2020年4月15日更新

ワインの酸化防止剤…害や危険性はある?

ワインって、お酒の中でもちょっと特別な存在ですよね。
高級なディナーで楽しんだり、特別な日のプレゼントに贈ったり。ワインを職業にしている人も多くいますし、ワインに詳しいと、お酒を飲まない人からも一目置かれることも珍しくありません。
そんなワインですが、あけたら飲みきらないといけないという印象がとても強いのではないでしょうか。それほど、ワインというのは参加酸化しやすい飲み物なのです。
では、ワインに使われる酸化防止剤は、仕方のないものなのでしょうか。これがないと、ワインは作れないのでしょうか。
そもそも、酸化防止剤って何を使い、どういう原理で作られているのか…私たちの身体に害や危険性はないのか、調べてみました。

  1. 目次
  2. 酸化防止剤とは
  3. ワインにはどんな酸化防止剤が入っているの?
  4. 酸化防止剤の害と危険性とは
  5. ワインを飲むときは適量を心がけて

酸化防止剤とは

酸化防止剤の原理とは

長期保存食品のほとんどが真空パックにされていることからもわかるように、食品は、酸素に触れると傷んでしまいます。
それを酸化というのですが、酸化防止剤とは、その名のとおりこの酸化を防止する、つまり、食品が空気に触れて傷んでしまわないようにするもの。
酸化防止剤を添加すると、その添加物が酸化することにより、食品の酸化を防いでくれるのです。

ちなみに、酸化防止剤は食品添加物の一種で、使用した場合は酸化防止剤と明記することが義務付けられています。

酸化防止剤にはどんな種類や原料があるの?

酸化防止剤には、水溶性と脂溶性の二種類があります。
水に溶ける物質か、油脂に溶ける物質かということですが、これは、添加する食品に応じて使い分けられます。

水溶性酸化防止剤

果物の加工品やお茶、清涼飲料水など油を使わない食品にもちいられます。代表的な原料は、アスコルビン酸・亜硫酸塩・エリソルビン酸・ビタミンE(VE)など。

脂溶性酸化防止剤

インスタントラーメンや惣菜、お菓子などの油を使った加工品に使用されます。代表的な原料は、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)・BHT(ジブチルヒドキシトルエン)・没食子酸プロピル・トコフェロールやトコトリエノールなどのビタミンE(VE)など。

酸化防止剤は化粧品にも使われている?

酸化防止剤は、食品だけではなく化粧品にももちいられています。
目的は、悪臭(酸化臭)と酸化による成分の変質を防止すること。それから、肌が酸化するのを防ぐ効果を付け加えるためです。

ワインにはどんな酸化防止剤が入っているの?

では、ワインには水溶性の酸化防止剤が添加されているのでしょうか?
実は、ワインの場合、酸化防止剤を添加しているというよりも、成分の中に酸化防止剤の役割を果たすものが含まれているのです。
その物質とは、亜硫酸と二酸化硫黄。これらが酸化防止剤として防腐や保存に役だっており、ワインの酸化を防いだり、微生物の増殖や活動を抑制したりしています。

ワインに使用される酸化防止剤の害と危険性とは

ワインは日本国内で生産されるものと日本国外から輸入されるものの2種類があります。
日本国内で生産される場合、添加される保存料や酸化防止剤などの食品添加物は日本の法律(食品衛生法)に則り、使用基準を守って流通します。
しかし日本国内以外から輸入されるワインは基本的に製造された国の法律に則って製造されています。
ワインの輸入国はフランス、イタリア、スペイン、アメリカ、チリが大半を占めていますが、それぞれ食品に関する法律が違います。
日本国内で流通させるためには日本の法律に準拠したものでなければなりません。

輸入食品には日本では使用が禁止されている発色剤、着色料、保存料等の食品添加物が使用されている場合があります。例えば過去、以下のような違反例があったそうです。

ワイン:ソルビン酸の過量使用、二酸化硫黄(酸化防止剤)の過量残存
ワインクーラー:安息香酸(保存料)の対象外使用

ソルビン酸は合成保存料です。ソルビン酸は非常に不安定な物質で空気中の酸素と結合し別の物質に変化します。
二酸化硫黄は前述した通り酸化防止剤です。二酸化硫黄は別名亜硫酸ガスといって車の排気ガスや工業活動、また火山活動のような自然界でも発生することがある物質です。

二酸化硫黄の毒性。使用を禁止されている食品は?

過去に違反があったことでジェトロは注意を呼びかけていますが、発覚しなかったものや非常に古いワインなどに日本の基準値を超えているものが含まれている可能性はあります。

ちなみにここ10年で7倍に輸入量が増えたワインにチリ産があります。チリ産ワインは為替の影響などもあり非常に安いため2015年にはわずかですがフランス産を上回り輸入量1位になっています。そんなチリの食品に関する規制は、食の国際規格であるコーデックスに則っているようです。

【参考】チリにおける食品安全性確保の取組み(日本貿易振興機構(ジェトロ))(PDF)

ワインを飲むときは適量を心がけて

酸化防止剤には、安全なものと、危険性が高いもの、ある一定量をこえると体内から排出されるものなどいろいろあります。
しかし、含まれている酸化防止剤が一体何なのか、確実に知るのは難しいでしょう。
もともと、ワインなどの飲料はついつい飲みすぎてしまう傾向にあるので、できれば量をとり過ぎないように気をつけるといいですね。大抵の場合、過剰摂取にならなければあまり心配することはありません。