2018年8月22日更新

中国料理の高級食材キヌガサタケの味

キヌガサタケ

まるで白いレース編みの布でもまとっているような外見が特徴的なキヌガサタケは中華料理の高級食材です。キヌガサタケの持つ薬効から、中国では古くから漢方の食材としても利用してきました。キヌガサタケは臭いなどと言われますが、果たしてキヌガサタケの料理も臭いのでしょうか。今回はこのキヌガサタケについて調べました。

  1. 目次
  2. キヌガサタケとは
  3. キヌガサタケは胞子を作る部分が臭い
  4. スープはキヌガサタケのポピュラーな料理
  5. キヌガサダケの価格
  6. 中華料理の高級食材キヌガサダケを食べてみよう

キヌガサタケとは

中華料理で高級食材として有名なキヌガサタケは、スッポンタケ科キヌガサタケ属のキノコです。漢字では衣笠茸、英語ではlong net stinkhornと書きます。学名はDictyophora indusiataです。

中国をはじめ日本全土、北米、オーストラリアなどの竹林内やカラマツ林などの針葉樹林内の地上に、初夏~秋にかけて生えます。

キヌガサタケの幼菌は直径4~7cmくらいの鶏の卵のような形をした袋にはいっています。表面は白色のブヨブヨした袋で成熟するとその袋を突き破って傘とツカがあらわれます。傘は鈞り鐘に似た形をしており、直径2~3cmくらいの大きさです。

傘は細い網目状で暗緑色の粘りのあるグレバという胞子をつくる部分に覆われています。ツカは白色で表面に小孔がたくさんついていて、まっすぐに伸びます。ツカの中は空洞になっているのが特徴的で、ツカが伸び始めると傘の内部からはまるで白いレース編みベールのような菌網が地上まで垂れ下がります。その見た目の特徴から、キヌガサタケは「キノコの女王」などとも呼ばれています。

キヌガサタケは胞子を作る部分(グレバ)が臭い

キヌガサタケの生えているエリアに行くと、「臭いにおいがする」と言われます。その臭いの素はキヌガサタケの胞子をつくる部分であるグレバから発せられる臭いです。

人間にとっては悪臭とも思える臭いですが、この臭いはハエなどを呼び寄せて胞子を運ばせる役割があります。そのためキヌガサタケにとっては大切な臭いなのです。

ただ人間にとってはいやな臭いなので、食べるときは暗緑色のグレバの部分を白いレース状の菌網につけないように水でよく洗い、乾燥させて料理に使います。グレバをきれいに洗い流すと、強い臭いは消えてしまいます。

料理されたキヌガサタケはこってりした深いコクの味わいがあります。そしてキノコなのにシャキシャキした独特の歯ごたえのある食感が楽しめます。

スープはキヌガサタケのポピュラーな料理

中華料理の食材として有名なキヌガサタケは、中国料理のみならず、フランス料理やイタリア料理などでも高級食材として使われています。中華料理ではキヌガサタケのスープはキヌガサタケの最もポピュラーな料理です。そのほかに乾燥させ甘辛煮にした料理、空洞の部分に詰め物をして蒸し焼きにする料理も人気です。中国では昔からキヌガサタケの薬効に期待して漢方食材としても利用し、近年日本でもブームの薬膳料理の食材にも使用しています。

キヌガサタケはミネラルが豊富

古代から現代に至るまで、中国で薬としても重宝してきたキノコの一つであるキヌガサタケは、分析からカルシウム、カリウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、ナトリウムなどのミネラル類を豊富に含んでいます。

薬効には免疫力を強化する、肥満予防、抗がん作用、血糖降下作用、血圧降下作用などがあると言われています。がんや生活習慣病など、現代人の特有な疾患の多くに効果的な薬効を持ち合わせているキノコです。

キヌガサダケの価格

乾燥キヌガサダケ

キヌガサダケは市場に流通する量が大変少ないキノコです。その理由は初夏~秋にかけて竹林内などに生育するものの、栽培するのがとても難しく数が少ないためです。そのため貴重なキノコだということで価格はとても高価です。生のもので1kgおよそ20,000円くらいの価格です。

キヌガサダケは近縁種もたくさん分布しているので、日本では分布域ははっきりとしていませんが、中国では利用も多いので分布域がある程度定められています。キヌガサタケは生育が難しく貴重なキノコであるため、日本においては環境省が定める絶滅危険度を評価したレッドリストに掲載され、準絶滅危険種、保護を要する生物、要注目種などにされています。

日本で流通しているのは乾燥したもの

日本で販売されているものは乾燥したものがほとんどです。ただ初夏~秋にかけての旬の時期はタイミングが良ければ日本の市場で生のキヌガサタケが買えないことはありません。しかし高価であることには違いありません。ネット通販でも乾燥のキヌガサタケが100gで3800円と高価で販売されています。

中華料理の高級食材キヌガサダケを食べてみよう

中華料理で有名なキヌガサタケは漢方薬にも利用される薬効も持ち合わせている漢方食材です。日々の食生活に活用し、免疫力をアップさせて健康維持増進をはかりたいところですが、貴重であるため大変高価だというのは残念です。日本でも竹林内やカラマツ林などに自生しているので、もし見つけたらそれはラッキーなことかもしれませんね。キヌガサタケが手に入ったときは臭いグレバの部分を良く洗い、美味しく料理してご賞味ください。