油は次のコンフィを作るときに活用したり、肉から油にうま味が出ているので、パスタや野菜炒めなどを作る際に活用してください。
鶏のコンフィおすすめレシピ
鶏のコンフィはコンフィのポピュラーな料理です。見た目はシンプルですが、手間がかかっている分、柔らかくジューシーな味わいは絶品です。仕上げにフライパンで焼き目を付けると皮がパリっとします。クリスマスやパーティーにおすすめの鶏のコンフィのレシピ。美味しく食卓を飾ってみてください。
<材料2人分>
- 骨付き鶏もも肉2本
- タイム 3~4本
- 粗塩鶏の重さの1.5%
- ラード300グラム位もしくは鶏が浸るくらいのオリーブオイル
- 塩コショウ少々
牛肉のコンフィおすすめレシピ
牛肉をコンフィすると肩ロースなどのブロック肉などでも柔らかくジューシーに仕上げることができます。お好みですが、牛肉に合うハーブはローレル、タイム、パセリ、クローブ、オレガノ、ガーリック、タイムなどが一般的に牛肉と相性が良いハーブだと言われています。
時間はかかりますが、安い牛肉でも美味しく豪華に食卓を飾るレシピです。
<材料2人分>
- カナダビーフ(ブロック、肩ロースやモモがお奨め)300g
- ローリエ 1枚(他、お好みのハーブ適量)
- 塩小1/3
- 黒胡椒適量
- オリーブ油 大3
■ ソース例
- コンフィのオイル大1
- 赤ワイン 大2
- バルサミコ酢 大2
- すりおろしニンニク 1/2片分
- 黒胡椒少々
野菜をコンフィする食べ方
生の野菜は保存期間が短いものが多いですが、コンフィすれば常備野菜として保存でき活用できます。お料理の具、そのまま食べる、お弁当のおかずに使うなど、便利に活用できるのが野菜のコンフィです。野菜をコンフィするときのオイルは、ラードよりオリーブオイルを使うのがおすすめ。オリーブオイルの香りは野菜と相性がよく野菜の色も鮮やかに仕上がります。野菜のコンフィに使ったオイルは、野菜からのうま味が出ているので、使用後は炒め物やドレッシングなどに利用すると美味しく活用できます。
野菜のコンフィはザクザクカットした野菜をジプロックなどの密封袋にオリーブオイルと一緒に入れて、袋ごと熱湯に入れ煮ます。弱火にかけて30~50分。保温器や炊飯器の保温機能を利用しても構いません。時間が経過したらそのまま放冷します。放冷することで余熱が野菜に加わりオイルと野菜がよくなじみます。冷めたらそのまま食べるのもよいし、パスタなどの料理に活用して食べます。
放冷したあと袋を開けずオイルに漬けたまま2週間くらい保存できますが、保存期間はあくまでも目安で、野菜によっては日持ちしない野菜もあるので注意してください。
野菜のコンフィおすすめレシピ:夏野菜のコンフィ
夏野菜は色が華やかなのでコンフィにして常備しておくと、料理の付け合わせやお弁当のおかずに便利に活用できます。そのまま食べても美味しい夏野菜のコンフィのおすすめレシピをご紹介します。常備できて、便利で美味しく綺麗なおすすめの一品です
<材料4人分>
- パプリカ1個
- 新ごぼう2本
- カボチャ150g
- オリーブオイル3/4カップ150g
- お好みで塩や醤油など適量
野菜のコンフィおすすめレシピ:じゃがいものコンフィ
じゃがいもは料理に使うときに茹でたり蒸したりと時間がかかりますが、じゃがいもをコンフィして保存しておくと、調理時間を短縮して活用できます。じゃがいものコンフィの味わいはフライのじゃがいもより中はしっとりしていて、煮たじゃがいもより皮がパリッとした食感です。ご紹介するおすすめのじゃがいものコンフィの作り方は、料理研究家が家庭料理のレシピを紹介するNHKの料理番組「きょうの料理」の中で過去に紹介されたレシピです。シンプルなレシピですが覚えておくと重宝します。
<材料>
- じゃがいも(小)12コ
- オリーブ油カップ5
- ローズマリー(生)4~6枝
- にんにく(皮つき/1かけずつに分ける)1コ
果物をコンフィする食べ方
そもそもコンフィとは、肉を保存するための調理法でしたが、その調理方法は果物にも活用されています。果物のコンフィはフランス語でフリュイ・コンフィ(fruits confits)といいます。サクランボのような小さい果物は丸ごと、大きい果物は食べやすい大きさにカットして、砂糖漬けにしてから保存します。密封して保存環境がよいものは数カ月保存することができます。
日本では果物のコンフィの種類はあまりたくさんありませんが、フランスの洋菓子屋さんやチョコレート屋さんではサクランボをはじめ、メロン、パイナップル、オレンジ、キウイ、アプリコットなど色々な果物のコンフィを見かけます。果物のコンフィの歴史を辿ると砂糖が世界に普及された中世時代から果物の砂糖漬けが盛んに行われるようになりました。
特にフランスのプロヴァンス地方では乳製品の生産が乏しかったのでバターなどをたくさん使うパティスリーよりも、地域で収穫される果物を使ったお菓子の技術が進みました。そんなわけで果物のコンフィはプロヴァンスの郷土菓子となったのだとか。ただ砂糖が普及されたとはいえ砂糖をこれほど使う果物のコンフィは、中世時代のフランスでは富と権力の象徴とされ晩餐会などでは高貴な食材とされていたそうです。
果物のコンフィおすすめレシピ:オレンジのコンフィ
日本では本場フランス程種類はありませんが、果物のコンフィは家庭でも作れる保存食です。ご紹介するレシピは手軽に購入できるオレンジのコンフィのレシピです。そのままおやつに食べてもよし、またお菓子作りのトッピングや、刻んで毎朝食べるヨーグルトなどに加えても美味しく楽しめます。オレンジは手に入りやすいので作り置きしておくと便利に使えます。
<材料>
- オレンジ600g(小ぶりのオレンジ4~5個分)
- 水400g
- グラニュー糖600g
コンフィで食材を上手に保存
コンフィはオイルに浸けて煮る料理です。食材の風味がよくなり肉類などはジューシーで柔らかい仕上がりになります。低温でオイル煮した食材を自然に冷ますことで、油が固まり食材に膜を張り、食材の保存性を高めます。時間はかかりますが、特別な機材などは必要なく家庭でも簡単に活用できる調理法です。食材をコンフィして上手に保存し無駄なく食材を使ってください。