2018年5月17日更新

ウツボを食べる!味や食べ方、さばき方

ウツボ

ダイビングを楽しむ人にとっては「ウツボがいた!」などと興奮の声を聞きます。しかしウツボは鋭い歯をもち海のギャングとも言われる魚です。顔つきも体色もよくないのでとても美味しそうには思えませんね。全国的にはあまり食べられていませんが、一定の地域では、郷土料理として提供されるなど、美味しい魚としてよく食べられているようです。今回はウツボの美味しい食べ方をリサーチしました。さばき方もご紹介します。

  1. 目次
  2. ウツボを食べる地域
  3. ウツボはゼラチン質がたっぷりで淡白なのに芳醇な味
  4. ウツボはカレイやヒラメとほぼ同じ栄養素を含んだ嬉しい魚
  5. ウツボの毒性に関する情報
  6. ウツボの食べ方
  7. ウツボの上手なさばき方
  8. ウツボのおすすめの料理
  9. ウツボを上手にさばいて美味しく食べてみよう

ウツボを食べる地域

尖った口に鋭い歯をもつどう猛な姿から「海のギャング」などと呼ばれるウツボは、ウナギ目ウツボ科ウツボ属の細長い魚です。成魚は長さ1mくらいの大きさです。釣り人からはとても力が強い魚だと言われます。

日本海、南シナ海、太平洋の暖かい水域の海の浅い岩礁域に生息しています。ダイビングをしていて、海の中でウツボを見つけると、噛みつかれそうな顔立ちにびっくりしてしまいますが、こちらから危害を加えなければ大人しい魚だと言われます。胸ビレと背ビレがないのが特徴です。黄色と茶色の独特な柄の体色からは、とても美味しそうには思えませんが、郷土料理として紹介するくらい美味しい魚だと好んで食べる地域もあります。

ウツボを好んで食べる地域は四国の高知県や徳島県。また和歌山県や三重県、千葉県や静岡県でも食べられています。高知県ではウツボのすき焼きやたたきを郷土料理として提供するお店もたくさんあり、千葉県ではウツボの開き干しは冬の風物です。和歌山ではウツボの佃煮が有名です。伊豆諸島ではウツボの鮮魚を煮物や佃煮、干物にしてよく食べます。

美味しい魚ですが、ウツボは骨が多く調理方法が難しいことも理由の一つとなり、ウツボを食べる地域はたくさんあるわけではありません。しかしウツボを食べる地域からは、美味しい魚だと評価されています。

ウツボはゼラチン質がたっぷりで淡白なのに芳醇な味

見た目はグロテスクな体色をしていますが、ウツボは上品な白身の魚です。身は弾力があり、ウツボの身の食感は鶏肉に似ているなどとも言われます。

味わいは、あのどう猛な姿からは想像ができないほど、あっさりとした淡白で芳醇な味わいです。分厚い皮の下には脂とコラーゲンをたくさん蓄えています。加熱するとコラーゲンであるゼラチン質の層から旨みを感じます。年中釣ることができるので、特に旬の時期というのはありませんが、鱗がないので水温の変化に弱く、秋から冬にかけては脂がのってきて美味しいと言われます。

ウツボはカレイやヒラメとほぼ同じ栄養素を含んだ嬉しい魚

ウツボの栄養成分は文部科学省が表示する食品成分表には、栄養成分の記載がありません。ウツボにはどのような栄養成分含まれているのかがよくわからなかった中で、東京都の健康安全研究センター食品化学部成分研究所が、ウツボの鮮魚3個体をもとに分析した結果、ウツボの栄養成分は、タンパク質、カルシウムやカリウムなどのミネラル、ビタミンなど、カレイやヒラメのような淡白な白身魚とほぼ同じ成分を含んでいると報告をあげました。

ウツボにはコラーゲンがいっぱい!

ウツボを扱う漁師や料理人からの情報では、ウツボの身はコラーゲンがたくさん含まれていると言われます。ほかの魚に比べて、皮の下部分にゼラチン質が多く、女性に嬉しい美肌効果や関節痛の改善などに効果があるコラーゲンをたくさん含んでいる魚です。

また漁師や料理人に言わせると、ほかの白身の魚に比べると脂も多い魚だそうです。表皮に皮下脂肪が多いので、皮を取り除いて料理したものはほかの白身魚の脂質と大差はないけれど、皮を付けたまま干物にしたウツボは脂質がかなり多いと言われます。

ウツボの毒性に関する情報

種子島や屋久島、琉球列島、小笠原諸島の太平洋には全長が2m、大きいものは3mにもなる大型のウツボがいます。エラの後ろにある水の排出口は黒い斑で囲まれており、体色は黒色から褐色がかった斑点が散乱しています。

この大型のウツボには食中毒の原因となるシガテラ毒をもつものがいます。シガテラ毒をもっていることから「ドクウツボ」と呼ばれています。沖縄や台湾ではこの大型のドクウツボも食用としていますが、大型のウツボはシガテラ毒をもっている場合が多いので、食用とする場合は注意が必要です。

シガテラ毒に侵されるとどうなる?

