2017年4月7日更新

食品添加物の酸味料とは?種類や危険性

無果汁なのに味わいは爽やかな果物の味がする。これは食品に酸味料が添加されているためです。ではこの酸味料ってどんなもの?味付けだけをする物質なの?という疑問を解決していきましょう。ここでは食品添加物の酸味料についてお話しします。酸味料の人体に影響する危険性も調べてみました。

  1. 目次
  2. 酸味料とは
  3. 酸味料は一括表示が可能な食品添加物
  4. 人体への危険性について
  5. 酸味料は一括表記されています

酸味料とは

酸味料とは食品へ酸味を加える、酸味を強化するために使用される食品添加物です。
また食品のPHを調整するためにも使用されています。

PHとは
PHとは英語でピーエイチ、ドイツ語でペーハーと読みます。これは酸性、アルカリ性の度合いを表しています。PH7は中性、PH7未満が酸性、PH7から上がアルカリ性です。

食品表示にあるph調整剤とは?危険性はあるの?

使用されている食品例

清涼飲料水にはほとんど添加されていますが、そのほかにジャム、キャンディー、フルーツの缶詰め、アイスキャンディー、アイスクリーム、お酒(缶サワーなど)、ゼリー、ヨーグルト、チーズ、漬物などにも添加されています。

酸味料は一括表示が可能な食品添加物

酸味料は単独で酸味料としての効力を果たすのではなく、複数の物質が組み合わさってその目的を発揮します。食品添加物の表示は食品表示法の原則で、添加される物質名まで表示されなければいけないことになっていますが、酸味料のように複数の物質を併用して効力を発揮する食品添加物については、それぞれの物質を表示する必要がないと法律で決められているので、酸味料として使われている添加物はその物質を一括して「酸味料」と表示することで許可されています。

酸味料という一括表示が許可されている物質の種類

実際に酸味料といわれる個々の物質にはどんなものがあるのかみてみましょう。

  • アジピン酸
  • クエン酸
  • クエン酸三ナトリウム
  • グルコノデルタラクトン
  • グルコン酸
  • グルコン酸カリウム
  • グルコン酸ナトリウム
  • コハク酸
  • コハク酸一ナトリウム
  • コハク酸二ナトリウム
  • 酢酸ナトリウム
  • DL-酒石酸
  • L-酒石酸
  • DL-酒石酸ナトリウム
  • L-酒石酸ナトリウム
  • 乳酸
  • 乳酸ナトリウム
  • 二酸化炭素(炭酸ガス)
  • 氷酢酸
  • フマル酸
  • フマル酸一ナトリウム
  • DL-リンゴ酸
  • DL-リンゴ酸ナトリウム
  • リン酸

アジピン酸

アジピン酸は爽やかな酸味を有しています。甜菜(てんさい)にも含まれる物質でph調整剤や日持ちを長くしたりといった目的でも使用されます。

クエン酸

酸味料の代表といえる物質です。アジピン酸と同様にマイルドで爽やかな酸味です。レモンやミカンなどの柑橘類にも含まれています。ただし酸味料として使用されるものは人工的に作られたものです。
クエン酸は保存料や酸化防止剤の効果を助ける効果があるため、これらの添加物と一緒に使用されます。こういった使われ方をする場合でも食品への表示は酸味料と表示されます。

クエン酸、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウムは、味を調えるための調味料、酸味を加えるための酸味料、phを調整するためのph調整剤として使用されます。

コハク酸

コハク酸はうま味成分を含む酸味料です。そのうま味成分を活かし、味噌や醤油、合成酒などに使用され、うま味をつけつつ酸味もつけます。

氷酢酸

純度の高い酢酸は約17℃以下だと氷のような固体になるため氷酢酸と呼ばれています。
食品添加物として使用される氷酢酸は化学合成により安価で製造されます。
氷酢酸に水を加えて約30%の濃度の溶液としたものが酢酸です。普段わたしたちが使っているお酢には4~5%の酢酸が含まれています。
酢酸は合成酢を作る際にも使用されています。

酢酸ナトリウム

上記の化学合成で作った酢酸を水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)で中和した物質です。
食品の酸味を調整するためにも使用されます。
微生物の繁殖を抑制する働きがあるため、日持ち向上の目的でも使用されます。
ただし、日持ち向上の目的で使用する場合は酸味料という一括表示ではなく物質名の酢酸ナトリウムまたは酢酸Naと表示する必要があります。

酒石酸

酒石酸とは、レモンやぶどうなどの酸味のある果実に含まれる有機化合物です。
この酒石酸がカリウム、もしくはナトリウムと結びつくとそれぞれ酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウムという物質になります。
酒石酸は、ワイン作りの過程で副産物として得られる物質です。

酒石酸とは。その用途と効果

フマル酸

フマル酸はかなり強い酸味がある物質で、水に溶けにくい性質を持っています。
クエン酸と併用し酸味の調整に使用されます。

フマル酸一ナトリウム

フマル酸を水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)で中和した物質で、水によく溶けます。中和させているのに酸性の性質があるのです。クエン酸やその他の酸味料と併用し食品に使用されています。
飲料水や漬物、ゼリー、洋酒などに使用されています。
また酸味料以外に膨張剤、調味料(有機酸)、ph調整剤としても使用されます。

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人体への危険性について

複数の添加物が組み合わさりその効力を発揮する酸味料は、それぞれ物質を個々に調べると人体への危険性を心配したくなる物質もあります。しかし食品添加物に関しては保健所や健康安全研究センターなどの食品衛生監視員が食品添加物を使用する場合の添加量の基準を厳しく監督・検査して、そして規格基準に合わない食品は食品衛生法違反として回収しますので、食品添加物の一つである酸味料についても、消費者の健康に危険性がある食品が販売される心配はないと現時点では考えられます。

危険性があるといわれる理由

これまでお話ししてきたように酸味料とは複数の添加物の一括表示であるため、個々の添加物に心配される情報があがると、消費者はその商品の危険性を心配してしまうのです。

たとえば酸味料として添加されている物質でアジピン酸やグルコン酸、酢酸、コハク酸などは原料を化学合成してつくったものなので体への害を心配する声が上がっています。反対にクエン酸や酒石酸、乳酸などは元となる原料や製造過程から消費者から安心する声もあがりますが、クエン酸だけが酸味料として働いているわけではなく、ほかの物質も加わり酸味料としての効力を発揮するので、添加される物質に寄せられる情報によって心配の声が上がってしまうのです。

酸味料は一括表記されています

酸味料とは複数の添加物を一括して「酸味料」と食品表示されています。酸味料として添加される個々の添加物を調べると心配になる情報もありますが、国の機関が人体への危険性を調べ、食品添加物としての評価を得て、食品に添加しているので、酸味料の食品を食べたからといっても体への危険性は考えられません。しかし人体に危険はないにしても、これから「酸味料」という表示を目にしたら、その内容には複数の物質が添加されているということは覚えておいてもいいことかもしれませんね。