2019年3月24日更新

ブドウ糖果糖液糖(異性化糖)とは……害と安全性について

ブドウ糖果糖液糖(異性化糖)

ブドウ糖果糖液糖……こう聞くと、なんだか科学の実験で使う薬品みたいですよね。
しかし、ブドウ糖果糖液糖とは、別名異性化糖ともいう食品添加物の一種で、私たちが普段、知らず知らずのうちに口にしているものなのです。

食品添加物といえば、厚生労働省管轄のもと、食品安全委員会で安全性が確認されたもののみが使用されている一方、体に害であるという意見もなくならないなど、なにかと心配なものですよね。
では、このブドウ糖果糖液糖の安全性はどうなのでしょうか。もしかして害があるのでしょうか。あるとしたら、それはいったいどんなもの?
そもそも、ブドウ糖果糖液糖とはなんなのか。気になるさまざまな疑問について調べてみました。

  1. 目次
  2. ブドウ糖果糖液糖(異性化糖)とは
  3. ブドウ糖果糖液糖(異性化糖)にはどんな作用があるの?
  4. ブドウ糖果糖液糖の害って?
  5. ブドウ糖果糖液糖の安全性は?
  6. 避けられるもののみ避ければ問題なし!

ブドウ糖果糖液糖(異性化糖)とは

ブドウ糖果糖液糖とは、さつまいもやじゃがいも、トウモロコシのでんぷんから作られる食品添加物で、別名を異性化糖、正式名称を高フルクトースコーンシロップといいます。フルクトースとは、果糖のこと。
つまり、直訳すると高果糖のトウモロコシ液となるわけですが、これだけでどんなものなのかだいたい想像がつくのではないでしょうか。

原料は? どうやって作られているの?

ブドウ糖果糖液糖の原料はさつまいもやじゃがいも、トウモロコシです。
まず、さつまいもやじゃがいも、トウモロコシのでんぷんに水とα-アミラーゼという酵素を加えて加熱したあと、グルコアミラーゼという酵素の力でぶどう糖の液を作ります。
そして、そのぶどう糖の液とグルコースイソメラーゼという酵素を反応させると、ブドウ糖果糖液糖のできあがり。
結果として、ブドウ糖から果糖に変化、つまり異性化することから、異性化糖とも呼ばれます。
つまり、ブドウ糖果糖液糖は、トウモロコシの遺伝子組み換え食品だといえるでしょう。

異性化糖にはいくつか種類がある?

異性化糖とは、上記のようにブドウ糖から果糖に変化した糖のことをさします。
そして、その異性化した糖分の割合によっていくつか呼び分けがあり、たとえば、ブドウ糖果糖液糖は、糖全体のうち、異性化した果糖の割合が50%未満のものをいいます。つまり、半分以上は異性化していない糖が含まれているということですね。

これが、異性化した果糖の割合が50%を超えると変化が現れ、50%~90%なら果糖ブドウ糖液糖、90%以上なら高果糖液糖と呼ばれるようになります。

また、各異性化糖に10%以上の砂糖を加えたものは砂糖混合異性化液糖と呼ばれ、たとえばブドウ糖果糖液糖に10%の砂糖を加えたものなら、砂糖混合ブドウ糖果糖液糖です。

これらは、日本農林規格 (JAS)によって定められています。

ブドウ糖果糖液糖ってどんな味?

ブドウ糖果糖液糖は、なによりも甘さを出すことを目的として作られています。
そのため、味はとても甘く、さわやかさもないためそのままではとても飲めません。
ちなみに、ブドウ糖果糖液糖のカロリーは100gあたり276kcalです。

ブドウ糖果糖液糖ってどんなものに含まれているの?

ブドウ糖果糖液糖は、身近なさまざまな食品に含まれています。
スポーツドリンクや清涼飲料水、ヤクルトなどの乳飲料、コーラなどの炭酸飲料等そのまま飲用するものや、焼肉や鍋物の際につけて食べるタレ、料理に使用するみりんなど。
飲料水においては、内容量のだいたい10%ほどがこのブドウ糖果糖液糖のようです。

ブドウ糖果糖液糖(異性化糖)にはどんな作用があるの?

ブドウ糖果糖液糖を摂取すると、通常ではありえないスピードで血糖値が上昇します。
通常、摂取した糖質はブドウ糖に分解され、小腸から吸収され、グリコーゲンとして肝臓に蓄えられ……という過程をたどります。
そして、必要に応じて血液中に送り出され、筋肉や脳のエネルギー源となるわけですが、この、血液中のブドウ糖のことを血糖というのです。
つまり、血液の中に血糖を送るので、血糖値が上がるわけですね。

しかし、はじめからブドウ糖と果糖が分離しているブドウ糖果糖液糖の場合、体内で分解されることなく血液中に送り出されるので、血糖値が急上昇するのです。

ブドウ糖果糖液糖の害って?

