2018年10月7日更新
クエとはどんな魚?味や値段そして美味しい時期は?
クエという魚
クエはスズキ目ハタ科の海水魚です。マハタと共にハタ科を代表する魚です。学名はEpinepheius bruneus。漢字では九絵または垢穢と書きます。漢字で書く九絵の謂れは若魚の体に不規則な縞模様があるためであったり、平安時代の格式である「延喜式」に「こいぇり、こやす」の「こや」の転呼で「臥す」の学術的な用語から九絵と書きます。垢穢の謂れは垢が付いて汚れているという意味があるとのことです。
クエのことを九州の福岡や山口県の下関では「アラ」、三重県では「マス」、伊豆諸島では「モロコ」などと呼んでいます。ほかにはアオナ、イギス、イノミーバイ、オオイオ、キョウモドリ、クエマス、ホングエ、マグエ、モスズなどという呼び名があります。地方へ旅行したときにこのような呼び名を目にしたら「クエのことだ」と知識の一つに入れておくと便利かもしれませんね。
クエはハタ類のなかでも大型種の魚です。成魚は全長が60cmくらいです。記録によると全長が1.3m、体重30kgもの大型の個体が釣り上げられてこともあるそうです。産卵期は夏から秋にかけ行われます。岩礁海岸や干潟などで満潮の時には海水につかる部分が干潮の時は陸になり、その時にその地形によって海水が残る部分でクエの幼魚を見ることがあります。そして大きくなると沿岸へ移動していきます。
クエの特徴として、幼魚は最初雌として成長して繁殖に参加し、産卵を終えたあと、今度は雄に性転換して雄として繁殖に参加する雌性線熟であるのが特徴的です。雌の時期はやや小型の個体ですが、雄に変わると大型の個体になります。
クエの産地
天然物のクエはその数が少なく、現在日本のクエの主な産地は九州の鹿児島県や長崎県、高知県などの西日本が産地です。また、近年では養殖技術も進み、和歌山県をはじめ五島などの養殖物のクエも出回るようになりました。天然のものは市場に出回る量が少なく、産地以外で一般のスーパーなどに陳列することはほとんどありません。
生息地は青森県と新潟県佐渡以南の日本海、千葉県、相模湾から沖縄県までの太平洋岸、東シナ海、南シナ海、フィリピン、台湾などの浅い岩礁域やサンゴ礁に生息しており、成魚は群れを作らず単独で生活しています。昼間は岩陰や洞窟の中に身を潜ませていますが、夜になると泳ぎ回って獲物捉えます。海底からあまり離れずに大きな体でゆっくりと泳ぎ回り、ねぐらからもあまり離れず、遠出をすることもほとんどありません。
クエの味は?
高価で究極の美味しさと言われるクエの味は、白身の魚なのに旨みが強いお魚です。熱を加えると身は適度に引き締まりホクホクになります。皮はプルプルしたゼラチン質で、頭部に濃厚な旨みがあります。アラがこれまた絶品で旨みの強い部分です。皮のゼラチン質もトロリと美味しいです。
クエの刺身は絶品!
クエの定番の調理法は鍋料理、みそ汁、潮汁、煮付け、唐揚げなどが定番のメニューですが、クエの刺身もあっさりした中に旨みがあり絶品です。新鮮なクエは弾力があり超高級寿司ネタに数えられています。
昆布じめでいただくのがおすすめなほか、クエを刺身にするなら身肉のほかに、肝や胃袋もぜひ食べて欲しい部分です。胃袋はコリコリしていて噛むとじわっと甘みがあります。肝は濃厚な旨みと甘みがあります。クエの刺身は身、胃袋、肝の三種類を味わうことでクエの味わいと言えます。
クエの旬の時期
クエの最も美味しい旬の時期は秋から春だと美食家の間では言われています。そのわけは高価なのでなかなか一般家庭では食べられず、寒い時期の鍋料理や煮つけ料理はとくに絶品中の絶品と言われて「寒い時期の料亭の料理だ」と評価されているからです。
しかし年中クエを取り扱う料理店の調理人や鮮魚店の漁師に評価させると、特に大型の個体になると年間を通して味に差はないと評価さていたり、クエは産卵した後に食欲旺盛になる夏場から秋が美味しいと評価されることも多く、クエの旬は夏から秋という返答があるのも事実です。
クエの値段(価格)は?
ハタ科の仲間では超高級魚とされています。なんと卸売価格で1尾100万円近くなることもあるという超高級魚だと言われています。
長崎県などから天然のクエが入荷されますが、その数は大変少なく、国産の天然ものはキロ当たり10,000円前後のようです。現在は養殖ものや台湾からの輸入ものが出回り、価格はキロ3000円前後と安定した価格ですが、それでもほかの魚に比べると高価な値段です。
クエの養殖について
高級魚と言われるクエの価格は、不況でも上がり続けて、偽装事件が起こるほどです。この偽装事件はクエを特に貴重な魚としている西日本で多発した事件です。
クエよりも安いギンダラ科のアブラボウズをクエに偽装して販売したことで、日本農林規格法に違反したと大阪府の卸業者が勧告を受けたのをはじめ、福岡の料理店でも偽装の疑いをもたれる事件が起こりました。
しかしながらそれはクエがそれだけ美味しい魚でぜひとも賞味したいと願う魚だということでもあると言われています。現在天然物のクエは漁獲量がとても少なく、国産養殖も増えて、庶民でも少し頑張れば手が届きそうな価格のクエも市場に登場しているところです。
クエの養殖の成果は近畿大学が和歌山県にてクエの養殖や研究を行っているほか、東海農政局もクエの養殖の研究を三重県で行っています。その他、長崎県や佐賀県などでは沿岸の生け簀を利用してクエの養殖が行われています。また静岡県温水利用研究センターでは浜岡原子力発電所の温排水を利用してクエの完全養殖に成功して、地元の特産品として養殖のクエを販売しています。
高級魚クエ!ぜひとも味わってみよう
天然のクエは出荷の数も少なく高価で超高級魚だとされていますが、近年は養殖技術も盛んにおこなわれ頑張れば何とか手が届きそうな価格のクエもあります。一般のスーパーでお目にかかるような魚ではありませんが、もしクエを口にする機会があったら、刺身では身、胃袋、肝の3種を忘れずにぜひ堪能してみてくださいね。皮も女性の美容に嬉しいゼラチン質が豊富なクエ。近いうちにご賞味する機会がありますように。