2020年4月15日更新

クロダイ(チヌ)の美味しい食べ方!おすすめ料理をご紹介

クロダイ(チヌ)

釣りの世界では知名度の高いクロダイ。関西より西の地方ではチヌとも呼ばれています。海藻や小魚はもちろん、なんとミカンやスイカの皮までエサにする雑食性の魚なので、まずいのではないかと言われますが、果たして本当の味はどうなのでしょうか。今回はクロダイ(チヌ)の食べ方についてリサーチしました。美味しい料理をご紹介します。

  1. 目次
  2. クロダイは出世魚、さらに性転換
  3. クロダイの味ってまずい?
  4. クロダイの価格は?
  5. クロダイの美味しい食べ方
  6. クロダイを使ったおすすめ料理(レシピ)
  7. クロダイ(チヌ)を美味しく味わおう!

クロダイは出世魚、さらに性転換

クロダイはスズキ目スズキ亜目タイ科の魚です。学名はAcanthopagrus schlegeliiといいます。関西より西ではチヌとも呼ばれています。成長するごとに呼び名が変わる出世魚で、関東ではチンチン(20cm前後のもの)、ケイズ(25~30cm前後のもの)、クロダイ(30cm以上のもの)と呼び名が変わります。関西ではババタレ、チヌ、オオスケと呼びます。地方によってはクロ、クロチヌ、ケンダイ、シロダイなどと呼ばれていることもあります。

成魚の大きさは30cm~50cmくらい。大きいものは60cmくらいの個体のものが釣られることもあるそうです。釣りの世界では50cm以上のものを年なし、60cm以上のものをロクマルなどと呼んでいます。体色は黒っぽい色(暗灰色)をしています。黒っぽい体色をしていることでクロダイとも呼ばれているそうです。

産卵は4~6月で、卵は30時間以内にふ化します。生まれたての仔魚は2mmほどの大きさです。その時期はプランクトンを餌に成長しますが、成魚になると丈夫な顎と歯を持ち、小魚、甲殻類、貝類を餌にするほか、スイカの皮やミカンなども食べる雑食性を示すので、釣り人からはエサに困らず釣れる魚と人気です。1年で12cm、5年で25cm、9年で40cmほどに成長します。

クロダイは成長すると雄(オス)から雌(メス)に性転換する特徴があります。25cmほどの大きさになるまでは精巣が肥大しており実質的には雄、その後成長すると、ごくわずかのもの以外のほとんどの個体は、精巣が退化し卵巣部分の機能が大きくなり雌に性転換します。北海道以南の日本の各地に生息していますが、奄美大島以南の南西諸島には見られません。

クロダイの味ってまずい?

姿の美しさと味の良さから魚の王様だと人気のマダイにあやかろうと、「〇〇タイ」と名が付く魚はたくさんいます。しかしその多くは「鯛」とはなんら関係ない魚です。「タイ」という名が付く魚の中で、クロダイは正真正銘のタイ科の魚です。国内ではタイ科の「鯛」は13種しかいませんが、その中の1つです。見かけは黒っぽい皮をしていますが、おろしてみるとその身はマダイによく似た身をしています。

歯ごたえのある白身ですが、マダイと違い内湾に住んでいることや、生息域やエサによって、磯臭さや泥臭いものもいるため、まずい!と言われてしまうことがあります。しかし、夏の旬の時期のクロダイは、マダイに劣らない上品な味わいと旨みがあります。また食べ方によって臭みを感じず、美味しく味わうこともできます。だた冬場は味が落ちてしまうのは残念なところです。

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クロダイの価格は?

気になるクロダイの価格ですが、クロダイは磯臭さや泥臭いものがあるとか、身がマダイよりもはるかに早く緩んでしまうことなどが理由で、料理人にはあまり好まれていません。そのため価格もマダイの半値以下の価格です。

たとえば活締めの1.1~1.3kgほどのクロダイの価格は980円/kg、漁場を沿岸付近に固定している定置網で漁獲したクロダイは同じ大きさでも少し高く1320円/kgほどの価格です。

また魚の鮮度を保つため、死後硬直を遅らせ身がまだ生きている状態により近く、鮮度を保つように工夫した技法である「神経抜き」を施した活締めものは2kgくらいで1280円/kg、活締め神経抜き定置網のものは0.9~1.2kgほどの大きさで1780円/kgくらいの価格です。

クロダイの美味しい食べ方

クロダイは海藻から小魚、コーンやスイカの皮やミカンなどをエサにする雑食の魚なので、エサが手ごろなことや、警戒心が強い魚のため釣りの上級者でも楽しめることで人気の魚です。

しかし生息域や、どんなものを餌にしているかの違いで、マダイに比べると磯臭さや泥臭さが抜けない個体もあると言われていること、そしてマダイの5倍の速さで身が緩くなってしまう性質があるので料理人にはあまり好まれません。

刺身や洗い、カルパッチョなど生で食べるときは、活けもの、活締め、活締め神経抜きのクロダイを選んで調理すると臭みを感じず生でも美味しく食べることができます。

より美味しい食べ方

身に塩打ちをすると臭みがなくなって身も引き締まり美味しく食べることができます。クロダイは塩焼きや煮つけのほか、ポアレやムニエルやアクアパッツアなど洋風の食べ方もおすすめです。臭いが気になるならフェンネルやディルなどの香草を身にふり、香草焼きにする食べ方もあります。

