2018年7月31日更新
カタクチイワシの旬とおすすめ料理。さばき方も
日本人に最も馴染みの深い青魚の代表であるイワシ。日本の食卓を飾る大衆魚です。イワシにはマイワシと、イワシの中でも最も大きくなるウルメイワシ、そしてカタクチイワシの3種類のイワシがいますが、今回は稚魚はしらすやちりめんじゃことして人気のカタクチイワシについてご紹介します。リーズナブルな価格な上に美味しい魚なので、下処理やさばき方をマスターして美味しく日々の食卓を飾る料理したいものです。今回はカタクチイワシの上手なさばき方やおすすめの料理をご紹介します。
- 目次
- カタクチイワシの名前の由来
- カタクチイワシの旬は?
- カタクチイワシの下処理のポイントはうろこを取ること
- カタクチイワシの上手なさばき方
- 煮干しの出汁を味わう
- カタクチイワシのおすすめ料理
- カタクチイワシを美味しく料理してみよう
カタクチイワシの名前の由来
カタクチイワシは漢字で片口鰯と書きます。ニシン目ニシン亜種カタクチイワシ科に属するイワシの仲間です。学名はEngraulis japonicaといいます。
カタクチイワシという名前の由来は、顔をよく見ていただけば納得していただけますが、カタクチイワシの口元を見ると、口が極端に前に突き出しており、上あごが長く、下あごが垂れ下がって見えます。口元が上あごだけの片口に見えることからカタクチイワシと呼ばれ、口元の見た目が名前の由来になっているそうです。
ちなみに漢字で「片口鰯」と書くとお話ししましたが、「片口」とは上記のような説があり、「魚」辺に「弱い」と書く「鰯」という名称の由来は、水揚げされた時に弱くてすぐ死んでしまう魚だから「弱い」が転訛していった説と、ほかの魚に食べられてしまうことが多いので「弱い」が転訛したという説などがあり、「魚」辺に「弱い」と書いて「鰯(イワシ)」という字を書くそうです。
シラスはカタクチイワシの稚魚のこと
シラスとはカタクチイワシの稚魚の呼び名で、日本の朝食の食卓をポピュラーに飾っています。シラスは愛知ではシロメ、高知ではドロメなどと呼びます。
アンチョビはカタクチイワシのオイル漬け
ちなみに英語ではアンチョビと呼び、イタリア料理に利用されているアンチョビはまさにカタクチイワシのオイル漬けのことです。
カタクチイワシの旬は?
カタクチイワシは北海道から九州南部の沿岸で漁獲されます。産地によって秋から冬が旬だと言われたり、春から夏、また夏から秋が旬だと言われる地方もあります。
太平洋、日本海、東シナ海と漁獲される範囲も広いため、結局カタクチイワシの旬の時期は、産地によって様々な声が上がるようです。また旬ということに限らず、年間を通じて味がいい魚だとも言われています。
カタクチイワシの下処理のポイントはうろこを取ること
カタクチイワシのうろこは包丁など使わずに簡単に取ることができます。水道水を流しながらその下でカタクチイワシの体を尾から頭に向かって撫でる感じでうろこを洗い落すほか、ボールに貯めた水の中でやはり尾から頭に向かって撫でる感じでうろこを取ります。
カタクチイワシの上手なさばき方
家庭でも簡単にカタクチイワシをさばく上手な方法をご紹介します。カタクチイワシは身が柔らかいので包丁を使用しなくても、手や家庭によくある簡単な道具でさばくことができます。また刺身などにする場合と天ぷらやフライ、またアンチョビやから揚げなどにする場合では、さばき方を変えるとより美味しく調理できます。
刺身などのさばき方
刺身などに料理する場合には、梱包用のPPバンドを利用すると簡単にさばくことができます。PPバンドはカタクチイワシをさばく時にプロの人でも便利に使用するそうです。
刺身などに調理する場合のさばき方の動画を用意しましたので、さっそく動画を見ながら手順を習ってみましょう。動画ではバンドをそのまま使用していますが、初心者はバンドの輪のもとをホチキスで止めておくと便利です。PPバンドは20cmくらいの長さのものを輪にすると使いやすいです。
天ぷらやフライなどにするさばき方
カタクチイワシを天ぷらやフライなどにする場合も、包丁などを使わずに手で簡単にさばくことができます。動画でも注意していますが、中骨を取るときは骨に身がたくさんついてしまわないに、丁寧に骨を取り除いてください。ではさっそくこちらの動画を見ながら手順を習ってみましょう。
アンチョビやから揚げなどに調理するときのさばき方
カタクチイワシの代表的な料理の一つであるアンチョビやオイルサーディン、またから揚げに調理するときは、うろこを取って下処理をしたら、頭と内臓を取ります。身が柔らかい魚なので、手で簡単に頭と内臓を取ることができます。手で頭をむしるように取り、頭に内臓を付けてひきだすと内臓をきれいに取ることができます。
