2016年10月28日更新

食品添加物の危険性

食品添加物は赤ちゃんのころから死ぬまでほぼ毎日食べます。ましてや妊娠中のお母さんのお腹の中でも間接的に摂取しています。そんな添加物に危険性はないのでしょうか?

食品添加物の指定までの流れ

食品添加物に指定されるには以下の資料の提出が必要です。

  • 起源または発見の経緯及び外国における使用状況
  • 物理化学的性質及び成分規格
  • 有効性に関する資料
  • 安全性に関する資料
  • 使用基準に関する資料

これらを基にして規格(化学的性質)を決定し、ラットなどを使用した毒性試験が行われます。その後、ADI(Acceptable Daily Intake)と呼ばれる一日摂取許容量が設定され、ADIを超えないように使用基準が設定されます。

ADI(一日摂取許容量)とは、死ぬまで毎日食べ続けても影響が出ないと考えられる一日当たりの量のことで体重1kgあたりの値のことです。

算出方法はラットなどを使用した動物実験で悪影響が見られなかった最大量を安全係数で割って算出されます。

安全係数とは

ラットなどの動物と人間では種による誤差が生じるため10倍し、さらに赤ちゃんと大人や体の弱い人や健康な人とでも差があるということでこちらでも10倍しています。これらを掛け合わせて化学物質の安全係数は100とされています。

これらから分かるとおり食品添加物のADI(一日摂取許容量)は、動物実験で悪影響が見られなかった最大量を100で割って算出されています。

ネズミに悪影響が出る一歩手前の量の100分の1が日本人一人当たりの一日摂取許容量となっています。10倍というのが非常に安易な気がしますが、これが食品添加物の安全性の評価方法となっています。

このように食品添加物は規格を決めて安全性の試験をし、ADI(一日摂取許容量)を設定し使用基準が決定されるという流れで指定(認可)されます。

ではこの一連の流れの中に危険性はないのでしょうか?
以下にわたしが感じている食品添加物に対する危険性をあげてみます。

動物実験しか行われていない危険性

ヒトが食べる食品に添加される物質が食品添加物です。しかしその安全性を確かめるための人体実験が倫理上の問題で行えません。そのため動物実験で得られた結果を人間にあてはめて使用しています。

医薬品は動物実験のあとに人間で臨床試験が行われ人間に対して有効性と安全性を確認しますが食品添加物では人間による臨床試験は行われません

ADI(一日摂取許容量)は妥当なのか

危険性などをラットで試験してADI(一日摂取許容量)を決定していますが、ラットと人間では種の違いがあります。
日本人の平均寿命は83.7歳(2016年版の「世界保健統計」より)なのに対し、実験用のマウスやラットの平均寿命は約2年といわれています。
また男女の差、健康な人、免疫力の弱い人、子供と老人などさまざまな人が同じ量を食べても影響がないのか不安が残ります。

加工中に物質が変化することはないのか

食品を製造は、加熱したり冷やしたり乾燥させたりとさまざまな工程があります。動物実験では加工しない物質を口から食べさせて危険度を測りますが、わたしたちが口にする食品添加物は何らかの加工を経たものを食べます。
実際に人工甘味料スクラロースを138度以上で熱すると化合された塩素から有毒ガスが出るという報告があり国もそれを認めています。

スクラロースとは。安全性や使用基準について

同時に複数食べた場合の危険性

指定添加物は化学合成により作られた物質です。そして食品添加物はさまざまな食品に使用されているため同時に食べることがあります。その際物質同士が化学反応を起こして有害な物質が新たに生まれる可能性はないのでしょうか。

食品添加物の種類

添加物の製造に対する危険性(不純物)

特に指定添加物は化学合成により作られます。
例えば、人工甘味料のアセスルファムk(カリウム)は独立行政法人 農畜産業振興機構のページではこう説明されています。

ジケテンという酢酸由来の物質と酸性洗浄剤などに利用されるスルファミン酸を反応させ、さらに無水硫酸を加えるなどの化学合成により製造されます。

これは
  ジケテン+スルファミン酸=アセスルファムk(カリウム)
ではないことを表しています。
  ジケテン+スルファミン酸=アセスルファムk(カリウム)+不純物

この不純物を取り除くために無水硫酸を加えるなどの化学合成が必要ということです。
果たして完全に不純物は取り除かれているのでしょうか?

食品の安全性を確保するための規格が必要な理由

国が食品添加物の安全性について言及しだした発端として有名な事件に1955年の森永ヒ素ミルク事件があります。
この事件は森永乳業が製造した粉ミルクに使用した食品添加物にヒ素が混入していたために死者138人、被害者1万人を超える食品衛生史に残る大事件となりました。
使用された添加物はPH調整剤の第二リン酸ソーダで試験段階では食品用に精製されたものが使用されましたが、本格的な生産が始まると安全性の確認がないにもかかわらず安価な工業用に切り替えられていたそうです。

まとめ

食品添加物として使用されるようになるにはさまざまな試験が行われますが、無許可の食品添加物が混入していたなどときどきニュースになります。

参考:厚生労働省 食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/960322/betu.html

食品衛生法に準拠した食品を消費者に提供することは食品企業だけでなく、輸出入や流通、販売に関与する人たちにとっては最低限のモラルです。
われわれ消費者は食品添加物=危険と決めつけず、正しい情報を見極める必要があります。
専門家や官公庁も「わかりやすい情報」をもっと提供してほしいと感じます。