2021年6月5日更新

ノンホモ牛乳とは?チーズやバターも作れちゃう不思議な牛乳の正体

ノンホモ牛乳

ノンホモ牛乳とは、簡単に言うと「牛乳に含まれる不均一な大きさの脂肪球を残したままの牛乳」になります。一般的な牛乳とは製造法が異なるため、チーズやバターも作れちゃう不思議な牛乳です。今回はノンホモ牛乳のメリット・デメリット、そしてどこで買えるのかといった情報もお届けしていきます。

  1. 目次
  2. ノンホモ牛乳とは?チーズやバターも作れちゃう用途いっぱいな牛乳
  3. ホモ牛乳とノンホモ牛乳のメリット・デメリットとは?
  4. ノンホモ牛乳はどこで買える?
  5. ノンホモ牛乳でチーズやバター作り
  6. パスチャライズ牛乳と殺菌法について
  7. 乳製品アレルギーがある方は注意
  8. 味わいたっぷり!ノンホモ牛乳をお試しあれ

ノンホモ牛乳とは?チーズやバターも作れちゃう用途いっぱいな牛乳

ノンホモ牛乳のノンホモとは、「ノンホモジナイズ」の略語です。ホモジナイズ(homogenize)は「均質化」という意味を持ちますが、ノンが付いているため「無均質」ということになります。

一般的にスーパーなどで販売している牛乳は、牛乳の中に含まれる乳脂肪分をホモジナイザーと呼ばれる機械によって均質化の処理を施しています。

一般的な牛乳が安価で販売されている理由は、乳脂肪分の粒子を細かくすることで扱いやすく、安定的に大量生産が可能になるためです。

このように均質化された牛乳(普通の牛乳)をホモ牛乳と呼び、反対にこの処理を行っていない無均質の牛乳をノンホモ牛乳と呼びます。

搾ったばかりの生乳は状態が変化する

搾ったばかりの生乳は、動かさずに置いておくとクリームの層(クリームライン)が出現します。これは生乳の脂肪球の大きさにバラつきがある(比重の違い)ためです。

脂肪球は直径にすると0.1~10マイクロメーター(※)ほどで、脂肪球が大きいものは時間の経過とともに上部に浮き上がりやすく、浮き上がったものが結びついてクリームだけの層(クリームライン)になります。

この状態の牛乳ではパッキングした際に成分を均等に配分することが困難となるため、ホモ牛乳は均質化して販売されています。

(※)マイクロメーターとは…昔はミクロンと呼ばれていた。1マイクロメーター=1ミクロン。
1マイクロメーターは1,000分の1ミリ。

ノンホモ牛乳の特徴

ノンホモ牛乳は無均質のため、前述したようにしばらく置くとクリームラインが出てきます。しかし、ホモジナイズ処理をされていないため、より生乳に近い風味を楽しむことができます。

できるだけ素材の味で牛乳を取り入れていきたいという自然派の方にとって嬉しい牛乳です。
また、ノンホモ牛乳は温めて飲むと非常に甘い味わいを楽しめます。冷やしても温めてもおいしいノンホモ牛乳は、本来牛乳にあるコクを口いっぱいに味わえる牛乳です。

ホモ牛乳とノンホモ牛乳のメリット・デメリットとは?

ノンホモ牛乳が販売されているのを見たことがある方はご存じの通り、ノンホモ牛乳はホモ牛乳と比較すると値段が高い場合がほとんどです。どのような製造方法で作られた牛乳なのか具体的に知らないと、ノンホモ牛乳は中々手が出ません。いわば高級牛乳という認識のノンホモ牛乳と、一般的なホモ牛乳はそれぞれどこにメリット・デメリットがあるのでしょうか。

ホモ牛乳のメリット・デメリット

メリット:飲み終わりまで安定した味

一般的な牛乳であるホモ牛乳の最大のメリットは、やはり安定的に飲み続けられることでしょう。放置してもノンホモ牛乳のようにクリームラインが出ない(分離しない)ため、こういったものに不快感を感じる方でもおいしく飲むことができます。

飲み初めから飲み終わりまで安定して飲めるという点は、牛乳のクセが苦手な方にとってメリットと感じるポイントです。また、ホモ牛乳は脂肪球が均一になっているため、消化吸収に時間がかからなくなるというメリットもあります。

デメリット:お腹を壊すことがある

ホモ牛乳は脂肪球が均一化されており、消化吸収に時間がかからなくなりますが、それは消化吸収が良くなるという意味ではありません。

消化吸収が早くなるということは、タンパク質などの成分が体の中で急速に取りこまれることを意味します。人によっては急速に取りこんだ成分が原因でお腹を壊す場合もあります

ノンホモ牛乳のメリット・デメリット

ノンホモ牛乳のメリット:お腹を壊しにくい

ノンホモ牛乳はホモ牛乳と比較すると、消化吸収がゆるやかです。

乳糖が脂肪球にくるまっているため、牛乳を飲んでお腹を壊しやすい乳糖不耐症の方でも負担が少なく楽しめます。

体に優しくお腹を壊しにくいメリットがありますが、個人差があるためまずは少量を目安に飲みましょう。

ノンホモ牛乳のメリット:活用法がたくさんある

ノンホモ牛乳を静置するとクリームラインができ、コーヒーなどのミルク変わりとして楽しめます。

また、ノンホモ牛乳に少し手を加えると、チーズやバターを作ることもできます。クリームラインが出たら初めの一口目は濃いように感じますが、成分はホモ牛乳と同じのため、よく振ってから飲むことで気にならなくなります。

ノンホモ牛乳のデメリット:不安定な供給

ホモ牛乳と違い、ノンホモ牛乳は大量生産が難しい牛乳です。そのため、安定した提供ができず、値段も高くなりがちです。ホモ牛乳は安定的に安価で手に入れられるため、ホモ牛乳と比較すると手に入れづらいと感じる場合が多くなるでしょう。

ノンホモ牛乳はどこで買える?

