2018年4月27日更新

生イーストとドライイーストの違い。保存法や相性の良いパンについて

パン(イースト)

近年、食パンなどホームメイドのパン作りがブームで、パン教室が人気を呼んでいます。そこで今回はパン作りには欠かせないイーストについて調べました。イーストにはいくつか種類がありますが、今回は生イーストとドライイーストの違いに重点を置いてリサーチしてみました。それぞれの特性や相性の良いパンの種類などをご紹介します。

  1. 目次
  2. イーストとは
  3. 生イーストとドライイーストの違い
  4. 生イーストの特性
  5. ドライイーストの特性
  6. 生イーストとドライイーストを使い分けて美味しいパン作りにトライ!

イーストとは

イーストはパンを膨らませるための微生物です。パン酵母といわれ、パン作りの際に、小麦粉と塩と水などの主材料に加え、生地を発酵させて膨らませる役割をします。

酒やワインの醸造や味噌や醤油作りの時にも酵母を使い発酵させますが、イーストはパン作りに適した酵母だけを集めたパン専門の酵母のことです。イーストのおかげでパン生地が発酵して、生地が膨らみます。そのおかげでパンにボリュームが出て、ふっくらとおいしい食感になるのです。

イーストには生イーストやドライイースト、またインスタントドライイーストなどいくつか種類があり、それぞれイーストの特性に合うパンに利用すると美味しいパンを焼くことができます。パンを発酵させるパン酵母にはイーストのほかにも、果物や穀物から取り入れた天然酵母もありますが、イーストは発酵する力が安定しているので、パン作りには最適な酵母として利用されます。

生イーストとドライイーストの違い

生イーストとドライイースト

生イーストはパン作りに適した酵母を培養して、その後水洗いし水切りしたものです。見た目は粘度のような明るい黄土色をしています。固形でひと塊となって販売されています。

一方ドライイーストはパン作りに適した酵母を低温で長時間乾燥させ水分を除去したイーストです。見た目の色は生イーストと同じような色ですが、形状は細かい粒状をしています。

イーストはパン生地の中で、生地内のショ糖や小麦粉のでんぷんをぶどう糖などに分解しそれを栄養源にして発酵します。同時に温度や湿度も関係します。イーストがパン生地内で栄養源を確保し、温度や湿度の条件が揃うと、パン生地は発酵を始めるのです。

生イーストはパン生地の中の糖分を分解する力が強いので、発酵が早く進みます。

ドライイーストは、糖質を分解する力が弱く、小麦粉のでんぷん質を麦芽糖に変え、それを自分の持っている酵素でブドウ糖に分解して栄養源にして発酵するので、発酵するのに時間がかかります。生イーストとドライイーストの特性を考えてこれらのイーストを使い分け、相性のよいパンに利用すると、美味しいパンを焼くことができます。

生イーストの特性

バターロール

糖を分解する力が強いため砂糖が多い生地と相性がよく合います。たとえば砂糖を多く含む菓子パン作りに生イーストを使うと、砂糖を早く分解し発酵が早く進みます。砂糖を多く含むパン作りにドライイーストを使っても特にデメリットがあるわけではありませんが、生イーストを使った方が素早く発酵を進めることができるのです。特に発酵時間が短いソフト系のパンには生イーストを利用することがおすすめです。生イーストは低温に耐えることができる性質を持っているので、冷蔵もしくは冷凍保存する生地には生イーストを利用します。

生イーストで作ったパンの仕上がりの食感や味わいは?

パンの柔らかい食感でありながら、噛み心地のあるパンに仕上がります。たとえばあんパンのように、皮はしっかり中身はふんわりと柔らかに焼き上げることできます。噛めば噛むほどパンの味わいを感じることができます。焼きあがったパンにイースト臭はありません。甘い香りを引き立ったパンに焼きあがります。

もし生イースト使って、砂糖を使わない長時間発酵させるバケットを焼いた場合、小麦粉の中の糖分を生イーストが分解して自分の栄養源にしてしまうことがあります。そうすると甘みも風味もないカスカスのバケットになってしまう場合があります。

生イーストの上手な保存方法

生イーストは乾燥に弱いため、店頭でもワックスペーパーなどに包まれて陳列しています。購入後もワックスペーパー、もしくはラップを二重にして包んだり、キッチンペーパーにしっかりと包んでからビニール袋やタッパ―に入れ冷蔵庫で保存します。包んだラップやキッチンペーパーが湿ってしまったらこまめに変えると長持ちします。未開封のものでも2週間ほどしか持ちません。開封後は2~3日で使い切ってください。日にちが経つほど発酵力が弱まってしまいます。残念ながら冷凍保存はできません。

生イーストと相性の良いパン

砂糖が多い生地と相性が良いので菓子パン類、甘みの強いパン類、デザート系のパンなどは相性が合います。また焼き色がきれいにつくのでバターロール、ブリオシュもおすすめです。もちろん発酵時間が短いソフトな食パンとも相性が良いイーストです。

ドライイーストの特性

バゲット

ドライイーストは保存がきくので家庭で使うには便利なのですが、生地をこねる前に予備発酵が必要です。使用前のドライイーストは酵母が仮眠状態であるため、使う前にぬるま湯に入れて発酵力を目覚めさせなければならないのです。一手間かかりますが、ぬるま湯につけておけば、自分で発酵してくれるので特別面倒なわけではありません。

ドライイーストの特徴は糖分に弱いので、ハード系のパン作りに向いています。砂糖を含まないパン作りにドライイーストを使うと、麦芽糖を分解しそれを栄養に発酵を始めます。発酵に時間はかかりますが、この発酵により副産物が生まれ、独特の風味が生まれます。

ドライイーストを使ったパンの仕上がりの食感や味わいは?

ドライイーストを使ったパンは弾力のある食感です。かじるとしっとりした食感です。皮はしっかり中身はもっちりふわふわな感じのパンに焼きあがります。イーストの個性的な独特の香りがします。口に入れた瞬間、わずかにすっぱいく感じることがありますが、すぐにパンのうま味や甘みが口の中に広がるのが、ドライイーストを使って焼いたパンの特徴です。見た目はやや濃い目の焼き色が付くのも特徴です。

ドライイーストの上手な保存方法

ドライイーストは保存性がよく、開封しなければ約2年、開封後でも約1カ月保存可能です。保存場所は直射日光と高温多湿の場所をさけ、冷暗所に保存してください。開封したものは密封容器に移し冷蔵庫で保存します。生イーストも同じですが、イーストは生きている菌の塊です。栄養(糖)がないと、呼吸するために自分の体の一部を栄養にしてエネルギーに変えてしまいます。そのため日にちが経過すると、まるで体力がなくなるかのように、ドンドン発酵力が低下していきます。低温で保管することでイーストを休眠状態にすることができ、長く保存することができます。ドライイーストも冷凍保存はできません。

ドライイーストと相性の良いパン

ドライイーストは糖分に弱いので、甘味のないフランスパンなどのハード系のパンと相性がよく合います。甘味の少ないエピ、カンパーニュ、フォカッチャなど食事用のパンなどに利用するとドライイースト特有の風味や持ち味を出すことができます。

生イーストとドライイーストを使い分けて美味しいパン作りにトライ!

パンのふんわりした食感や味わいはイーストの発酵の力にあったのですね。生イーストは発酵時間が短く糖分の多いソフト系のパンと相性がよく、ドライイーストは甘くないハード系のパンと相性がいい!朝食に焼き立てのパンを食卓に並べられるとうれしいですね。生イーストとドライイースト、上手に使い分けて、美味しいパンをぜひ焼いてみてください。

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