2017年4月10日更新
生醤油と醤油の違いについて
醤油は私たちの生活で毎日使われる調味料のひとつであり、塩や砂糖と同様、長い間ほとんど変化なく私たちの食卓に浸透していました。
しかし、この数年テレビで生醤油なるものが大ヒット商品となりました。この生醤油とは一体どんな醤油なのでしょうか。
生(なま)醤油とは
生醤油が生と呼ばれるのは、最後の火入れ(加熱処理)をせず、酵素を生きたまま容器に充填していることに由来します。
生醤油の味や特徴は?
甘み、酸味、塩味、苦味そして芳醇な香りがあり、加熱処理をしていないため、口あたりがあっさりしています。
そのため、素材の香りを引き立たせて食欲を増進する効果があります。
また、これまで加熱処理により殺菌されていた菌が生きたまま体に届くことで、ヨーグルトのような胃腸や免疫系統の健康維持にも効果も期待されています。
読み方が生(き)醤油になると
生(なま)醤油のほかに、生(き)醤油という業界用語があります。
生(き)醤油とは生醤油を加熱処理後、調味料を添加せず充填した醤油を指します。ですので、砂糖やだしを加えただし醤油などは生(き)醤油と呼ばず、しょうゆ風調味料やしょうゆ加工品と呼びます。
JASの生(き)醤油の条件によると、添加が塩のみとなっています。ラベル表記の原材料名が大豆、小麦、塩であれば生(き)醤油ということです。
添加物が気になる方は、醤油選びの参考にしてみてくださいね。
醤油との違いは
天然醸造や本醸造といった本来の作り方であれば、生醤油も普通の醤油も、製造行程にそれほどの違いはありません。
新鮮で高品質と思われている生醤油にも良いものとそうでないものがあるようです。
良い生醤油は作り方で見分けましょう
冒頭で紹介したとおり、醤油は最後に加熱処理をしているのに対し、生醤油は酵素を守る目的で加熱せず、何度も特殊なフィルターで濾過して衛生面を保っています。
また品質の高い生醤油は、安い醤油に比べて以下の違いがあります。
原材料が丸大豆
大豆を丸ごと使っている場合、丸大豆と表記されます。色が明るく、大豆がゆっくり発酵、熟成する過程で生まれる独特の香りがあります。
これに対して、安い醤油は脱脂加工大豆という表記になっています。脱脂加工大豆とは、大豆の絞りかすをフレーク状にしたもので、ヘキサンという化学薬品と合わせると、通常な1/4以下の期間で醤油ができるというメリットがあり、大量生産をするメーカーで広く使われています。そして現在、国内で流通している醤油約8割が脱脂加工大豆を使用しているというデータもあります。
ただし絞りかすは大豆の香りが乏しく、それを補うため甘味料やカラメル色素などを添加しています。もちろんこれらは安全性が確保された上での材料であり添加物ですが、少し気になりますね。
・ノルマルヘキサン(n-ヘキサン)の用途と毒性とは
・甘味料ステビアの危険性
・性質の異なる4タイプ。着色料カラメル色素の危険性
醸造方式が天然醸造か本醸造
大豆を発酵熟成する過程において、天然の微生物だけでじっくり作られた醤油は天然醸造あるいは本醸造と記載されます。
本醸造は熟成が進みやすいよう温度調節を行ないます。よって一定の熟成期間を経れば季節に関係なく熟成が完了しますが、天然醸造は気候の温度変化を利用して熟成するため、より自然で長い時間がかかります。
一方安い醤油になると、混合あるいは混合醸造と表記されています。熟成期間を短縮するためにアミノ酸液を加えた製法で、およそ1〜2ヶ月という速さで熟成が完了するといわれています。めんつゆなど加工品に多く用いられる製法で、醤油では少ないですが、それでも全体の約2割の醤油がこの製法で作られています。
パッケージの違い
生醤油は醤油に比べて酸化しやすく、風味が劣化するのが早いという弱点があります。そこで、注ぎ口に弁のついた特殊なパックに入って売られています。
CMや雑誌などで目にした人も多いと思いますが、この弁が空気の侵入を防ぎ、生醤油の酸化を遅らせて鮮度を保ちます。あるメーカーには開封後90日間も変色せず、新鮮な状態だったというデータがあるほど。
新鮮さのバロメーターは色から知ることができます。淡く明るい色をしているのは新鮮な証拠であり、酸化するにしたがって私たちのよく知る黒い醤油の色になるのです。
ボトルから注いだ時の色が薄い褐色をしているのも、生醤油ならではの特徴ですね。
生醤油の美味しい使い方
生醤油は普通の醤油と同じく、炒めものや煮物、焼き物、刺身などに幅広く使えます。
新鮮さが感じられる食べ方がおすすめ
生醤油はしぼりたての醤油の美味しさが味わえるよう、あえて加熱処理をせず、酵素や身体に不可欠なアミノ酸といった有効成分を多く残しています。
それを煮物にすると、加熱処理した普通の醤油と同じような強い香りが出てしまいます。
生醤油の風味を活かすには、そのままつけダレにするか、さっと炒めるのがよいでしょう。