2023年7月13日更新

からしとマスタードの違いについて

からしとマスタードの違い

おでんやシュウマイにつける「からし」と、ホットドッグやサンドウィッチに使われる「マスタード」、どちらも黄色くて辛いペースト状の調味料ですが、その違いについてはご存知でしょうか?私達は用途に合わせて「からし」と「マスタード」を使い分けてはいるものの、何がどう違うのかは意外と知らないものです。そこで、今回はこの「からし」と「マスタード」の違いについて、詳しく見ていきましょう。

  1. 目次
  2. からしとマスタード。和からし?洋からし?
  3. からしとマスタード。原料となるマスタードシードの違い
  4. からしとマスタード。それぞれの種類と特徴
  5. からしとマスタードの違い【まとめ】
  6. からしとマスタードを上手に使いこなしましょう

からしとマスタード。和からし?洋からし?

一番わかりやすい「からし」と「マスタード」の違いは、その名前が示す通り、和風か洋風か?という区分です。日本で古来より使われている「からし」を和からし、西洋から輸入されたマスタードを洋からしと呼びます。

和からし

からし=辛子(日本語)・・・日本で古くから使われてきた辛味の調味料。アブラナ科植物の種を粉末にしたものを粉からし、それを水で溶いてペースト状にしたものを練りからしといい、ワサビのようにツンと突き刺さるような刺激の強い辛さが特徴です。おでんや納豆に、また辛子蓮根にと、主に日本料理に使用されます。

洋からし

マスタード=Mustard(英語)・・・西洋で古くから使われてきた辛味の調味料で、近年日本に輸入されて広まりました。アブラナ科植物の種にワインやお酢や糖類などを加えて作られるため、和ガラシと比べるとマイルドな辛さです。ホットドッグやサンドウィッチなど、主に西洋料理に使用され、イエローマスタード、ディジョンマスタード、粒マスタードなど様々な種類があります。

からし・・・和からしとも呼ばれ、刺激的な辛さがあり、日本料理に使用される
マスタード・・・洋からしとも呼ばれ、様々な種類と味があり、西洋料理に使用される

からしとマスタード。原料となるマスタードシードの違い

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からしもマスタードも、共にアブラナ科植物の種であるマスタードシードから作られます。このマスタードシードには3つの種類があり、それぞれの特徴と用途は下記のとおりです。

ホワイトマスタードシード(イエローマスタードシードとも呼ばれる)

種別:アブラナ科シロガラシ属シロガラシの種
用途:イエローマスタード、粒マスタード
特徴:辛みが少ない

ブラウンマスタードシード(オリエンタルマスタードシードとも呼ばれる)

種別:アブラナ科アブラナ属カラシナの種
用途:からし、イングリッシュマスタード、粒マスタード
特徴:刺激的な辛みがある

ブラックマスタードシード

種別:アブラナ科アブラナ属クロガラシの種
用途:ディジョンマスタード、粒マスタード
特徴:とても強い辛みがある

なるほど、マスタードシードは種類によって辛さの度合いが違うようですね。そして、からしとマスタードでは、原料とするマスタードシードの種類が異なることが見て取れます。

からし・・・ブラウンマスタードシード(カラシナの種)のみから作られる
マスタード・・・種類によってホワイト、ブラウン、ブラックマスタードシードを使い分けている

からしとマスタード。それぞれの種類と特徴

それでは、からしとマスタードは、それぞれどのような種類と特徴があるのかを見てみましょう。

からし

粉からし

カラシナの種(ブラウンマスタードシード/オリエンタルマスタードシード)を粉末にしたもの。使用する際に水で溶いてペースト状にします。他に何も添加物を加えませんので、天然の新鮮な風味が味わえます。カラシナの持つ辛み成分アリルカラシ油による、ツンと突き刺さるような刺激の強い辛さが特徴です。おでん、シューマイ、トンカツ、納豆、からし和えなど、和食や中華料理に使用されます。

練りからし

粉からしを水で溶いてペースト状にしたもの。市販のチューブ入りのものは油脂、香辛料、保存料などの添加物が入っています。用途は粉からしと同様、和食や中華料理に使用されます。

マスタード

イエローマスタード

ホワイトマスタードシードを原料に、水、お酢、糖類、スパイス、塩、着色料などを加えて作られます。やわらかいペースト状で口当たりはスムース、辛みも少なくまろやかな味が特徴で、ホットドッグやサンドウィッチに使われます。フレンチマスタード、またはアメリカンマスタードとも呼ばれます。

イングリッシュマスタード

日本の和からしと非常に似ており、ブラウンマスタードシード、またはホワイトマスタードシードを粉末にしたパウダー状のものと、ペースト状にしたものがあります。和からしと同じく、ツンと突き刺さるような刺激の強い辛さがあり、そのまま何かにつけて食べるというより、香辛料のように料理の隠し味として広く使用されます。

ディジョンマスタード

フランス・ブルゴーニュ地方のディジョンで作られるペースト状のマスタード。ブラックマスタードシードの皮を除いて粉砕し、白ワインビネガーと熟す前の白ワインに漬けこみ、クリーミーなペースト状に仕上げます。なめらかで軽い口当たりと、爽やかな風味、そして微かにピリっとする辛みのバランスが秀逸です。肉料理、魚料理の下味やソースとして、またドレッシングやスープの味付けなど、広く料理に使われています。現在はディジョン以外でも、決められた原料と製造方法であれば「ディジョンマスタード」の名称が使用できます。

粒マスタード

マスタードシードを酢やワインに漬けこみ発酵させ、粗挽きにして粒々が残った状態のマスタードです。使われるマスタードシードの種類はメーカーによって様々ですが、マスタードシードは潰さない限り強い辛みが出ませんので、ワイルドな見た目に反してマイルドな風味が特徴です。そのままたっぷりソーセージや肉料理につけたり、料理の下味やソース、ドレッシングなど、マスタードシートの自然な味わいとプチプチとした粒の食感が楽しめます。

からし・・・添加物を加えない、ストレートなマスタードシードの風味
マスタード・・・種類によって様々な添加物を加え、風味にバリエーションがある

からしとマスタードの違い【まとめ】

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これまで見てきたからしとマスタードの違いをまとめると、下記のようになります。

からし

  • 和からしとも呼ばれ、刺激的な辛さがあり、日本料理に使用される
  • ブラウンマスタードシード(カラシナの種)のみから作られる
  • 添加物を加えない、ストレートなマスタードシードの風味

からしの種類

粉からし・練りからし(辛さ・・・★★★★)

マスタード

  • 洋からしとも呼ばれ、様々な種類と味があり、西洋料理に使用される
  • 種類によってホワイト、ブラウン、ブラックマスタードシードを使い分けている
  • 種類によって様々な添加物を加え、風味にバリエーションがある

マスタードの種類

イエローマスタード(辛さ・・・★)
粒マスタード(辛さ・・・★★)
ディジョンマスタード(辛さ・・・★★★)
イングリッシュマスタード(辛さ・・・★★★★)

からしとマスタードを上手に使いこなしましょう

からしとマスタードには、それぞれの特徴があり、風味や用途なども思った以上に違うんですね。これまではなんとなく使い分けていたからしとマスタードですが、これからはもっと意識的に、より上手に使いこなしていきたいものです。

【参考:マスタードはからしだけじゃ代用できない?組み合わせて近づけるアイディア3選