2017年12月18日更新

甘味料ステビアの危険性

ステビアの葉っぱ

ステビアは植物由来の天然甘味料で、お菓子やジュースなどによく使用されています。甘味度は高いのにカロリーが控えめであることから、健康にもそこそこ良いという印象です。ただ一方では、発がん性や不妊への心配もある添加物でもあるようです。

  1. 目次
  2. ステビアとは
  3. ステビアの効能について
  4. ステビアの危険性
  5. ステビアの毒性
  6. ステビアの使い方
  7. 使用されている食品

ステビアとは

ステビアとは、南米原産のキク科の多年草です。ステビオシドとレバウディオシドという甘味成分があることから、それらの抽出物を主に甘味料として使用しています。甘さは砂糖の200〜300倍と言われていますが、カロリーはほとんどなく、植物由来の甘味料でもあるので糖質を控えたい人やダイエットしたい人にはおすすめできる糖類と言えます。

ただ、ステビアには独特の風味があるため、食品や飲料に使用される際は、それを緩和するために他に人工甘味料などと併用される場合があります。

ステビアの効能について

ある研究チームがステビアの抽出末から試験を重ねた結果、ステビアには優れた抗酸化力があると学会誌に報告をあげました。試験はステビアの葉と茎の混合物から得られた抽出液を発酵させた抽出末を凍結乾燥させて実験された結果です。その結果ではステビアに含まれる複数の成分の中でカリウムの濃度が高くカリウムを含む優れた抗酸化効果が認められています。

そのほかステビアは動物実験から腸に吸収されず排出されると報告されていること、そして砂糖を使わなくとも少量で十分すぎるほどの甘味を出せることで、余分なカロリーを摂取せずにすむことから、肥満防止などダイエットに効果的であり、肥満を防止することで様々な生活習慣病の予防に効果があると言われます。また甘味はあっても砂糖のように虫歯菌の栄養になる糖は含まれていないので虫歯予防にも効果があると言われています。

またステビアの甘味成分であるステビオシドには血糖値を下げる作用があるとラットを使った臨床実験で報告されていることに加えて、インスリン抵抗性の改善の効能があるという報告があげられています。

ステビアの危険性

ステビアは、一般的には安全な甘味料であり、普通に摂取する量であれば問題はないとされています。しかし、過去には発がん性があるとされたり、妊娠しづらくなるなどと言われていたこともありました。

ペルーの先住民は、避妊の目的でステビアを使用していましたが、後の様々な研究によりその効果はないということが明らかになっています。ただ、過去に海外で、ステビアを摂取した子どものテストテロンと呼ばれる性ホルモンが減少したという報告や、ステビアは体内に蓄積しやすい物質のため、長期にわたる使用は望ましくないという指摘がなされていることも事実です。このような状況があるためか、海外では未だに食品へのステビアの添加を認めていない国もあります。

また、ステビアが妊娠中や授乳中の女性、子どもに対する安全性を示す十分なデータはないとされているので、気になるという方は摂取を控えた方が良いかもしれません。

ステビアの毒性

ステビアに含まれる成分であるステビオシドやレバウディオシドは、腸内で分解されるとステビオールを生成します。この物質には遺伝毒性があると言われています。
また、ステビアは発がん性や催奇形性の可能性も示唆されていましたが、これらは安全性試験により、該当しないとされています。

ただ、過去には20代の女性がステビアが使用された清涼飲料水を飲んだところ、ステビアによるものとみられるアナフィラキシー反応を起こしたという報告もあるため、キク科植物にアレルギーを持つ人は摂取を控えた方が良いかもしれません。

ステビアの使い方

ステビアは食品に甘味をつける甘味料として使われます。近年砂糖などの代替甘味料として使われている甘味成分です。甘味が高いことで高甘味度甘味料とも呼ばれ、その中の天然甘味料になります。ステビアは砂糖に近い自然の甘味があるので清涼飲料水やフルーツ缶、乳飲料、ヨーグルトやゼリーなどに使われています。また少量でも甘味を強くつけ、カロリーを低く抑えることができるので低カロリー食品やノンシュガー食品に利用されます。

ステビアの甘味は塩辛さを和らげてくれるので醤油や味噌、スモークサーモンやカラスミなどの魚介燻製品などに利用されるほか、酸味を和らげまろやかにしてくれるため甘酢らっきょう漬けや甘酢生姜などにも使われます。虫歯になりにくい特性があるのでガムやキャンディーそして歯磨き粉などにも使われています。

ちなみに甘味料について説明を加えておくと、甘味料には砂糖のようにまろやかな甘味の低甘味度甘味料とステビアのように少量でも強い甘味をつけることができる高甘味度甘味料があります。

低甘味度甘味料はさらに糖類と糖アルコールという種類に分類され、糖類はさらに砂糖、ブドウ糖などのでんぷん由来の糖、そしてオリゴ糖や乳糖などのその他の糖類に分類されます。

糖アルコールは自然界にある成分を人工的に作ったものです。たとえば大豆の油を分解して作ったグリセリンやぶどう糖を発酵させて作ったエリスリトール、でんぷんが酵素によって分解された還元あめなどがこの類になります。

高甘味度甘味料はステビアのように植物の葉や植物の根や茎などから抽出される天然甘味料と、スクラロースやサッカリン、アセスルファムカリウムなどといった合成原料から作られる合成甘味料に分類されます。商品表示を理解するための知識の一つに甘味料の分類を知識に入れておくのもよいかもしれませんね。

使用されている食品

ステビアは、甘味料として菓子類やジュース、アイスクリームなど食品に甘さを付けたり、塩味を和らげるために漬物や醤油などに使用されたりしています。少量の使用でしっかりとした甘みが感じられるのにもかかわらず、低カロリーであることから、ダイエット食品や健康飲料、糖尿病患者のメニューなどにも使用されています。
ステビアは、砂糖と比べて大変コストパフォーマンスの良い添加物ということで、幅広く色々な用途に使用されています。

【参考文献】
・東京都健康安全研究センターくらしの健康 http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kouhoushi/health/28.pdf
・ステビアの甘味料について http://www.stevia.gr.jp/stevia/feature.html
・ステビア抽出末の抗酸化機構と無機塩の抗酸化性 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1995/45/5/45_5_317/_pdf
・栽培できる甘味料♪ステビアの効能!副作用・危険性はない? http://herb-spice.net/stevia
・甘味料の持つインスリン抵抗性改善薬としての可能性 https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/50/8/50_816/_pdf
・天然甘味物質の化学ー最近の展開 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/24/5/24_5_318/_pdf