2021年12月26日更新

新巻鮭と塩鮭の違いとは?身近に溢れる加工された鮭

新巻鮭(あらまきじゃけ)

新鮮でおいしい鮭は様々な加工を加えて食卓に並びます。しかし、販売されている鮭は非常に種類があり、何がどういった加工を施されているのか分かりません。例えば新巻鮭と塩鮭の違いなども曖昧ですから、味や塩抜き、食べ方、塩分濃度などの情報も交えて解説します。

  1. 目次
  2. 新巻鮭とは
  3. 新巻鮭と塩鮭の違いは?
  4. 新巻鮭の味
  5. 新巻鮭のおいしい食べ方
  6. 鮭の加工方法
  7. 塩鮭は生鮭の代用になる?
  8. 新巻鮭をお好みの塩分加減で食べてみよう

新巻鮭とは

新巻鮭とは、寒い地域で定番のお歳暮として扱われている鮭です。新巻鮭はシロザケと呼ばれる種類の鮭の内臓を取り出して塩漬けにしてから冷凍保存したもののことを指します。

塩漬け作業が終わったら水か海水で塩抜きを行い、鮭を磨きます。工程の最後には天日や寒風、若しくは乾燥機を用いて乾燥させ、旨みを閉じ込めていきます。

また、新巻鮭という呼び名は珍しいと感じますが、その昔、ムシロという藁で作ったすだれの形をしたもので鮭に塗した塩がこぼれないように巻いたことから、新巻鮭という呼び名になったという説があります。そのため戦前までは「荒巻鮭」の字が当てられていたとされています。

新巻鮭と塩鮭の違いは?

塩漬けにする新巻鮭と、そもそも塩鮭と呼ばれている鮭はどう違うのでしょうか。新巻鮭も塩鮭もどちらも塩を使っていることは分かりますが、鮭の表記で良く目にする塩鮭は「塩に漬けた鮭の総称」の意味を持ちます。

つまり塩鮭は数多く出回っている塩を使った鮭の全ての呼び方ということですね。ただ、塩鮭と記載されているものの中には特定の製法が用いられている鮭も存在します。

特に鮭の切り身の中には「甘口」「中辛」「辛口」などの表記がされているものもあります。これは、塩そのものを使った新巻鮭とは違い、塩水に漬けて防腐性、つまり保存性を高めたタイプの鮭です。塩分濃度によって甘口、中辛、辛口などの表記に分かれます。

新巻鮭の味

新巻鮭は塩漬けして干してあるため、少々塩辛いと感じる味わいですが、天日干しの工程によって旨みがしっかりと閉じ込められています。また、新巻鮭は獲れてからすぐに下処理が行われるため、鮮度を保ったまま獲れたてのおいしさを味わうことができます。

新巻鮭のおいしい食べ方

新巻鮭は北海道や東北地方で定番の豪華食材ですが、どう食べたらよりおいしく頂けるのでしょうか。塩加減などの調整をすることで個々に合ったおいしい食べ方ができますから、新巻鮭の食べ方をご紹介します。

新巻鮭の塩抜き

新巻鮭のしょっぱさに抵抗がある方はまず塩抜きしてから食べると良いでしょう。人によって新巻鮭はしょっぱ過ぎると感じる方もいるようです。

塩抜きのやり方は様々ですが、簡単なやり方では水を張った容器に少量の塩を入れ、水洗いした鮭を浸して2時間程度待つだけです。それでも塩気が気になる場合は、一度水を替えて再度塩を入れた容器に鮭を浸します。他にもみりんや酒を使った塩抜きのやり方もあるため、やりやすい方法で塩抜きを行ってください。

新巻鮭のグラタン

新巻鮭をほっこり食べられるグラタンは手軽で食卓に取り入れやすいメニューです。ホワイトソースに絡まる新巻鮭は旨みを口いっぱいに味わえますよ。
【レシピ】kana-kitchen

