2017年4月10日更新

刺身醤油とは?醤油との違いについて

醤油にはさまざまな種類があります。刺身を食べる時、必ずといってよいほど付いてくるのは刺身醤油ですが、醤油の種類に刺身醤油というものはありません。
「刺身醤油も濃口醤油や淡口醤油の仲間じゃないの?」と思った人へ、今回はそんな疑問についてお答えします。

  1. 目次
  2. 刺身醤油とは
  3. 醤油との違いは
  4. 他の調味料で代用できる?
  5. 刺身以外にも!刺身醤油はコクとうま味が特徴の調味料

刺身醤油とは

味の違いに気づかずなんとなく使っていた人も多いかもしれません。しかしそのままつけて食べるからこそ、刺身醤油にはさまざまな工夫がされているんです。

刺身醤油の味と特徴

刺身醤油は濃口醤油よりもやや濃厚でとろっとしており、味に深みがあります。
この味の深みを演出するのは旨味成分です。刺身醤油を直接刺身につけることで魚の持つ旨味成分と合わさり、刺身の味を引き立てる効果があります。刺身に醤油が合うのは、この旨味成分の相乗効果によるものなんですね。
それではこの刺身醤油独特の旨味成分は、どのように作り出されるのでしょうか。

しょうゆ加工品

刺身醤油のラベル表記を確認すると、ほとんどは名称の部分が「しょうゆ加工品」となっています。
しょうゆ加工品とは、既成の濃口醤油やたまり醤油に昆布やカツオの出汁を加え、甘味料や酸味料で味を整えて旨味を強調した調味料のことをいいます。
醤油には本来出汁が含まれていないため、出汁を添加して作られた刺身醤油は醤油ベースの調味料という扱いとなります。ちなみに出汁醤油もしょうゆ加工品です。

また、これらは濃口醤油や淡口醤油のように通常の醸造からできたものと区別するため、ひらがなの「しょうゆ」で表記されているので簡単に見分けがつきやすくなっています。
冒頭で醤油の種類に刺身醤油はないと述べた理由が、これでお分かりいただけたかと思います。

刺身醤油と普通の醤油との違いは

刺身醤油として流通しているものの多くはしょうゆ加工品ですが、伝統的な刺身醤油もあります。
それは再仕込み醤油と呼ばれ、国内流通量が1%に満たない貴重な醤油です。
それでは、再仕込み醤油と普通の醤油との違いを以下に紹介しましょう。

作り方の違い

私たちがふだん使う醤油の多くは本醸造方式で作られています。
本醸造方式とは、蒸した大豆に小麦を加えて麹を作り、そこへ食塩水を加えてもろみを作ります。このもろみを圧搾し、とれた生揚げ醤油を加熱処理して完成となります。

一方再仕込み方式は、麹をもろみに熟成させる工程で、食塩水の代わりに生揚げ醤油を加えます。この生揚げ醤油は加熱処理をする前のものを使用しているため、生きた酵素が直接もろみに作用して熟成が進みます。
一度生揚げ醤油を作っておき、それを用いてさらに熟成する。この手間のかかる工程を経て、とれた生揚げ醤油を加熱処理しようやく完成となります。数年かけて作られる再仕込み醤油は、他の醤油にはない深いコクと口あたりの良さが特徴です。

再仕込み醤油の旨味成分と塩分濃度

醤油はみな大豆を熟成する過程で、大豆の旨味成分が溶け込んでいます。
グルタミン酸などの旨味成分は、窒素化合物であることから、醤油の旨味を測るときは窒素含有量で判断します。
普通の醤油の窒素含有量は1.2%前後であるのに対し、再仕込み醤油では1.6%、高いもので2.3%もあります。しようゆ加工品のように、人工的にアミノ酸を添加しなくても、再仕込み醤油には天然の旨味が生きているんですね。

また塩分濃度においても、違いがあります。普通の醤油は仕込みの段階で食塩水を用いることから、塩分濃度は17%前後ですが、生揚げ醤油で仕込んでいる再仕込み醤油は14%程度と、かなり低めです。
このように、再仕込み醤油は身体に優しく旨味たっぷりなので、刺身醤油として使われるのもうなずけますね。

他の調味料で代用できる?

刺身醤油は一般的に多く流通している醤油のため、簡単に手に入れることができます。
しかし、少しだけ欲しい時に買って余らせてしまうのはもったいないという人には、別の調味料で代用することもできます。
常備している調味料だけを使う方法ですが、かなり本格的な味になりますので、覚えておくと便利かもしれませんね。

材料(全量150ml)

  • 濃口醤油…100ml
  • たまり醤油…20ml
  • 淡口醤油…10ml
  • みりん…10ml
  • 酒…10ml
  • 昆布…2〜3cm
  • かつお節…4g

作り方

  1. 酒とみりんを火にかけ、完全にアルコールをとばします。残ると苦味の原因になります。
  2. 濃口醤油、たまり醤油、淡口醤油、昆布を加え、煮立ったら火を止めます。
  3. 最後にかつお節を加え、冷めてから布で濾せば完成です。

刺身以外にも!刺身醤油はコクとうま味が特徴の調味料

刺身醤油は、名前のとおり刺身やお寿司と相性抜群ですが、独特のコクと甘みは、野菜炒めなどの炒めものにも幅広く使えます。
いろんな食材に試して、刺身醤油の味わいを堪能してみてくださいね。