魚の扱いに慣れていない方や大きめのカタクチイワシは、胸ビレと腹ビレに沿って頭を切り落とし、PPバンドを利用して内臓を取り除くと綺麗に内臓を取ることができます。頭の切口の内臓部分にPPバンドの輪を当てて肛門の方向に腹身共々内臓をそいでいきます。そして肛門のところで一気に内臓を引き抜きます。
頭と内臓を取り除いた後は腹の中に残った血わたなどを丁寧に洗い流し、キッチンペーパーなどでよく水気を取ってください。ワンポイントアドバイスとして腹の中の掃除をする時は、カタクチイワシの身が温まらないように氷水の中で掃除するのがポイントです。
煮干しの出汁を味わう
カタクチイワシは稚魚の時はしらすやちりめんじゃことなり、大きくなると煮干しに加工されることも多く、出汁をとって味わいます。日本人のソウルフードの味噌汁は出汁が決めて!カタクチイワシの煮干しは味噌汁の出汁にもよく使われます。煮干しにしたカタクチイワシから取れる出汁は美味しく、味噌汁をはじめ、蕎麦やうどんの汁、ラーメンなどの汁、煮物などに活用されます。カタクチイワシの煮干しの活用方法は出汁だけではありません。たとえばおせち料理には欠かせない田作りもカタクチイワシの煮干しで調理された料理です。
カタクチイワシのおすすめ料理
価格がリーズナブルでしかも味のよいカタクチイワシ。料理に合ったさばき方で色々な料理に調理すると日々の食卓を美味しく飾ってくれます。カタクチイワシのポピュラーな料理は刺身、塩焼き、干物、天ぷら、フライ、アンチョビ、酢漬け、オイルサーディンなどです。稚魚のシラスは、新鮮なものなら生シラス丼は人気のメニュー。そのほか釜茹も人気です。
おすすめのレシピをいくつかご紹介します。カタクチイワシの美味しい料理をご賞味してみてください。
カタクチイワシのオイルサーディン
日本の食卓を飾るカタクチイワシですが、大衆的な料理に飽きたら、オリーブオイルとカレー粉を使いちょっとお洒落に洋風の味に調理するのもおすすめです。レシピで紹介するカタクチイワシのオイルサーディンは、パーティーやおもてなし料理の前菜におすすめです。作り置きしてパスタやピザの具にも便利に使えます。煮汁からは美味しい出汁が取れるので、捨てずにとっておきうどんの汁やみそ汁などに利用しましょう。
<材量>
- カタクチイワシ30尾くらい
- 美味しい塩大匙1
- ニンニクスライス適量
- 月桂樹の葉3枚
- 胡椒少々
- カレー粉 微量
- コリアンダー微量
- オリーブ油 適量
カタクチイワシの南蛮漬け
カタクチイワシの南蛮漬けは、食欲もわきカルシウムもたくさんとることができます。ご紹介するレシピは暑い夏におすすめの料理です。レシピの中では頭が付いた丸々のカタクチイワシを使用していますが、アンチョビを作るときのように頭と内臓を取ったものを使用しても構いません。ご飯のおかずに、お酒のつまみに、もてなし料理のオードブルにもおすすめのレシピです。
<材料3〜4人分>
- カタクチイワシ100匹前後
- a 玉ねぎ半玉〜1玉
- a ニンジン3cmぐらいの半分程度
- a ピーマン半分
- b 酒150cc
- b 醤油30〜50cc
- b 砂糖大さじ1
- b 塩少々
- b みりん少々
- c 小麦粉大さじ1
- c 片栗粉大さじ1
自家製アンチョビ
瓶詰めに詰めて作りますが、ビンは蓋がきちんと締まるガラス瓶、例えばジャムの空き瓶などを利用してください。材料は大概の家庭に常備されている物や購入しやすい物ばかりなので、鮮度のよいカタクチイワシがたくさん手にはいったら、自家製アンチョビを作り置きしておくと、パスタやサラダなどいろいろな料理に活用できて便利です。
<材料>
- 下処理したカタクチイワシ2パック(1パック20匹前後)
- 塩200g位
- オリーブオイル 瓶の2/3の量
- サラダ油瓶の1/3の量
- 鷹の爪 少々
- 黒胡椒(粒)お好み
- 塩大さじ1
- 水400ml
骨まで食べられるカタクチイワシの甘露煮
カタクチイワシは中骨が柔らかいので、甘露煮にして煮ると骨まで美味しく食べられます。レシピでは頭と腹ワタを取り除いてありますが、小さい物なら付けたままでも構いません。ご飯のお供、お酒のおつまみにもよく合うカタクチイワシの甘露煮。ポイントは浅めの鍋、もしくはカタクチイワシがぴったり入るフライパンを使って調理すると煮崩れを防ぐことができます。カタクチイワシがたくさん手に入ったときにおすすめのレシピです
<材料2人分>
- カタクチイワシ200g
- しょう油大さじ2.5
- 砂糖大さじ3
- みりん大さじ2
- 酒大さじ1
- 生姜5g
- 水100cc
カタクチイワシを美味しく料理してみよう
身の柔らかいカタクチイワシは包丁など使わず簡単にさばくことができます。料理にあったさばき方をマスターしてカタクチイワシを美味しく調理してみましょう。リーズナブルな価格なのに美味しい魚。調理に工夫してぜひ食卓をカタクチイワシで美味しく飾ってみてください。