新巻鮭のちゃんちゃん焼き

鮭料理で定番のちゃんちゃん焼きも新巻鮭の活用レシピとして良く合います。塩抜きした新巻鮭と優しくコクのある味噌風味でご飯が進む一品です。
【レシピ】楽天レシピ

新巻鮭の三平汁

新巻鮭の旨みでごちそうになる三平汁もおすすめです。北海道の郷土料理である三平汁は、たっぷりの野菜と一緒に新巻鮭を味わえるため栄養もしっかりと摂れます。こちらのレシピも新巻鮭の塩気が気になる場合は塩抜きを行ってから調理してください。
【レシピ】味の素パーク

新巻鮭のお魚ハンバーグ

新巻鮭を丸ごと使ったアレンジレシピでは、お魚ハンバーグもうれしいおかずの一品になります。あっさりしつつもしっかり新巻鮭の味わいが主張されているため、大人から子どもまで広く楽しめる料理です。
【レシピ】クックパッド

鮭の加工方法

新巻鮭に続いて鮭は加工方法によって味わいが大きく異なります。一度知っておけばずらりと並んだ鮭の違いを見分けることができますよ。

生鮭

生鮭はその名の通り一切加工していない鮭のことです。もちろん一度も冷凍されることはなくスーパーに並びます。冷凍、加工といった処理を受けないのが生鮭です。

甘口・中辛・辛口

塩鮭のパック売りの表記で度々見かけるのが甘口、中辛、辛口などの表記がされた切り身の鮭です。この鮭は現在ほとんどが「定塩」という製法によって作られています。上記でも少し触れましたが、定塩は塩水に漬け込んで作られます

塩加減にばらつきが出ないことで、塩分濃度を管理、調節できる製法でもあります。しかし、塩そのもので作る鮭に比べると、脱水や熟成の進みが悪くなるという点もあるため、鮭が持つ旨みが感じられない場合もあり、水っぽいような口当たりになることもあるようです。

加工する業者によっても塩分濃度は異なりますが、甘口は3%前後、中辛は5%前後、辛口は8%前後が主流です。

ふり塩

ふり塩は鮭の表面にのみ塩が振ってある鮭のことを指します。鮮魚売場ではあまり見かけない加工をされた鮭です。

山漬け

山漬けは鮭に多量の塩を塗ってからムシロで覆い、10~20層の山形に積み上げた上から重石を乗せて加圧塩漬けされた鮭のことを指します。

この製法から山漬けという呼び名が付けられましたが、完成まで長期的な日数や労力がかかることから大量に作ることができません。そのため、広く流通することはなく、地元の漁民や山漬けの熟成された味わいを求める方たちの間で重宝されたきた鮭です。

漬ける時間を調整することで、身の締まりや旨みの加減を変えられます。

塩引き鮭

新潟の村上で知名度の高い塩引き鮭は、内臓を除去した鮭に塩を擦り込んでから1週間程度置き、流水に浸して余分な塩を抜いたものを軒先などで数週間干した鮭です。

低温で発酵していくため、発酵食品にあたります。鮭が持っているアミノ酸が旨み成分に変わることで味わいも風味もグッと良くなり、口あたりはさっぱりとしていますが、塩辛いということもなく良い塩梅で楽しめます。凝縮された鮭の旨みやおいしさをたっぷり味わえる鮭です。

沖漬け

珍しい種類の鮭である沖漬けは、獲ったあとすぐの鮭を船内で塩漬けにしてから冷凍します。鮭の新鮮さを失わないようにスピィーディーな加工がされるため、生臭さを感じることはありません。

塩鮭は生鮭の代用になる?

作りたい料理に「生鮭」と書かれていることも多いですが、旬の時期以外は生鮭が手に入らない場合もあります。そんなときは塩鮭を塩抜きして生鮭の代用として使おうと考える方もいるでしょう。しかし、根本的に下処理の仕方が異なります。塩分を添加している塩鮭と、初めから塩分を添加していない生鮭では代用にならないどころか、塩抜きを行うことで鮭の旨みが逃げてしまう可能性もあるため注意しましょう。

新巻鮭をお好みの塩分加減で食べてみよう

新巻鮭を含めた鮭の情報をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。非常に種類のある加工法は、それだけ鮭が多くの方に食べられている証です。新巻鮭は北海道や東北ではメジャーな鮭ですから、そのまま食べて地域の味わいを感じてみたり、塩抜きしてまろやかになった鮭のおいしさを味わってみてはいかがでしょうか。