もしシガテラ毒に侵され発症すると嘔吐、下痢、腹痛などの消化器系の症状のほか、血圧降下などの循環器系の症状、めまい、頭痛、筋肉痛、しびれ、温度感覚異常などの神経系の症状などが現れます。発症は1~8時間くらいと早く症状が現れますが、回復は遅く、完全に回復するまでに数カ月から1年以上もかかることもあります。日本では死亡例はありませんが、海外では死亡の事例があると聞きます。もし大型のウツボを食べて、体に異変が現れたら、専門医をすぐに受診してください。

ウツボの食べ方

ウツボを食べる高知県では、ウツボのたたきやすき焼きは土佐の郷土料理として地元の人達に親しまれています。ウツボはほかの魚と比べて骨が特殊で、体の中心にすーと1本中骨が入っているのと、身の中に小骨がたくさん入っているので、さばく時に中骨を裂くように取ることや、さばく時に身のどこら辺に小骨があるかを覚えておき、小骨を抜かなければならないという手間があります。

中骨からは美味しいだしが取れるので澄まし汁やスープに活用します。頭の方から体の中央くらいまでの身は、比較的小骨が少なく、たたきや刺身にして食べられています。身の中央から尾までの半分は小骨が多いので骨抜きをして唐揚げなどにして食べます。

ウツボの上手なさばき方

  1. ヌメリが強いので、よくヌメリを落とします。ゴム手袋などして作業するのもおすすめです。
  2. ウナギやあなごをさばく時のように目抜きをします。
  3. 背中から尾までまっすぐに開きます。背に切り込みを入れます。首の付け根を中骨に当たるまで切り込みを入れて背開きにします。
  4. ひらけたら中骨をそぐようにはずします。
  5. 次に内臓を取り除き、頭を落とします。尾の部分は小骨が多く食べづらいので尾の部分も切り落としてしまいます。この時身のふちを切り落とす人もいるようです。
  6. 腹の中を流水できれいに洗います。ウツボは硬い小骨が身の中に多いので、刺さらぬようにスポンジや布などを使って洗い流すと便利です。またどこら辺に小骨があるか覚えておき調理するとき骨抜きなどを使って抜きます。

簡単な骨抜きの仕方はある?

中骨は裂くように取り外せますが、ウツボの身には硬い小骨がたくさんあります。骨抜きをしたいところですが、プロでも上手に骨抜きするのは熟練の技がいると言われるほど、難しいそうです。自分で調理する場合は手で身を触り骨の位置を確かめながら、多少身を無駄にしてしまうことを覚悟で骨を抜き料理するほかありません。特に尾に近い部分は小骨が多いので、はも料理のように骨切りして調理するとよいでしょう。

ウツボを良く知る漁師さんは、さばいたウツボの身をあぶって冷やすと骨が抜きやすくなると紹介しています。また頭に近い方の身は小骨が少ないです。たとえば刺身にする場合、体の中央についている肛門から頭に近い身を使います。さばいたら皮をはぎバーナーで身を炙り、小骨を抜き、一度冷凍してから自然解凍した食べ方を、これもウツボを良く知る漁師さんが紹介しています。

ウツボは骨の処理などに手間がかかる魚ですが、食べてみるととても美味しい魚だと言われるので、あきらめずに調理しましょう。

ウツボのおすすめの料理

おすすめの料理は煮こごり、さしみ、から揚げ、すき焼き、やながわ鍋、みそ煮など。あっさりとした淡白な上質の白身はポン酢や醤油、そして味噌などの調味料と相性が合います。

ウツボのたたきはウツボの上質な肉質と豊富なゼラチンのうまさが女性に人気で、皮の両面をパリッと炙り、皮の下の脂がトロリしてコリっとした身の食感が美味しいそうです。酢と相性が良いのでポン酢で食べると最高だと言われます。

土佐の郷土料理に紹介されるウツボのすき焼きは、ふっくらしたウツボの白身と独特のゼラチン質が甘口の割り下によく合いこれも絶品と言われます。

ウツボの刺身

ウツボの刺身はコリコリした食感で歯ごたえがあります。臭みはなく淡白な味で旨みの多い味わいです。ただウツボは小骨が多いので、刺身で食べるときは、さばく時に骨のある所を覚えておき骨抜きしなければなりません。骨抜きは初心者にはなかなか難しく、骨を見落としてしまうこともあるので、はも料理のように骨切りをするか、身を触って全く骨のないような部分を刺身にするのがよいでしょう。わさび醤油で食べるのが美味しいですが、ポン酢にネギや玉ねぎを添えて一緒に食べるのもおすすめです。

ウツボの干物

ウツボの干物は脂があって、皮目はパリッと香ばしく、お酒のつまみにもよく合い美味しいと言われます。開き干しにしたものは千葉県、三重県、和歌山県、徳島県、高知県などでよく作られています。

ウツボのたたき


材料 (4人分)

  • ウツボ 1匹
  • しょうゆ 適量
  • ポン酢 適量
  • 薬味 適量

作り方はこちら(クックパッド)

ウツボの唐揚げ


材料 (2人分)

  • ウツボ(6切れくらい) 100g
  • 塩コショウ 小さじ1/2
  • 片栗粉 大さじ2
  • 揚げ油 適量

作り方はこちら(クックパッド)

ウツボを上手にさばいて美味しく食べてみよう

四国の高知県など一部の地方ではウツボを食す文化があります。郷土料理として親しまれ食べられるウツボの味は、海のギャングなどと呼ばれるくらいどう猛な姿からは想像できないほど、あっさりとした淡白な芳醇な味わいだそうです。ただ骨が多く調理が難しいことで、なかなか食べるには及ばない魚だといわれますが、食通をうならせる美味しい魚だと評されます。上手にさばいてぜひその味をご賞味してみてください。