まず最初に、ブドウ糖果糖液糖は天然甘味料です。
しかし、天然甘味料とは、食品に含まれる甘味成分そのもののことではありません。この成分を取り出し、何らかの精製をほどこした場合も、天然甘味料に分類されるのです。
現に、ブドウ糖果糖液糖も最初に述べたような方法で作られており、原料こそトウモロコシやさつまいもであるものの、遺伝子組み換えという人工的な手段がもちいられています。

肥満から心臓病につながりやすい

ブドウ糖果糖液糖は、はじめからブドウ糖と果糖に分離しています。
そのため、吸収のよい果糖がそのまま体内にたくわえられ、中性脂肪の元となってしまうのです。
また、消化、分解の過程を必要としないぶん満足感が得られにくく、ついつい摂取しすぎてしまうことも肥満につながりやすいと言われています。
肥満になると、臓器の周りにも脂肪がつくので、心臓病や脂肪肝などのリスクも高まるでしょう。

それに加えて、摂取しすぎるということは、体内にブドウ糖果糖液糖がある状態が普通だということになりますよね。その状態に体が慣れると、依存性になってしまう危険性もあるのです。

肌荒れの原因になる

すでに述べたとおり、ブドウ糖果糖液糖を摂取すると、血糖値が急激にあがります。
このとき、体が炎症を起こし、ニキビなどの症状として肌にあらわれることがあるのです。

糖尿病の原因にも、糖尿病の悪化にもつながる

肥満につながりやすいこと、依存性があることから、ブドウ糖果糖液糖は糖尿病の原因にもなりやすいことがわかります。

また、それに加えて、血糖値の上昇に対して分泌されるインスリンに耐性ができてしまうことも心配されています。
インスリンが分泌されにくくなるのですから、これは、糖尿病の原因にも、悪化にもつながるでしょう。

遺伝子組み換え食品としての害

ブドウ糖果糖液糖は、トウモロコシを原料にした遺伝子組み換え食品です。
遺伝子組み換え食品においては、アレルギーをはじめ、ガンやいろいろな腫瘍、不妊症などの原因になると指摘されています。
そのため、それらもブドウ糖果糖液による害の一つに数えてもいいでしょう。

ちなみに、遺伝子組み換え食品をもちいた場合はその旨を表示しなければならないと定められているのですが、成分を分解している場合、表示義務はありません。
したがって、原材料を分解して作られている異性化糖にも、遺伝子組み換え食品であることの表示義務はないのです。

遺伝子組換えとうもろこしの使用・流通の状況は?

日本に流通するとうもろこしの大部分は、最大の生産国であるアメリカから輸入されています。アメリカでのとうもろこし遺伝子組換え作物比率は、米国農務省(USDA)の発表によると2005年には52%でしたが2010年には86%と増加しています。今後、エタノールなどの需要が増えてくるに従い、遺伝子組換え作物の作付け比率は更に上がるものと予想されます。ちなみに大豆の遺伝子組換え作物比率は93%です。

アメリカで商業栽培されている遺伝子組換え作物は、すべて日本で食品としての安全性審査が行われており安全性は問題ないため区別されず流通して輸入されます。一方で、消費者の要望にこたえるため、非遺伝子組換え作物のみを分別して流通・輸入する場合があります。この場合の分別・流通はIPハンドリングシステム(後述)に基づき決められた手順で管理されて輸入されます。

日本に流通するとうもろこし約1,600万トンのうち大半は飼料用として利用されており、コーンスターチ用原料としては約330万トン程度、コーングリッツ、フラワー・ミール及びスナック菓子用原料として約12万トン程度輸入されています。このうち、食品用途として利用されるコーンスターチの原料とコーングリッツ、フラワー・ミールおよびスナック菓子用原料は、主にIPハンドリングによる非遺伝子組換えとうもろこしが利用されています。とうもろこし遺伝子組換え作物比率の増加によっては非遺伝子組換品の入手が困難な状況となることも考えられます。

ブドウ糖果糖液糖の安全性は?

さまざまな危険性のあるブドウ糖果糖液糖が、なぜこんなにも幅広く使用されているのかというと、やはり簡単に甘みを加えられることと、砂糖よりもコストが抑えられることでしょう。
では、安全性は本当に大丈夫なのでしょうか。

前述した通り、ぶどう糖果糖液糖(異性化糖)は、摂取しても消化に時間がかからないため急速に血糖値が上昇します。
これは糖尿病の方や血糖値が高めの方には非常に危険です。

血糖値に問題がない方も多量の摂取は控えたほうがよいでしょう。

避けられるもののみ避ければ問題なし!

以上のことから、ブドウ糖果糖液糖は、できれば避けたほうがいいものだといえそうです。
ただ、これを完ぺきに避けるのは難しく、とくに、現状では不可能にちかいでしょう。
そんな中で、どうしても避けなければいけないと考えては、プレッシャーが強く、精神的にかえってよくありません。
避けられるときに避けるにこしたことはありませんが、まずは危険性を知るだけでもじゅうぶんです。少しずつ、これからの食生活に活かしていきましょう。