2020年12月19日更新
ベラは食べれる魚。ベラの食べ方ついて
ベラという魚をご存知ですか?魚図鑑で見ると魚というよりは観賞用の熱帯魚のようですよね。だから「ベラって食べれるの?」とよく聞かれますが、一部の地域ではポピュラーな食用の魚のようです。せっかく釣れたのなら食べたい!ということで今回はこのベラの食べ方を調べました。
ベラってどんな魚?
ベラ(倍良)は標準和名をキュウセン(九線、求仙)と呼びます。関西では「キザミ」とか「ギザミ」などと呼ばれます。ベラの面白い特徴は雌性先熟と言って最初はすべて雌として成長し、成長後は雄に性転換する不思議な生態であることです。
人間の考えには及ばない生物の自然な知恵なのですが、ベラの雄は自分の縄張りの中の複数の雌抱えて繁殖を行ういわば一夫多妻の繁殖形態を持っています。
縄張りと雌を巡って雄同士が争うのですが、体が小さい雄はこの時戦いに負けてしまい縄張りを奪われ繁殖の機会をなくしてしまうので、自分の子孫を残すことができなくなってしまいます。そのため一生のうちに自分の子孫をたくさん残すために、体が小さいうちは雌として繁殖を行い、縄張り争いで戦える大きさに成長したら雄に性転換するという不思議な生き方をする魚なのです。ベラ科のほかにハタ科やハゼ科の魚もこのような形態で生息しています。
雄の体は緑色で黒いスジがあり、雌は全体が赤っぽく黒い縦縞があり見た目から簡単に雄と雌を見分けることができます。市場では体の小さい雌より大きい雄の方が高価です。小さい雌の頃は赤い色をしているので「赤ベラ」、そして成熟した雄は青くなるので「青ベラ」と呼ぶ地域もあります。
ベラは食べれる?
関東ではあまり流通されておらず評価の低い魚ですが、西日本ではごく一般的に食卓に上がる魚です。西日本でも特に瀬戸内海沿岸の地域でよく食べられています。
たとえば西日本のベラの人気は関西でベラ釣り用の遊漁船が出るほど釣り魚としても人気です。関西ではキスに匹敵する高級魚とされ、東日本に比べると価格も高く売られています。
スズキ目ベラ亜目ベラ科キュウセン属の魚で、見た目は雄も雌も独特の色をしているので「食べれる?」と聞かれることがありますが、西日本ではポピュラーな食用の魚で、外見からは想像できないほどきれいな白身でクセのない美味しい魚だと言われます。
(京都在住の読者の方から以下のようなご連絡をいただきましたので上記は削除いたします。)
キスに匹敵するおいしい魚…とか、関東に比べて値段が高い…とか、まったくもって違和感しかありません。
前提としてですが、わたしはベラは不当評価されている魚だと思います。
世間の評価より美味しい魚だと思いますし、サイズさえそこそこなら持ち帰って食べるに値する魚と思います。
しかし、キスと比べるのは違うと思います。あと、ベラがスーパーなどに出回ること自体、非常に少なく、まれに店頭にならんでも、値段はとても安価だと思います。少なくとも京都在住で、大阪にも住んでいた私が感じることです。
だって、一般市民には全然身近な魚じゃないですよ。
ベラは、捌くときにウロコ飛び散るし、骨強いし、身も青っぽくて違和感あるし…でもそこそこ美味しいよ。
結論として、捌くときに手間がかかるし身に違和感は感じますが美味しいということです。
ID非公開さん 2005/8/2419:18:52
愛媛です、瀬戸内海では食用魚ですが、宇和海では食べません。食べているのは瀬戸内海の人だけです。
松山の魚市場の浜値は1kが3,000円前後です、信じられません!
2005年の投稿ですが、こちらによると一般的に食べられているのは瀬戸内海だということですね。そして真偽のほどは確かではありませんが松山の魚市場では1kgで3,000円の値が付いていたとのことです。
松山の魚市場の取引情報が見当たらなかったのですが、東京都中央卸売市場(2005年8月)の市場別品目一覧表(市場別・部類別・品目別取扱高)を見てみるとキスで1kg=1,358円、まぐろ(国内)で1kg=2,761円ですからベラの1kg=3,000円は怪しいかもしれませんね。
【参考リンク】
・東京都中央卸売市場 市場別品目一覧表(市場別・部類別・品目別取扱高)平成17年8月
ベラが美味しい旬の時期
俳句を詠まれる方はご存知かと思いますが、俳句の季語や歳時記などでは、ベラは夏を表す季語として使われますが、実際ベラが一番美味しい旬の時期は春から夏にかけての時期だと言われます。
ベラのおすすめの調理の仕方や食べ方
ベラは身肉に繊維質が少なく柔らかい白身の魚です。クセのない淡白な味わいです。こんなべらのおすすめの調理法は煮つけや焼いて食べるのがおすすめです。
臭みのない魚なので新鮮なものは生食で食べるのもおすすめです。広島県の郷土料理ではベラの「はぶて焼き」という食べ方も有名です。これは煮つけたベラを一晩おいて改めて焼いた食べ方です。煮つけの美味しさに香ばしさが加わった絶品と言われています。
ベラを使った美味しい料理
瀬戸内海沿岸地域ではごく一般にベラを食べます。漁師料理ではベラを素焼きにして焼けたそばから生姜醤油を付けて手でむしりながら口に運んで食べるのが一番美味しいベラの食べ方と言われますが、美味しくとも家庭ではなかなかできない食べ方ですね。ここでは家庭でも食べられる美味しいベラの料理をご紹介します。
刺身で味わう
夏場は刺身にするのがおすすめです。身にふくらみがあります。夏場のべらの刺身は脂がのっていて甘みがあり豊かな味わいです。見た目の白さも美しく寿司屋では初夏の握りとしてさわやかな存在だと言われています。
唐揚げも美味しい
ベラを唐揚げに料理するときは小ぶりの雌(赤ベラ)を丸々唐揚げにするのがおすすめです。小ぶりの魚を唐揚げにすると骨ごと余すところなく食べることができ、カルシウム摂取にも効果的です。
定番の塩焼き
塩焼きはベラの定番の料理です。うろこは一つ一つが小さいので取る必要はありません。ぬめりがありますが、とくにしっかりと洗い流さなくとも臭みはありません。内臓を取り出しきれいに洗い流して塩をふり焼きます。
ベラを塩焼きにするときは大きい雄の方が食べやすいようです。焼くと皮目が香ばしくとても美味しいそうです。ベラを塩焼きにするときは少し干してから塩焼きにした方が美味しいという声もあります。
ベラは食べれる美味しい高級魚
小さい頃は雌で大きくなったら雄になる生態を持っているなんて不思議な魚ですね。関東ではあまり見かけない魚ですが、一部の地域ではでは一般的な食用の魚として美味しく食べられているようです。ベラの美味しさを知ると関東では非常にお買い得なのかもしれませんよ(あまり見かけませんが・・・)。見た目は華やかな色なので食べれる魚かと心配してしまいますが、白身の美味しい魚です。ぜひ美味しい料理にして堪能してみてください。