2018年9月25日更新
モリンガ(ワサビノキ)とは、その効能と副作用について
近年、その栄養価の高さから、スーパーフードとして注目されているモリンガ。和名をワサビノキ(山葵の木)といいます。粉末になったモリンガのお茶などは、すでに飲まれていらっしゃる方もおいででしょうが、今話題のモリンガにはどんな効能があるのでしょうか。副作用はあるのかどうかも心配な点ですね。さっそくモリンガについてご紹介していきます。
モリンガ(ワサビノキ)とは
近年、豊富な栄養素を含んでいるスーパーフードとして注目されているモリンガは、ワサビノキ科ワサビノキ属の樹木です。和名は山葵の木(ワサビノキ)、英名はgiant crape-myrtleといいます。学名はMoringa oleiferaです。栄養が豊富で様々な効能を持ち合わせていることから奇跡の木とよばれたり、根の味が西洋わさびに似ていることで西洋わさびの木などと呼ばれることもあります。
またモリンガの未成熟の実のサヤが細長く三角形をしいている見た目からドラムスティックの木とも呼ばれたり、種子から搾油される油に注目されていることではベンゾイルの木という別名も持ち合わせています。インド北西部のヒマラヤ山脈南麓が原産国です。干ばつに強い樹で熱帯、亜熱帯地域で栽培されています。
モリンガは高さ10~12mもある背の高い常緑広葉樹です。樹の太さは直径45cmほどもあります。樹皮は白樺のように真っ白ではありませんが、白みがかった灰色をしていて厚いコルク層で覆われています。4~6月にかけて薄い縞模様のある薄い黄色っぽい花を咲かせます。花が終わると20~45cmの大きな三角柱の実を付けます。実は成熟すると果皮が乾燥して裂け種子が取れます。種子から油が搾れ、食品サプリメントや化粧品の成分などにも利用されています。
モリンガは葉も根も花も種も食用になる
葉はお茶に
モリンガはほとんどの部分を食べることができます。モリンガの中でも一番栄養分が含まれておりポピュラーに利用されるのが葉の部分です。
野菜感覚でサラダや炒め物などに調理して利用されるほかに、乾燥させてパウダーにして、お茶、お菓子やパン作りの材料としても使われます。毎朝食べるヨーグルトにかけたり、パウダーをスープに加えて摂取する人も多いようです。野菜として味わうモリンガの葉はクセのない緑黄色野菜の味わいです。
パウダーにして飲むモリンガのお茶の味は、緑色をしており渋みやクセのない、日本茶の緑茶や抹茶のような味がするそうです。ちなみに若い青葉だけを使用したモリンガの青汁の味は、苦味はなくすっきりした美味しい味わいです。
根はスパイシーな味
根にも栄養成分が含まれているモリンガ。根は強い独特の香りがあるのでスパイシーな調味料として利用されます。カレーに加えると美味しさを増すようです。
種は搾油するほかナッツとしてポリポリと食べる
モリンガの種から油を搾ることができます。搾油したオイルはオレイン酸をたくさん含んでいるオイルで、体に良い食用の健康油として利用されるほか、保湿性が高く、肌への浸透力が高いことで化粧水や石鹸などに利用され、モリンガの栄養分を肌から浸透するスキンケア用品の成分に利用しています。ちなみに種はそのままローストしてナッツのように食べられます。
モリンガの栄養と効能
全ての部分を食べることでき利用されるモリンガは豊富な栄養成分を含有して、有効性の高い食品と注目されています。必須アミノ酸類(アスパラギン酸など)、ポリフェノール、ギャバなどの特別な栄養成分のほか、タンパク質、ビタミン類(C、B群、K、β―カロテン、パントテン酸など)、ミネラル(カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガンなど)、食物繊維などが含まれています。体に効果的な栄養素を豊富に含んでいることでモリンガは「奇跡の木」などと言われています。
これらの栄養成分は肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、胃腸などの臓器を活性化させる効能から、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防、そして自律神経に作用して精神の安定をはかりリラックス効果や疲労回復の効果があり、利尿作用によるむくみの改善、抗菌作用による食中毒の予防、骨を強くすることで骨粗しょう症の予防などなど、たくさんの効果に期待されています。
モリンガの中でも葉に一番多く栄養分が含まれている
野菜や乾燥させてパウダー状にして利用される葉は、モリンガの中でも一番多く栄養分を含んでいます。食物繊維、ビタミン(C、B群、K、β―カロテンなど)、ミネラル(カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、マンガンなど)、アミノ酸類、ギャバ、ポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれています。血圧を下げ高血圧や動脈硬化など生活習慣病の予防への効果に期待されています。食物繊維が豊富なことで腸内環境を整え便秘の解消や老廃物の排出に効果が期待されます。
モリンガの栄養分の中も特別な栄養成分であるアミノ酸の中のアスパラギン酸は疲労回復に効果が期待されています。ギャバはミネラル成分のカルシウムとの相乗作用でリラックス効果がありストレスを和らげ、寝つきをよくする効果に期待されています。モリンガに含まれているポリフェノールは眼精疲労や細胞の老化防止、更年期障害の改善、そして虫歯の予防にも効果が期待されています。
【関連リンク】
・アスパラギン酸の効果・効能とは
・パントテン酸カルシウムとは?効果や効能
種から搾油されるオイルはオレイン酸が豊富
モリンガの種から搾油されるオイルにはオレイン酸が豊富に含まれています。オレイン酸は血液中の中性脂肪やコレステロールをコントロールして、悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを増やしてくれる作用があります。そのため体の酸化を防止し、細胞の老化を抑えてくれる効果に期待されています。
根はポリフェノールを含む独特の香りがある
モリンガの根の部分にはポリフェノールが豊富に含まれています。根の部分は独特な強い香りがあるのでスパイシーな香辛料として利用されますが、その効果は抗菌作用があり直中毒の予防に効果があると言われます。
ちなみポリフェノールが豊富に含まれる根っこで代表的なのはゴボウです。
搾油したときの副産物である圧縮実も利用価値がある
種を搾油したときの副産物としてでる圧縮実や種果実にも利用価値があるのがモリンガの特徴です。これらの副産物には沈殿を促す効能があるので飲料水を浄化することに使われています
モリンガの副作用
厚生労働省の調べによると、モリンガの葉から抽出したものを妊娠しているラットに経口投与したところ、流産が認められたという報告が上がり、妊娠中の方のモリンガの摂取については注意が呼びかけられています。
また糖尿病や高血圧で医師から薬を処方されて服用されている方は、血糖値が下がりすぎてしまったり、血圧が下がりすぎて貧血になってしまう場合があります。薬を服用されている方は医師に相談の上、摂取するようにしてください。
スーパーフードのモリンガを上手に活用してみよう
モリンガの中でも一番栄養成分がたくさん含まれている葉は野菜として利用するほか、葉を乾燥させてパウダーにして利用します。パウダーはお茶にしたりヨーグルトにかけたりと、モリンガの栄養を簡単に摂取できます。味はクセがなく渋みもありません。常緑広葉樹であるモリンガは葉も根も種もすべて食べることができ、体に良い栄養が揃ったスーパーフード。ただし副作用の心配もなきにしもあらずなので、妊娠中の方や医師から薬を処方されて服用中の方は医師と相談の上、食べるようにしてくださいね。
【参考文献】
・ 健康食品の安全性に関する情報等(通知等) Moringa oleifera(いわゆるモリンガ、ワサビノキ※)について https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/4e-3.html