2018年1月18日更新
ブラックペッパーの栄養や効果効能について
胡椒(こしょう)は、世界中のキッチンで使用される、基本的な調味料のひとつ。中でもブラックペッパー(黒こしょう)はホワイトペッパー(白こしょう)と並び、日本でも広く使われるようになりました。普段は何気なく口にしているブラックペッパーですが、いったいどのような栄養や効能があり、私達の心身にどのように働きかけてくれるのでしょうか?知っているようでよく知らない、ちょっと気になるブラックペッパーについて、詳しくご紹介します。
- 目次
- ブラックペッパーとは?
- ブラックペッパーの栄養や成分と、その効能効果
- ブラックペッパーと他の胡椒(こしょう)との違い
- ブラックペッパーの効果的な使い方
- 身近なスパイスのブラックペッパーで日々を健康に!
ブラックペッパーとは?
ブラックペッパーとは?
ブラックペッパーは、コショウ科のつる性植物の果実を乾燥させた香辛料で、原産はインド。古くから薬用や保存料として、また貿易品として貴重な存在だった「スパイスの王様」、胡椒(こしょう)の一種です。ブラックペッパーの英語でのスペルはBlack pepperとなります。
ブラックペッパーの仲間
胡椒(こしょう)には、ブラックペッパーの他にも、収穫時期や製造方法によっていくつかの種類があり、それぞれ風味や用途が異なります。
- グリーンペッパー(青胡椒)…未熟な青い実
- ブラックペッパー(黒胡椒)…完熟直前の実
- ピンクペッパー(赤胡椒)…完熟した実
- ホワイトペッパー(白胡椒)…完熟した実(皮を取ったもの)
・使い方をマスターしたい!グリーンペッパーでもっと料理上手に!
・赤い胡椒?ピンクペッパーの効能と使い方
・健康にも効果的!胡椒(こしょう)の栄養や効能とは?
ブラックペッパーの歴史
ブラックペッパーの歴史は、そのまま胡椒の歴史です。古来より、ピぺリン成分による抗菌、防腐、防虫作用が知られ、食用や薬用はもちろん、保存料としても使われていました。また、後の十字軍遠征や大航海時代など、冷蔵技術のなかった時代の食料保存用として珍重され、ヨーロッパにおいては非常に価値のある貿易品でもありました。日本への渡来は古く、奈良時代には中国より生薬としてもたらされ、平安時代には調味料として使用されていた記録があります。現在はインドをはじめ、東南アジアが主な産地で、世界中で使用されています。
ブラックペッパーに塩分は含まれるのか?
結論からいうと胡椒に塩分は含まれていません。そのため減塩しなければいけない方には風味を増すという意味で素晴らしい食材と言えます。
ブラックペッパーの栄養や成分と、その効能効果
ブラックペッパーの栄養価・有効成分
ブラックペッパーは、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、マンガンなどのミネラルと、ビタミンB1、B2などの栄養価が高く、またピペリンという有効成分を含んでいます。
他の食品の栄養吸収を高めてくれる
ピペリンの効能のひとつに、栄養吸収の促進があります。ピペリンにより、栄養を身体の隅々にまで運ぶ血液の働きが活性化され、より効率的に食物の栄養素を取り込むことができるのです。食事の際に、ブラックペッパーをかけていただくというのは、風味が増すだけでなく、その主食の栄養を最大限に活かす役割もあったのですね。
消化の働きをサポート
ブラックペッパーは私達の消化の働きをサポートしてくれます。ブラックペッパーの風味は味覚を刺激し、胃酸を適度に分泌することで消化を促進し、胃の不快感や膨満感、消化不良、ガス、便秘などの症状を軽減します。またブラックペッパーの殺菌作用により、細菌由来の胃腸疾患にも効果があります。
ダイエットにも効果的
ブラックペッパーには食欲を増進する作用もありますが、ダイエット効果もありますのでご安心を。皮の部分に多く含まれるフィトケミカルには、脂肪細胞の分解を促す効果があるとされます。またピペリンには、脂肪燃焼や、脂肪を体内に蓄えるのを抑制する効果もあり、皮をむかないブラックペッパーは総合的にダイエットの強い味方と言えそうです。
代謝アップで冷え症の改善
ブラックペッパーに多く含まれるピペリンには、体内のエネルギー代謝を高め、交感神経を刺激し、血流を良くする働きがあり、これにより冷え症などが改善されます。確かにブラックペッパーを食べると、全身が暖かく感じますが、こんな効果があったのですね!