買い求める地域などによってもノンホモ牛乳を発見する頻度や確立は左右されますが、確実に入手できるのはネット通販です。

その他にも利用する方が多くなってきた食材宅配で扱っていたり、全体的に値段が高いスーパーや百貨店、道の駅など販売している場所は様々です。しかし、安定してここに必ず置いてあるということが少ないため、通販や食材宅配以外の方法では購入に少々手間取るかもしれません。

また、確実に入手できる通販ですが、送料がプラスされるため、たった一本の牛乳が1,000円以上になってしまう場合があります。ただでさえノンホモ牛乳は高い値段に設定されていますから、相場である300~400円の値段に700円程度の送料がつくと一気に高い買い物になってしまいます。

ノンホモ牛乳を安く安定的に買い求めたい方は、食材宅配の会員になるか、自然食品販売店や百貨店で探した方が見つかる可能性が高いと言えます。意外と普段行っていないスーパーなどで見つかることもあるため、近辺の施設を探してそれでもない場合は他の手段を試してみましょう。

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牛乳本来の性質や栄養を損なうことのないように低温殺菌した牛乳です。

ノンホモ牛乳でチーズやバター作り

ノンホモ牛乳から作るバターはペットボトルを振るだけです。かなり長い時間振ることになるため、振り続けられる環境と根気が必要になります。

5分程度振るとクリーム状のものが浮かび、ここからさらに数十分振り続けると脂肪の固まりと水のような液体に分かれます。これを濾して水分を絞り、少量の塩を混ぜることでおいしいバターが出来上がります。

ちなみに残った牛乳は低脂肪乳としてそのまま飲むこともできます。

※ノンホモ牛乳で作るバターは、低温殺菌されたノンホモ牛乳のみでしか作れません。「ホモ牛乳×高温殺菌」、「ホモ牛乳×低温殺菌」、「ノンホモ牛乳×高温殺菌」などではバターを作ることができないため注意しましょう。

ちなみに作ってみたい方は以下のブログに詳しく書かれているので見てみてください。

艸の作り方以外のこと 料理とか材料とか

パスチャライズ牛乳と殺菌法について

上記で牛乳の殺菌方法について少し触れましたが、食品衛生法では様々な条件のもと、加熱殺菌することが規定されています。

  • 120~150℃で1~3秒加熱する「超高温瞬間殺菌」
  • 72℃以上で15秒以上加熱する「高温短時間殺菌」
  • 75℃以上で15分以上加熱する「高温保持殺菌」
  • 65~68℃以上で30分加熱する「連続式低温殺菌」
  • 63~65℃で30分加熱する「低温保持殺菌」

など、牛乳の熱処理方法は様々です。

日本で販売されている牛乳は9割以上が超高温瞬間殺菌法です。この殺菌法で販売されている一般的なホモ牛乳は生産効率が良く、一定期間安定して飲むことができます。

また、誤解されている場面も多いですが、牛乳成分は高温殺菌したからと言って大きく変化することはありません。タンパク質が加熱によって「変性」するだけで、栄養価の変化はないため心配いりません。

変性とは

生卵を加熱することでゆで卵にする原理と同じです。見た目の変化はありますが、栄養価の変化はないということですね。

一方で、パスチャライズと呼ばれる低温保持殺菌法は、有害な菌を死滅させてあるため、安心して飲めることはもちろんのこと、生乳本来の風味を楽しむことができる牛乳です。

ノンホモ牛乳に記載されていることが多いため混合してしまいがちですが注意しましょう。

  • ノンホモ牛乳は脂肪球の大きさを加工していない牛乳
  • パスチャライズ牛乳は熱処理を低温保持殺菌にした牛乳

記載意味が全く異なり、ノンホモ牛乳だから必ずパスチャライズということではないため、区別が必要です。

乳製品アレルギーがある方は禁忌

牛乳などの乳製品に対してアレルギーを持っている方も多いですが、ノンホモ牛乳なら大丈夫と誤った情報を見聞きすることもあります。

前述した乳糖不耐症なども含め、ノンホモ牛乳への理解が浅ければ乳製品アレルギーを持っている方も誤って飲んでしまう場合があるでしょう。

乳糖不耐症と乳製品アレルギーは別の問題です。乳製品アレルギーの方はノンホモ牛乳でも飲まないようにしましょう。

味わいたっぷり!ノンホモ牛乳をお試しあれ

牛乳の中でも珍しいノンホモ牛乳についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。日本で多く消費され、脂肪球を均質化されている一般的な牛乳をホモ、脂肪球の大きさを加工していないものをノンホモと呼ぶことを初めて知ったという方もいるのではないでしょうか。普段飲み慣れているホモ牛乳ももちろん非常においしいですが、さらに甘くコクを感じられる牛乳を味わいたい方は、是非ノンホモ牛乳を試してみてはいかがでしょうか。