2017年6月23日更新

亜酸化窒素の食品添加物としての用途

手術の際の医療用や工業用としても燃料の発火促進に使われている亜酸化窒素は、世界でも20カ国以上で食品添加物として用いられています。

  1. 目次
  2. 亜酸化窒素とは
  3. 亜酸化窒素ガスを使ってエスプーマを作る
  4. 直接吸引するのは危険。その副作用は?

亜酸化窒素とは

窒素酸化物の一種である亜酸化窒素は、1772年イギリス人の化学者により発見されました。沸点は-90.86℃で無色のにおいの無いガスです。

食材をムース状にする調理法で使用するため2006年4月に食品添加物として認可されました。別名「笑気ガス」と呼ばれており、手術の際の全身麻酔や歯科治療での痛みを和らげる鎮痛剤として利用され、2016年2月に厚生労働省より医薬品医療機器法に基づく指定薬物に指定されています。亜酸化窒素は毒性はなく、麻酔性があるガスになります。

亜酸化窒素ガスを使ってエスプーマを作る

エスプーマ

生クリームを泡立て器やハンドミキサーでホイップクリームを作るのには、時間や労力がかかります。

しかし亜酸化窒素ガスを使用した調理器具エスプーマを使用すると、簡単に生クリームをホイップクリームにすることができます。

専用の加圧容器に材料を入れ密閉し、亜酸化窒素ガスの入ったカートリッジ式のボンベを充填します。器具全体を振り、ノズルを操作するとキメの細かいホイップクリームが出てきます。生クリームだけでなく、通常ムース状にするのは困難な果物や野菜などあらゆる食材を軽い泡状にすることができます。

二酸化炭素でも食材を泡状にすることができますが、味が酸っぱくなる欠点があります。亜酸化窒素は食材の風味や香りが損なわれず、70℃までなら温かい物も冷たい物も簡単にムース状に使用することできます。容器の中の気体の圧力により、食品と亜酸化窒素の混合物がバルブから放出され発泡する仕組みです。

直接吸引するのは危険。その副作用は?

亜酸化窒素は吸入すると酸素と混合し、陶酔効果や意識が朦朧とする酩酊状態になります。また、気分が高揚し笑ってしまう効果があるため、笑気ガスとも呼ばれています。医薬品医療機器法に基づき、亜酸化窒素は指定薬物に指定されており、手術や歯の治療で麻酔として使用しようする際は、個人によって使用する量が医師のもと決められます。医療では亜酸化窒素の濃度が高くないため副作用がほとんどなく、安全性が高いと言われていますが、亜酸化窒素の危険性が高いと言われているのは、多幸感を求めて一度に沢山の量を吸入するからと言われています。亜酸化窒素の濃度が一気に高くなると、その分酸素の濃度が低くなり、その結果脳が酸欠状態になります。最悪の場合、心肺停止を引き起こし死亡するケースもあります。

【参考】食品安全委員会:亜酸化窒素を添加物として定めることに係る食品健康影響評価に関する審議結果