2021年2月8日更新

もろみ(醪)とは?見慣れたつぶつぶから得られる様々な効能

もろみ(醪)

もろみ(醪)とは、日本酒を製造する過程の一つです。タンクの中で米や米麹、酒母、仕込み水などを入れてアルコール発酵させたものがこのもろみになります。身近な食品では、もろみ味噌などが定番ですが、栄養や効能はどういったものがあるのでしょうか。日本人なら知っておきたいもろみについて解説していきます。

  1. 目次
  2. もろみ(醪)とは
  3. もろみ(醪)の質がおいしさを決める
  4. もろみ(醪)の栄養や効能はどんなもの?
  5. 余談)もろみを表す漢字は2種類ある
  6. 小さい粒に栄養ぎっしり!もろみを上手に取り入れよう

もろみ(醪)とは

もろみ(醪)とは、醤油や酒などといった食品を醸造した液の中に含まれているもので、原料が発酵している状態の粒々したもののことを指します。

広く食べられているもろみ味噌なども有名ですが、もろみ味噌に入っているあの粒々としたものがこのもろみに当たります。きゅうりなどの淡白な味わいの食材と相性抜群で、粒々とした食感とまろやかな味噌の味は、様々な食材にアクセントを加えてくれます。もったりとした食感は一度食べると病みつきになる食品です。

また、もろみと言われる種類は使用する原材料の種類だけ存在します。
ちなみにもろみを捨てるものは醤油、日本酒、みりん、お酢になり、もろみをそのまま食べるものは味噌、塩麹、醤油麹、甘酒、酒粕になります。

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もろみは非常に身近なもの

日本酒では製造過程で米、米麹、酒母、仕込み水をタンクの中に入れて発酵させますが、このとろみのある液体は搾って濾すと日本酒の元となる原酒になります。

もろみはお酒を造る上で元となる存在のため、なくてはならない工程の産物です。日本酒に限ったことではなく、焼酎や醤油造りの際にも原料が発酵したものをもろみと呼びます。

ちなみに醤油のもろみも日本酒と同様に重要な存在です。醤油もろみの固形分を分離したものが普段食事に取り入れている見慣れた液体状の醤油になります。

もろみ(醪)の質がおいしさを決める

もろみはただの粒々とした物体だという印象ですが、もろみの質は日本酒や醤油などの味の良し悪しに関係します。

日本酒の美味しさ

日本酒の場合、もろみを仕込むために「掛米(かけまい)」という米を蒸し米にして、麹や酒母を造るための原料にします。ここから米麹を蒸し米に付着させて菌を育てていき、温度管理が徹底された環境で菌の生育状態や香りなどを確認されながら作業が進められます。

蒸し米に含まれるデンプンを米麹の力によって糖に分解し、できた糖をアルコール発酵させる役割を持つのが酒母です。様々な働きによって3週間から1ヶ月程度時間をかけて発酵させることでもろみになり、ここで日本酒のおいしさや味わいが決定されます。

醤油の美味しさ

醤油からできるもろみにも同じことが言えます。原料である大豆は蒸され、小麦は炒ってから砕いて大豆と小麦を混ぜます。

混ぜたものに麹菌を加えて醤油麹を造り、約40時間の時間をかけて更に麹菌を大量繁殖させます。

仕上がった醤油麹に食塩水を混ぜたものが醤油もろみになり、ここから更に約半年をかけてタンクの中で発酵と熟成が行われます。

時間が経つにつれて発酵が進み、熟成を迎える頃には見慣れた醤油の香りと色合いになります。

もろみ(醪)の栄養や効能はどんなもの?

もろみはあまり目立つものではないため、栄養や効能について注目される食品ではありません。日本人なら多くの方が知っているもろみという存在ですが、小さい粒々の中には体を支える栄養やそれに伴う効能などは得られるのでしょうか。

もろみに含まれる栄養

発酵食品に分類されるもろみには、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれています。大豆を原料としているもろみにはイソフラボンが含まれ、酒のもろみから搾った酒粕にもレジスタントプロテインという成分が含まれています。

このように原料によってもろみの栄養は異なり、泡盛粕から造るもろみ酢は天然のクエン酸が豊富に含まれています。

嬉しいことたくさん!もろみの効能

もろみは女性に嬉しい効能がたくさんあります。大豆を原料とするもろみにはイソフラボンが含まれていますが、この成分は美肌ホルモンと呼ばれるエストロゲンの働きを良くし、細胞の新陳代謝の力を高めるため肌の再生を促します。
コラーゲンを増やし、ハリを与えるため美肌作りに役立ちます。

また、ビタミンやミネラルといった栄養は、炭水化物や脂質を効率良く代謝してエネルギーに変えてくれる働きを持つため、疲労回復にも役立ちます。泡盛粕のもろみは、古くから疲労回復や食欲増進効果があることで知られるクエン酸が含まれていることも注目したいポイントです。

また、酒のもろみから搾った酒粕に含まれるレジスタントプロテインは、食物繊維に似た働きをすることでも近年注目されている成分です。

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レジスタントプロテインは、腸の中でコレステロールや糖が吸収される前に結合して排出を促してくれます。糖分の吸収を抑えてくれることで、食事後の血糖値が急激に上がるのを防ぎます。更に腸内細菌のエサにもなってくれるため、お腹の中を整える働きもあり、結果的に高血糖や肥満を防ぎ、心筋梗塞や脳卒中などの予防に役立ちます。

余談)もろみを表す漢字は2種類ある

もろみと漢字変換すると「醪」と「諸味」の2つの異なる漢字が出てきます。

醪の漢字は醸造した酒を濾していない状態のものに当てはめられる漢字です。

一方で諸味という漢字は醤油や味噌になる前の段階のものを指します。

どのもろみになるのかで使う漢字が異なるのは面白いですね。

小さい粒に栄養ぎっしり!もろみを上手に取り入れよう

知っているようで実はあまりその正体を知らないもろみは、栄養がぎっしりと詰まった嬉しい食品です。あまり食べる機会がないという方もいるかもしれませんが、もろみをそのまま食べられるもろみ味噌などは手軽に食べられる食品のため、是非食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

【参考】
総合南東北病院 広報誌 健康倶楽部 http://www.minamitohoku.or.jp/kenkokanri/201209/soy_isoflavone.html
ハートクリニック福井 風邪やインフルエンザに対して免疫力を上げよう① https://heartclinic-fukui.or.jp/2020/02/04/%E9%A2%A8%E9%82%AA%E3%82%84%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%97%E3%81%A6%E5%85%8D%E7%96%AB%E5%8A%9B%E3%82%92%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%88%E3%81%86/