瀬戸内海ではクロダイを丸ごと1匹使った炊き込みごはんが有名です。また岡山からは三枚におろし茹でたクロダイの身をほぐし、煮汁で煮た野菜と一緒に混ぜて白飯にかけて食べる食べ方も紹介されています。

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クロダイの刺身

クロダイを刺身にする場合は大ぶり(30cmほどの大きい個体)のものを使います。水洗いしたクロダイを三枚におろし皮をひきます。身を厚めにした角造り、そぎ造り、薄く切った薄造りもおすすめです。

新鮮なクロダイの刺身の味は、臭みもなく、タイ科の特徴的な上品な味わいと旨みが詰まった美味しい刺身です。

釣ったものを刺身で食べる場合は、釣りたてのクロダイを素早く締めて血抜きし、腹ワタを出すなど迅速に処理したものを調理してください。クロダイは身が緩くなるのが早いので、手早くの調理し、テーブルに並んだら、いつまでも眺めておらず、新鮮で美味しいうちに、食べてしまいましょう。刺身のためにクロダイを購入する場合は、活締め神経抜きのものや定置網で獲ったクロダイがおすすめです。

クロダイのフライ

クロダイのフライは3枚におろし皮をひいた身を適当な大きさに切り分けます。皮は硬いので取り去ります。この時小骨があれば取るようにしましょう。

衣をつけて180℃くらいの油でこんがりと揚げます。クロダイのフライの味はオーソドックスな白身魚のフライの味です。たとえば、衣をつける前に切った身に塩麹をぬり、コショウをふってしばらく寝かせてから衣をつけて揚げると、塩麹の効果で、より身の柔らかいフライになります。

クロダイを使ったおすすめ料理(レシピ)

クロダイは、白身で淡白な癖のない味わいで、漁獲された魚の選び方によっても生で美味しい料理を楽しめるほか、調理にちょっと工夫することでクロダイの料理をより美味しく堪能できます。

クロダイの青ねぎソース

 
イタリアンの前菜カルパッチョをアレンジして、中華味のクロダイの前菜をご紹介します。淡白な白身はごま油と相性がよく、大葉の風味が爽やかにきいた、食欲がわく料理です。

<材料・4人分>

  • クロダイ(チヌ)切身 150g
  • ラディッシュ 2個
  • きゅうり 1/3本
  • 大葉 3枚

(A調味料)

  • 塩 少々
  • 旨味調味料 少々
  • ごま油 少々

(B調味料)

  • 観音ねぎ(青ねぎ) 1/2把
  • しょうが(みじん切り) 大さじ2
  • サラダ油 大さじ4
  • ごま油 大さじ2
  • 砂糖 小さじ1
  • 塩 小さじ2/3

作り方はこちら(広島湾の黒鯛レシピ)

クロダイ(チヌ)の洋風煮付け

洋風のクロダイのおすすめの料理を1品ご紹介します。洋風に煮付けてお洒落にクロダイを料理したレシピです。パーティーや来客の時に美味しく活用できます。

<材料・4人分>

  • クロダイ(チヌ)大きめのもの(30~40cmくらい) 1尾
  • 赤ワイン 100ml
  • 本みりん 100ml
  • たまり醤油(なければ普通の醤油を使用) 100ml
  • マギーブイヨン 1.5個
  • 水 500ml
  • ナツメグパウダー 2g
  • 鶏がらスープの素(顆粒) 2g
  • 砂糖 60g
  • しょうが(スライス) 2g
  • バター 10g

作り方はこちら(クックパッド)

【関連リンク】
たまり醤油とは?醤油との違いとその使い方について
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クロダイ飯

和食でおすすめのクロダイの料理をご紹介します。お米とマッチしたクロダイの炊き込みご飯です。生姜を加えることで臭みも感じません。昆布とクロダイからのうま味がよくきいたクロダイ飯は冷えて美味しくいただけます。

<材料・4人分>

  • クロダイ(チヌ) 150~200g
  • 米 2合
  • 生しいたけ 2枚
  • 生姜 5g
  • 昆布(15cm角) 1枚
  • 木の芽(あれば) 適量

(A調味料)

  • しょうゆ 小さじ1
  • 酒 小さじ1

(B調味料)

  • 出し汁 440cc
  • 酒 30cc
  • 醤油 30cc

作り方はこちら(広島湾の黒鯛レシピ)

*ご飯を炊くときの水加減はB調味料を加え2合分に足らない分量を加えるとよいです。
*小松菜を茹で細かく刻んだものを黒鯛飯に混ぜるといっそう美味くなります。

クロダイ(チヌ)を美味しく味わおう!

クロダイはまずい!などと耳にすることもありますが、れっきとしたタイの仲間で、生でも美味しく、和食にも洋食にも中華料理でも美味しくいただけます。生息域などによって磯臭いものもあると言われますが、香味野菜を利用したり、フライにすると臭いを感じません。旬の時期はマダイに引けをとらない美味しさだとか。クロダイ!ぜひ美味しく料理してご賞味ください。