落ち込んだ気分を元気に
ピペリンには、私達の気分を左右する脳内物質のセロトニンとエンドルフィンを増やす働きがあります。セロトニンもエンドルフィンも、落ちこんだブルーな気分を持ち上げて、ストレスを抑え、気分をすっきりとクリアにしてくれる、天然の精神安定剤です。
ブラックペッパーと他の胡椒(こしょう)との違い
胡椒(こしょう)には、ブラックペッパーやホワイトペッパーなど、いくつかの種類があります。これは実の完熟度と処理方法によって4つの種類に分類されます。
胡椒の実の完熟度による違い
- グリーンペッパー(青胡椒)・・・未熟な青い実
- ブラックペッパー(黒胡椒)・・・完熟直前の実
- ピンクペッパー(赤胡椒)・・・完熟した実
- ホワイトペッパー(白胡椒)・・・完熟した実(皮を取ったもの)
注意:現在ピンクペッパーは完熟した胡椒ではなく、コショウボクの実を指すことがほとんどです。
収穫後の処理方法による違い
- グリーンペッパー(青胡椒)・・・発酵を避けるために、すぐに乾燥、または塩づけ
- ブラックペッパー(黒胡椒)・・・発酵させてから時間をかけて乾燥
- ピンクペッパー(赤胡椒)・・・完熟しているためすぐに乾燥
- ホワイトペッパー(白胡椒)・・・完熟しているためすぐに乾燥、その後水につけて皮を取る
味や風味などの違い
- グリーンペッパー(青胡椒)・・・爽やかな辛み、刺激は弱い、フレッシュな風味
- ブラックペッパー(黒胡椒)・・・辛みと刺激があり、香りが強い、際立つ風味と深い芳香
- ピンクペッパー(赤胡椒)・・・辛みはあるが、刺激、香りは弱い、風味よりも彩り用
- ホワイトペッパー(白胡椒)・・・辛みはあるが、刺激、香りが弱く、マイルドでクリーミーな風味
合う料理などの違い
- グリーンペッパー(青胡椒)・・・魚や肉料理、フランス料理、タイ料理
- ブラックペッパー(黒胡椒)・・・肉料理、サラダ
- ピンクペッパー(赤胡椒)・・・彩り用としてどんな料理にも
- ホワイトペッパー(白胡椒)・・・魚料理、ソース、スープ、ポテト
ブラックペッパーの効果的な使い方
料理には用途に応じて挽き方を変える
- ホール(粒)・・・煮込みやマリネなど、時間をかけて味や香りをしみ出させる下味として使います。
- 粗びき・・・粗目に挽いた状態。ステーキやグリル、炒め物など、挽きたての食感と風味が活かせる料理に。
- グラインド・・・粗びきより細かめに挽いた状態。風味もよく、食感も丸く、オールマイティに使えます。
- パウダー・・・細かく挽いた状態。香りがすぐに引き立ち、料理の仕上げとして使います。
ブラックペッパーの保存方法
ブラックペッパーの香りや風味、そして有効成分を長持ちさせるために、直射日光と高温を避けましょう。冷蔵庫に保管するのもひとつの手です。また、ホール(粒)のままの状態で保存することで、使うたびにミルで挽き、常にフレッシュな風味を楽しむことができます。
ブラックペッパーの精油
アロマオイルやエッセンシャルオイルで、ブラックペッパーがあるなんて、ちょっと意外ですね。けれど気分を高めてくれるブラックペッパーの精神的な効果などは、芳香浴やディフューザーなどで、手軽に取り入れることができます。ただし刺激の強い精油ですので、マッサージやアロマバスへの利用は適切ではありません。
身近なスパイスのブラックペッパーで日々を健康に!
毎日のように口にしていたけれど、あまり知らなかったブラックペッパーの様々な効能効果。思った以上に健康にも美容にも、精神的にも万能なスパイスだったのですね。これからは、少し意識的にブラックペッパーを利用して、日々の生活をより健康的にしていきたいものです。