2017年4月19日更新

花椒と山椒の違いについて

花椒(カショウ)と山椒(サンショウ)

花椒(カショウ)と山椒(サンショウ)って、なんだか紛らわしいですよね。うなぎに欠かせないのはどっち?花山椒(ハナザンショウ)と花椒は同じ?山椒って葉や実のことじゃないの?などなど、改めて聞かれると意外と知らないものです。そこで今回は、なんとなく曖昧にしていた花椒と山椒の違いについて、わかりやすくご説明いたします。

  1. 目次
  2. 花椒と山椒。中華料理か日本料理か?
  3. 花椒と山椒。同じ植物なの?
  4. 花椒と山椒。利用する部位と呼び名について
  5. 花椒と山椒。味や香りの違い
  6. 花椒と山椒。薬効には違いがあるの?
  7. 花椒と山椒を使い分けてみよう

花椒と山椒。中華料理か日本料理か?

中華料理と日本料理

花椒と山椒の違いを簡単に説明すると、中華料理と日本料理のどちらに使われるのか?という分け方が、一番わかりやすい区分です。

  • 花椒・・・中華料理(麻婆豆腐の味付け、唐揚げに添える花椒塩など)
  • 山椒・・・日本料理(うなぎの蒲焼にかける粉山椒、ちりめん山椒に入れる実山椒など)

花椒は果皮を乾燥させた香辛料として中華料理に、山椒は葉や実や果皮など様々な部位が薬味や飾りつけとして日本料理に利用されます。

花椒の使われ方

  • 四川料理・・・花椒は麻婆豆腐や担々麺などの四川料理に欠かせない味付けです
  • 花椒塩・・・花椒粉と塩を混ぜ、唐揚げなどにつけていただきます
  • 五香粉・・・中華料理に欠かせないスパイス五香粉には花椒が配合されています
  • 花椒油・・・花椒を漬けた油で、ラー油のように料理にかけたり、ソースに混ぜて味わいます
  • 花椒辣醤・麻辣醤・・・花椒の入ったチリペーストで豆板醤のように様々な料理に使用します
  • 怪味ソース・・・豆板醤や芝麻醤など様々な味がブレンドされたソースで、花椒の風味がポイント

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山椒の使われ方

  • 葉(木の芽)・・・日本料理の彩り、吸い口、木の芽味噌など
  • 花(花山椒)・・・日本料理の彩り、佃煮、当座煮など
  • 実(実山椒・青山椒)・・・佃煮、ちりめん山椒など
  • 果皮(粉山椒)・・・うなぎの蒲焼、焼き鳥に。七味唐辛子の材料

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花椒と山椒。同じ植物なの?

それでは、花椒と山椒は同じ植物なのでしょうか?実は、花椒も山椒も生物学の分類上は同じミカン科サンショウ属の落葉低木ですが、その種類と産地が異なりますので、同じ植物ではありません。

  • 花椒の木・・・ミカン科サンショウ属の華北山椒(カホクザンショウ)中国産地
  • 山椒の木・・・ミカン科サンショウ属の山椒(サンショウ)日本産地

ちなみに、このサンショウ属の植物には250種ほどがあり、世界の熱帯・亜熱帯および温帯地方に広く分布しています。

花椒と山椒。利用する部位と呼び名について

利用する部位について

前述したように、花椒と山椒とでは利用する部位が異なり、さらに山椒はその部位ごとに別の名称があります。

  • 花椒・・・中国の華北山椒の果皮(花椒)
  • 山椒・・・日本の山椒の果皮(粉山椒)・花(花山椒)・果実(実山椒)・葉(木の芽)

つまり一般的に「山椒」といっても、果皮、花、果実、葉などの使う部位によって名称が異なり、これが花椒と山椒が混同されやすい理由のひとつかもしれません。

呼び名について

たとえば、料理の飾りつけに使われる山椒の花の部分を花山椒といいますが、花椒と名前が似ていて紛らわしいですよね?これを明確に区別するために、花椒のことを

  • 「四川山椒」または「中国山椒」
  • 中国語読みの「ホワジャオ」

などと呼ぶこともあります。確かにこれなら、中華料理に使う香辛料のイメージと合って腑に落ちやすいですね。

また英語での名称は下記のとおりです。

  • 花椒・・・シチュアン・ペッパー(四川のペッパー)またはチャイニーズ・ペッパー(中国のペッパー)
  • 山椒・・・サンショー・ペッパー(山椒ペッパー)またはジャパニーズ・ペッパー(日本のペッパー)

花椒と山椒。味や香りの違い

花椒と山椒は同じサンショウ属ファミリーの植物ですので、ともに爽やかな柑橘系の香りと痺れるような辛味が特徴となっています。しかし、まったく同じ風味というわけではなく、たとえば麻婆豆腐に山椒を使ったり、うなぎの蒲焼に花椒を使ってしまうと、かなりの違和感があります。

  • 花椒・・・ピリっとした辛みがあり、爽やかな香りがし、口の中が痺れるような感覚が広がる
  • 山椒・・・ゆずのような柑橘系の香りが広がり、マイルドな辛みがし、口の中が軽く痺れる

花椒はパンチのある香辛料として、中華料理の「味付けの一部」という存在。一方山椒は、繊細な薬味として、日本料理の「お口直し」的な位置づけ、といったところでしょうか。

花椒と山椒。薬効には違いがあるの?

花椒も山椒も共に優れた薬効成分を含み、中国でも日本でも生薬として利用されており、その効能効果はほぼ同じです。しかし中国漢方と日本の薬局方とでは規定が異なりますので、下記のような違いがあります。

中国漢方

花椒は中国漢方の生薬として、古くよりその殺菌、鎮痛、麻酔効果が利用されてきました。香辛料としては果皮の部分だけが使われますが、漢方では中の実の部分も使用されます。また中国漢方においては、花椒や山椒といった種類による区別はせず、同じサンショウ属の植物をすべて利用しています。

日本薬局方

山椒は日本薬局方の生薬として、健胃薬や腹痛治療の処方用薬や製剤原料として認可されています。食用としては花も実も使われますが、生薬としては果皮の部分のみ使用されます。また日本薬局方においては、山椒のみが生薬として認められており、花椒やその他のサンショウ属植物は厳密に除外されています。

第十七改正日本薬局方 生薬等 サンショウ
富山大学和漢医薬学総合研究所 生薬学術情報 山椒

花椒と山椒を使い分けてみよう

花椒と山椒の違いについて、様々な側面から見てきました。同じサンショウ属の植物ですが、意外とその用途には違いがあるんですね。中華料理に、日本料理に、そして生薬としても身近な花椒や山椒ですが、これからは、その差を意識しながら、賢く使い分けて活用していきたいものです。