2017年6月6日更新

精進だしとはどんなだし?精進だしはどんなお料理に活用できる?

精進だし

精進だしというと、そのイメージには精進料理が思い浮かびませんか?野菜や豆類など植物性の食材が食卓に並ぶ風景が思い浮かびます。今回はその精進だしについてのお話しです。精進だしの作り方や普通のかつおだしとの違いなどについて調べました。

  1. 目次
  2. 精進だしとは
  3. 精進だしを使ったお料理は
  4. 精進だし醤油とは?
  5. 精進だしで上手に美味しくお料理しよう

精進だしとは

精進だしとは植物性の材料だけをつかって取っただしです。そのため野菜類の食材によく合い、素材の味を活かした調理ができます。殺生や煩悩への思いを主眼した精進料理は和食の代表の一つですが、その精進料理などには欠かせないだしです。

精進だしの作り方

主原料にはしいたけ、大豆、かぶなどの植物が使われます。他のだしに比べて植物を材料とした場合は旨みが弱いので、一つの素材からだしを取るのではなくいくつかの素材を組み合わせてその旨みをだしに取ります。

たとえば精進だしの一例には、昆布、干し椎茸、干瓢、小豆、大豆などを一緒に一晩水に浸けこんで、火にかけ沸騰まで強火で煮出して、アクを取り、さらに弱火で少し煮出してとるだしがあります。

精進だしとかつおだしの違い

かつおだしとの違いは一目瞭然、かつおだしは原材料が動物性のかつおで、精進だしは植物であるということで、旨み成分や香りも違います。かつおだしは日本料理に幅広く使用され、旨み成分にはかつおに含まれているイノシン酸やグルタミン酸が旨みを出しています。どの食材とも相性のいい優しいコクと風味が特徴です。

それに対して精進だしは昆布やわかめ、干し椎茸、干瓢、大豆、小豆などの植物を数種類、水に浸けて取っただしなので、さっぱりとした薄味で野菜の甘味を感じる味わいです。動物性の食材を材料に使っていないということから、よく精進料理のだしに活用されます。旨み成分には干瓢や干し椎茸の成分であるグルタミン酸やグアニル酸が旨みを出すほか原料に使った植物の甘味成分などがだしの旨みとなります。素材の味を活かす控えめなコクと風味が特徴です。

精進だしを使ったお料理は

精進だしを使ったお料理はもちろん精進料理が代表です。そのほかにも一般家庭や料亭などでは、旬の野菜の煮物など素材の味を活かすお料理にアレンジされて使われています。

精進料理

動物性の食材を避けて作る精進料理では、植物だけで取った精進だしは精進料理のベースです。大豆、干瓢、昆布、椎茸などからとった精進だしは極薄く色が付いただし汁で淡い味です。大豆を炒って使った場合はその香ばしさを感じ、干瓢の甘味、干し椎茸からの旨み、昆布の渋味が旨みや風味としてだしにでます。精進だしで、旬の野菜をふっくらと煮含めた野菜の煮物、ごぼうや大根や人参などのけんちん汁、きのこ炊き込みごはんなどの精進料理に精進だしは使われます。

精進料理は、香づけ程度にしか醤油は使わず、ほとんど塩も使いません。野菜だけの旨みをひきだしたお料理です。精進料理は、酸味、苦味、甘味、辛味、塩味の五味のほか、淡い味であることが味の基本です。淡い味をなす業には、味を調味料で加えて作るのではなく素材の旨みからひきだすことが精進料理の味の基本となり、植物だけでとる精進だしはまさに精進料理の味の決め手になっているのです。

そのほか精進だしを使ったお料理

一般家庭や料亭でも、素材の味を活かしたいお料理に精進だしを活用します。とくに薄味を好む料理や、野菜など素材の味を活かしたい煮物料理のだし、お吸い物などに使われます。精進料理でなければ淡白な鶏肉とも相性が合うだし汁です。おでん、きんぴら、ポトフなどのスープ、ブリ大根、和風サラダのドレッシングなど活用の幅はたくさんあります。

精進だし醤油とは?

精進だし醤油とは、動物性たんぱく質を使っていないだし醤油です。そのままでも、また希薄して調味料としも使います。

精進だし醤油の作り方

各メーカーによって多少原材料に違いはありますが、主に昆布、干し椎茸で取っただしに7種類の野菜(山芋、大根、人参、ごぼう、白菜、ジャガイモ、カボチャ)で作ったスープを加え、隠し味に後味をすっきりさせるため梅肉を加えて、淡口醤油を使用して作るのが精進だし醤油の特徴です。

精進だし醤油の使い方

精進だし醤油の魅力は、色が薄いこと、香りが優しいこと、味が繊細なことです。そのまま食材にかけて使ったり、薄めて麺類のかけ汁やつけ汁として使ったり、お吸い物や煮物に希釈して利用します。

精進だしの保存方法

開封前は直射日光をさけ常温で保存してください。賞味期限は約1年です。開封後は冷蔵庫で保存し、1~3ヶ月保存は可能です。しかしこの期間はあくまでも目安にすぎません。できるだけ早く使い切ることがおすすめです。

精進だしで上手に美味しくお料理しよう

精進だしは植物だけで取っただし汁です。かつおだしのようにコクや風味が強いわけではありませんが、いくつかの植物を組み合わせて取っただしは、料理に使う食材の味をそのまま残しながらもコクと旨みを繊細に出すことができるだしです。動物性の食材を一切使わないという精進料理のベースとなる大切なだしですが、一般の家庭においては、精進だしの繊細な味を利用して、素材の味を活かし煮物やお吸い物などアレンジのメニューはたくさんあります。上手にメニューに加えて美味しく精進だしのお料理を楽しんでみてください。